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四章
4-16
しおりを挟むウサギは皮を剥がし、胴体と脚に分けてそれぞれ棒に刺して火で炙った。内臓の中を一応確認したが、少し排泄物が残っていただけで、きれいなものだった。クラウスさんのナイフの切れ味は非常に良く、毛皮の下に軽く刃を入れただけでサクサク切れた。
結界を張り終えて戻ってきたクロスが、暗い表情で焚き火の近くに私が置いた丸太に腰を下ろしたとき、まだ先程のショックが抜けてないのかと思って何も声を掛けなかった。黙って棒に刺した肉を火に当て続けた。
しばらく火に炙られて、表面からじわじわと脂を染み出させてきた肉を見て、彼が軽く生唾を飲み込んで少し前のめりになった。
「やっぱ食べたいんじゃん」
「そりゃあ、ウサギの肉は美味しいもん」
「食べたいなら塩コショウとか出してください。どうせ入ってんでしょ」
カバンの中に腕を突っ込み、小さな木製の容器を取り出した。それを受け取り、適当に肉に振った。ほんのりと胡椒の香りが鼻をついた。
「それはしまわないの?」クロスは件の杖を己の太ももの間に挟み、持ち手を右の肩に乗せて座っていた。普段魔法を使うときにはあまり使用しないようだし、結界を張ったのならもう必要ではないだろうに。
「いや、獣とか怖いし」
「あんたの結界はそんなに脆いのか」
「そんなわけ無いだろ」
私が鼻で笑って見せると、クロスは少しムキになって言い返してきた。獣避けも、人避けもしてきたし、ここら周辺に誰も入ってこれないし僕たちの姿も見れない、と。確かに彼の魔法の腕は間違いがないのだろう。それは信じるが、ならば何故そのように不安そうな顔をしているのだ。
「……どうしたの」
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