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第6章 007
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「お久しぶりです、相原社長」
「やあやあ、良く来てくれたね。まあまあ、かけたまえ」
ソファに座ったまま、それまで一切表情を変えることのなかった相原が、黒瀬を前に情けなく歪む。
国内外にあるいくつものホテルやレジャー施設を束ねる相原も、黒の天使を前にした途端、どこにでもいるような普通の男になってしまうようで……
「急に呼び出したりして済まなかったね」
「いえ、相原社長からの連絡ですから。それで今日はどんなご要件で?」
常に微笑みを絶やさない黒瀬の口調は、本木程無感情ではないものの、至極淡々としている。
「実は、アレなんだが……」
言いながら相原は、パーティションで仕切られたベッドルームを指で差した。
あえてそちらを見ないのは、いくら相原であっても、謎の死体の存在は不気味に感じているからなのだろう。
「失礼します」
黒瀬は一言相原に断りを入れると、下ろしたばかりの腰を上げ、ゆっくりとした足取りでパーティションの向こう側へと足を向けた。
そして死体にかけられた布団を捲ると、弘行の死体を見下ろし、まじまじと見つめた。
「この人物に心当たりは?」
弁護士と言う職業柄こう言った状況には慣れているのか、死体を目にしても取り乱すことも、顔色すら変えることなく実に冷静だ。
「やあやあ、良く来てくれたね。まあまあ、かけたまえ」
ソファに座ったまま、それまで一切表情を変えることのなかった相原が、黒瀬を前に情けなく歪む。
国内外にあるいくつものホテルやレジャー施設を束ねる相原も、黒の天使を前にした途端、どこにでもいるような普通の男になってしまうようで……
「急に呼び出したりして済まなかったね」
「いえ、相原社長からの連絡ですから。それで今日はどんなご要件で?」
常に微笑みを絶やさない黒瀬の口調は、本木程無感情ではないものの、至極淡々としている。
「実は、アレなんだが……」
言いながら相原は、パーティションで仕切られたベッドルームを指で差した。
あえてそちらを見ないのは、いくら相原であっても、謎の死体の存在は不気味に感じているからなのだろう。
「失礼します」
黒瀬は一言相原に断りを入れると、下ろしたばかりの腰を上げ、ゆっくりとした足取りでパーティションの向こう側へと足を向けた。
そして死体にかけられた布団を捲ると、弘行の死体を見下ろし、まじまじと見つめた。
「この人物に心当たりは?」
弁護士と言う職業柄こう言った状況には慣れているのか、死体を目にしても取り乱すことも、顔色すら変えることなく実に冷静だ。
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