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二章
2-12
しおりを挟むクロスの発言に、嬉しいと思わないと言ったら嘘になる。しかし、私自身の問題もあって、信用しきれないものがあった。今までの人生において、クロスのようなことを言ってくれる人間はいなかった。自分に都合よく人を利用する奴、興味が無いから調子のいいことを言える奴、嘘をついて人を陥れる奴。心の汚れた人間ばかり見てきた。
しかしまぁ、こんなに、優しい人間も居るもんなんだな。
「どうもありがとう」
「........おう。なんか素直にお礼言われると気色悪いな」
「黙れ女顔」
「やめて。それ童貞って言われるより辛い」
むき出しの土や石だらけの山肌を舐めるように下っていく道を、半刻ほど歩いたところで町が見えてきた。遠目からは町には見えず、切り立った崖が視界を遮っているだけのように見えた。
しかし、近付くにつれ崖の上に僅かに覗く建物の屋根や、崖の壁に石造りの階段が遠くからは見えにくいように取り付けられているのが視認できるようになった。まるで秘密基地のようだ。
「あそこが町?」
「そうだよ........」
崖を指さして尋ねた私に、クロスが肩で息をしながら答えた。なんとも貧弱なことだ。真っ青になっている。ついでに、ドーナツ食べながら歩いたのも悪かったと思う。
「あのさ........、とりあえず宿を見つけよう。でさ、お金渡すから1人で買い物行ってきてくれない?僕は宿で休んでるから」
「別に構わないけど、私が1人で出歩いたら危険だったりはしないの?」
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