17 / 337
第3章 marcat
4
しおりを挟む
俺はあの日あったことを、洗いざらい松下に話して聞かせた。
一世一代の覚悟を決めてプロポーズをした結果、意味も分からないままフラれたことは既に報告済みだったから、その後のことから……だけど。
松下は俺の話を、ずっと黙ったまま、時折小さく頷きながら最後まで聞いてくれた。
そして、俺が全てを話終えると、残っていたコーヒーを一気に飲み干し、「そっか……」と小さく呟いた。
別に、明確な答えを期待していた訳じゃない。でも何か言って欲しかったんだと思う。
「俺、おかしい……よな?」
空になった缶をゴミ箱に捨てようと、腰を上げた松下の背中に問いかけた。
「うーん、確かにおかしくはあるよね……」
やっぱりか……
自分でも薄々気付いていたこととはいえ、面と向かって言われると落ち込むもので……。俺はがっくりと肩を落とすと、今度は地面に向かってため息を落とした。
「でもさ、一目惚れだったんでしょ? なら仕方ないで済ませちゃ、本当はいけないんだろうけど……」
「ちょっと待て。俺が一目惚れしたなんて、いつ言った?」
「え、違うの? 俺はてっきりそうだと……。だって、八年も付き合った彼女のことすら忘れちゃうくらいだからさ……」
言われてみれば確かにそうかもしんないけど、でも相手は……
「で、とんな子だったの? 桜木が一目惚れするくらいだから、けっこうな美人さんなんだよね?」
だから、一目惚れじゃねぇっつーの!
って言ったところで、思い込みの激しい松下のことだから、それをひっくり返すってことは、まずありえないだろうし、いちいち否定すんのも正直面倒くさい。 それに、当たらずとも遠からずだし。
「可愛い……かったよ? 多分お前も一目見たら気に入るタイプ……だと思う」
「俺? 俺はだって……」
知ってるでしょ、とばかりに目を細める松下。
ああ知ってるよ、松下が実は生粋のゲイで、なんなら週末ドラァグクイーンやってることも、男の恋人がいることも、俺は知ってる。
「だからお前に相談してんだろ?」
女ならともかく、こんなにも男の顔がチラついて離れない、ってことの意味が分かんねぇから……。
一世一代の覚悟を決めてプロポーズをした結果、意味も分からないままフラれたことは既に報告済みだったから、その後のことから……だけど。
松下は俺の話を、ずっと黙ったまま、時折小さく頷きながら最後まで聞いてくれた。
そして、俺が全てを話終えると、残っていたコーヒーを一気に飲み干し、「そっか……」と小さく呟いた。
別に、明確な答えを期待していた訳じゃない。でも何か言って欲しかったんだと思う。
「俺、おかしい……よな?」
空になった缶をゴミ箱に捨てようと、腰を上げた松下の背中に問いかけた。
「うーん、確かにおかしくはあるよね……」
やっぱりか……
自分でも薄々気付いていたこととはいえ、面と向かって言われると落ち込むもので……。俺はがっくりと肩を落とすと、今度は地面に向かってため息を落とした。
「でもさ、一目惚れだったんでしょ? なら仕方ないで済ませちゃ、本当はいけないんだろうけど……」
「ちょっと待て。俺が一目惚れしたなんて、いつ言った?」
「え、違うの? 俺はてっきりそうだと……。だって、八年も付き合った彼女のことすら忘れちゃうくらいだからさ……」
言われてみれば確かにそうかもしんないけど、でも相手は……
「で、とんな子だったの? 桜木が一目惚れするくらいだから、けっこうな美人さんなんだよね?」
だから、一目惚れじゃねぇっつーの!
って言ったところで、思い込みの激しい松下のことだから、それをひっくり返すってことは、まずありえないだろうし、いちいち否定すんのも正直面倒くさい。 それに、当たらずとも遠からずだし。
「可愛い……かったよ? 多分お前も一目見たら気に入るタイプ……だと思う」
「俺? 俺はだって……」
知ってるでしょ、とばかりに目を細める松下。
ああ知ってるよ、松下が実は生粋のゲイで、なんなら週末ドラァグクイーンやってることも、男の恋人がいることも、俺は知ってる。
「だからお前に相談してんだろ?」
女ならともかく、こんなにも男の顔がチラついて離れない、ってことの意味が分かんねぇから……。
0
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
先輩のことが好きなのに、
未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。
何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?
切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。
《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。
要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。
陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。
夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。
5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。
キミがいる
hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。
何が原因でイジメられていたかなんて分からない。
けれどずっと続いているイジメ。
だけどボクには親友の彼がいた。
明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。
彼のことを心から信じていたけれど…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる