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第5章 006
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前を向いたまま、本木には聞こえないよう小さく舌打ちをする智樹と、隣で「あっちゃ~」と呑気にキャップを被った頭をポンと叩く翔真。
ゆっくり智樹は振り返ると、今更ながらに顔の半分をキャップで隠し、ワゴンに突っ込んだ掃除道具の中から、清掃用のスプレーと真新しい雑巾を取り出し、わざとらしくキャビネットの上を拭き始めた。
勿論、翔真も智樹に習ってキャビネットの側面を拭いたり、周囲をホウキで剥いたりと、清掃員らしく振舞った。
そして一通りの掃除を済ませた二人は、手にしていた掃除道具を再びワゴンに突っ込み、相原に向かって頭を下げた。
「じゃあ……、これで……。失礼しました」
「ああ、お疲れ様」
相原は二人を見ることなく手をヒラヒラとさせると、居眠りをしたままの岸本をチラリと見てから、指で顎をスリスリと摩りながら首を傾げた。
「さて、これをどうするか……」
「仕方ありません。このまま寝かしておきましょう」
「そうだな。起き次第すぐに追い出せば良いか……。いや、でもちょっと待てよ? この居眠り男は良いとして、アレはどうする……」
「アレとは……、アレのことですか?」
「お、おお、アレだ……」
「アレは……、警察に任せた方が良さそうですね」
相原と本木が暗号のような会話をしている間、徐々に出入口付近にまで足を進めた二人は、本木の口から出た〝警察〟の言葉に、またしても肩を跳ね上げた。
ゆっくり智樹は振り返ると、今更ながらに顔の半分をキャップで隠し、ワゴンに突っ込んだ掃除道具の中から、清掃用のスプレーと真新しい雑巾を取り出し、わざとらしくキャビネットの上を拭き始めた。
勿論、翔真も智樹に習ってキャビネットの側面を拭いたり、周囲をホウキで剥いたりと、清掃員らしく振舞った。
そして一通りの掃除を済ませた二人は、手にしていた掃除道具を再びワゴンに突っ込み、相原に向かって頭を下げた。
「じゃあ……、これで……。失礼しました」
「ああ、お疲れ様」
相原は二人を見ることなく手をヒラヒラとさせると、居眠りをしたままの岸本をチラリと見てから、指で顎をスリスリと摩りながら首を傾げた。
「さて、これをどうするか……」
「仕方ありません。このまま寝かしておきましょう」
「そうだな。起き次第すぐに追い出せば良いか……。いや、でもちょっと待てよ? この居眠り男は良いとして、アレはどうする……」
「アレとは……、アレのことですか?」
「お、おお、アレだ……」
「アレは……、警察に任せた方が良さそうですね」
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