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第4章 005
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「な、な、何だ……よ……」
相原に指を差され、智樹がビクンと肩を跳ね上がらせる。その後ろで、岸本の口を塞いだままの翔真がゴクリと息を飲む。
三人……いや、岸本を含めて四人の間に、何とも言えない空気が流れた。
翔真は相原に見えないようにサイドテーブルに手を伸ばすと、無様に転がった電気スタンドを掴んだ。プラグは倒れた拍子にコンセントから抜けている。
いざとなればこれで相原の後頭部を殴ってでも……
そしたらその隙にここから……
普段はおっとりとしていて、何を考えているかもわからないくらいぼんやりとした印象で、滅多に感情を露にすることのない翔真だが、鋭い眼光とキツく食い縛った口元には、しっかりとした意思が見て取れる。
それはある種の殺意にも似た感情で……
やめろ、馬鹿な真似は止せ!
相原の肩越しに、今にも電気スタンドを振り上げようとする翔真を見た智樹は目で訴えかけるけど、一旦頭に血が上ってしまうと、途端に手が付けられなくなってしまう性格だということを、智樹自身よく知っている。
ああ……、これで俺達は本当に人殺しになるんだ……
諦めかけたその時、
「何事にも手抜きはぜず、迅速かつ完璧に!」
智樹に向けていた人差し指を天井に向け、相原が声を張り上げた。
相原に指を差され、智樹がビクンと肩を跳ね上がらせる。その後ろで、岸本の口を塞いだままの翔真がゴクリと息を飲む。
三人……いや、岸本を含めて四人の間に、何とも言えない空気が流れた。
翔真は相原に見えないようにサイドテーブルに手を伸ばすと、無様に転がった電気スタンドを掴んだ。プラグは倒れた拍子にコンセントから抜けている。
いざとなればこれで相原の後頭部を殴ってでも……
そしたらその隙にここから……
普段はおっとりとしていて、何を考えているかもわからないくらいぼんやりとした印象で、滅多に感情を露にすることのない翔真だが、鋭い眼光とキツく食い縛った口元には、しっかりとした意思が見て取れる。
それはある種の殺意にも似た感情で……
やめろ、馬鹿な真似は止せ!
相原の肩越しに、今にも電気スタンドを振り上げようとする翔真を見た智樹は目で訴えかけるけど、一旦頭に血が上ってしまうと、途端に手が付けられなくなってしまう性格だということを、智樹自身よく知っている。
ああ……、これで俺達は本当に人殺しになるんだ……
諦めかけたその時、
「何事にも手抜きはぜず、迅速かつ完璧に!」
智樹に向けていた人差し指を天井に向け、相原が声を張り上げた。
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