9 / 53
第二章 ー月ー
五
しおりを挟む
蔵での一件以来数日が過ぎても、潤一の脳裏にはあの白い化物の、淫らにも妖艶な肢体が消えることはなかった。
あの化け物の正体を知りたい……
あの化け物に触れたい……
いつしか潤一の心を、あの白い化け物が支配していた。
毎夜布団に潜っては、あの白い化け物の妖艶な姿を瞼の裏に浮かべては自慰に耽った。
仕事の合間ですら、何とか蔵に忍び込む方法はないかと、常に算段を繰り返す日々の中、気もそぞろになり、仕事もおろそかにしがちになった潤一を、見るに見兼ね照は咎めた。
「最近のお前を見てると、まるで〝心ここにあらず〟の様子だが、一体どうしたって言うんだい?」
相変わらず冷たく、暖かさの欠片も感じられない声色だが、その言葉には心底潤一を気にかける様子が伺えた。
「照さんは知ってるんだろ、あの蔵の秘密を……」
潤一の言葉に、照の表情が一変する。
「俺、知ってんだ。あの蔵に何があるか……、何を隠してるか……、あれは……」
言いかけた瞬間、潤一の頬に衝撃と共に熱を持った痛みが走った。
「なっ……、何すんだっ……!」
「いいかい、あそこには近づくんじゃない。あそこでお前が何を見たのか知らないけど、忘れるんだ。……いいね!」
それは初めて見る照の、恐ろしいまでに激昴した表情だった。
それ以上の言葉をかけることもなく部屋を出て行く照の後ろ姿を見送りながら、潤一は膝の上に作った握り拳をブルブルと震わせた。
あの化け物の正体を知りたい……
あの化け物に触れたい……
いつしか潤一の心を、あの白い化け物が支配していた。
毎夜布団に潜っては、あの白い化け物の妖艶な姿を瞼の裏に浮かべては自慰に耽った。
仕事の合間ですら、何とか蔵に忍び込む方法はないかと、常に算段を繰り返す日々の中、気もそぞろになり、仕事もおろそかにしがちになった潤一を、見るに見兼ね照は咎めた。
「最近のお前を見てると、まるで〝心ここにあらず〟の様子だが、一体どうしたって言うんだい?」
相変わらず冷たく、暖かさの欠片も感じられない声色だが、その言葉には心底潤一を気にかける様子が伺えた。
「照さんは知ってるんだろ、あの蔵の秘密を……」
潤一の言葉に、照の表情が一変する。
「俺、知ってんだ。あの蔵に何があるか……、何を隠してるか……、あれは……」
言いかけた瞬間、潤一の頬に衝撃と共に熱を持った痛みが走った。
「なっ……、何すんだっ……!」
「いいかい、あそこには近づくんじゃない。あそこでお前が何を見たのか知らないけど、忘れるんだ。……いいね!」
それは初めて見る照の、恐ろしいまでに激昴した表情だった。
それ以上の言葉をかけることもなく部屋を出て行く照の後ろ姿を見送りながら、潤一は膝の上に作った握り拳をブルブルと震わせた。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる