112 / 143
第8章 009
1
しおりを挟む
「おい、どうした……」
電話を持つ手を震わせ青ざめる翔真の肩を智樹が軽く揺するが、翔真は呆然としたままで、智樹を振り向くことすらしない。
何が起きているのか、さっぱり把握出来ない智樹は、苛立ち気味に舌打ちをすると、
「貸せ……」
翔真の手から、プリペイド式携帯電話を乱暴に取り上げた。
「もしもし? あんた一体何者だ……」
普段の喋り口調よりも、若干威圧感を含ませ声も低くする。
すると、それまで憮然としていた相原が、ビクンと肩を震わせた。
それ程智樹の物言いは威圧的だった。
ところが、電話口から返ってきたのは、至って冷静な一言で……
「は、はあ……? ちょ、ちょっと待て、どういうことだ……」
翔真と同じように、手を震わせ、顔を引き攣らせた。
そして携帯電話をパタンと閉じると、ソファを蹴倒す勢いで立ち上がり、ズカズカと……足音を鳴らしてパーティションの前に仁王立ちになった。
すると、気配を感じたのか、パーティションの向こうから、同じくプリペイド式携帯電話を手にした黒瀬が、柔らかな笑みを浮かべた顔を出した。
「少々半信半疑ではあったんですが、〝まさか〟でしたね」
黒瀬の感情を見せない口調と、柔らかでありながら冷ややかな目に、思わず智樹は一歩後ずさった。
電話を持つ手を震わせ青ざめる翔真の肩を智樹が軽く揺するが、翔真は呆然としたままで、智樹を振り向くことすらしない。
何が起きているのか、さっぱり把握出来ない智樹は、苛立ち気味に舌打ちをすると、
「貸せ……」
翔真の手から、プリペイド式携帯電話を乱暴に取り上げた。
「もしもし? あんた一体何者だ……」
普段の喋り口調よりも、若干威圧感を含ませ声も低くする。
すると、それまで憮然としていた相原が、ビクンと肩を震わせた。
それ程智樹の物言いは威圧的だった。
ところが、電話口から返ってきたのは、至って冷静な一言で……
「は、はあ……? ちょ、ちょっと待て、どういうことだ……」
翔真と同じように、手を震わせ、顔を引き攣らせた。
そして携帯電話をパタンと閉じると、ソファを蹴倒す勢いで立ち上がり、ズカズカと……足音を鳴らしてパーティションの前に仁王立ちになった。
すると、気配を感じたのか、パーティションの向こうから、同じくプリペイド式携帯電話を手にした黒瀬が、柔らかな笑みを浮かべた顔を出した。
「少々半信半疑ではあったんですが、〝まさか〟でしたね」
黒瀬の感情を見せない口調と、柔らかでありながら冷ややかな目に、思わず智樹は一歩後ずさった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる