【完結】執着系御曹司との甘く切ない政略結婚 ー愛した人は姉の婚約者でしたー

波野雫

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あなたの隣に立ちたくて

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「私も同席させてください!」

 ふたりの間にあった誤解やすれ違いが解消されて、碧斗さんがすぐに行動を起こした。

 彼はまず姉にコンタクトを取り、会う約束を取りつけた。
 だから私は、その場に自分も連れて行ってくれと何度も願い出ている。

 碧斗さんと姉が、ふたりきりで会うなんて嫌だ。
 それに、姉が彼にひどい言葉を投げつけるのではと心配している。

 そもそもこれは姉が起こした問題な上に、私自身も巻き込まれている。だから私が解決するべきだ。

 そう角度を変えながら私を連れていくように繰り返し主張したが、碧斗さんはいい顔をしない。
 なかなか折れてくれない彼に焦れながら、それでも引くわけにはいかないと食い下がる。

「私だって、大切な碧斗さんを守りたいんです!」

 必死に詰め寄ったところ、碧斗さんは口もとを押さえて私から顔を逸らしてしまった。

「碧斗さん?」

「ああ、いや。音羽の言葉にグッときて」

「へ?」

 耳が赤く染まった彼に、それまでの勢いが削がれる。
 前のめりになっていた体を引いた。

「音羽が俺を守ってくれるなんて、うれしすぎるだろ」

 小声で、ややぶっきらぼうに碧斗さんが言う。
 なんとも大胆な発言をしたものだとようやく気づき、私まで顔が熱くなってきた。

「で、でも、本心だし」

 視線を泳がせる私を素早く抱き寄せて、むさぼるように口づけられる。
 すぐさま碧斗さんの熱い舌が口内に侵入してきた。

 驚いて身を強張らせたのは一瞬で、力が抜けてあっという間に従順になってしまう。
 彼に教えられてきた通り、追いかけるようにして深く舌を絡ませた。

 いつもの穏やかさはなく、切羽詰まっているようだ。少々乱暴に弄られているけれど、嫌な気はまったくしない。

「はあ」

 ようやく顔を離されたときには、すっかり息が乱れていた。
 指で唇を拭われる。それだけで体の奥が疼いてしまい、恥ずかしくてうつむいた。

「音羽」

 視線だけチラリと上げる。
 今の口づけで熱くなっていたのは、私だけではなかったらしい。いつもは冷静な碧斗さんが、情欲に満ちた瞳で見つめ返してくる。

「降参だ。音羽も連れていく」

「よかっ……きゃっ」

 ほっとすると同時に抱き上げられて、小さな悲鳴を上げる。
 無言で向かったのは寝室で、ベッドの上に降ろされた。

「あ、碧斗さん?」

「今すぐ君を抱きたい」

 拒否は受け取らないと、鋭い視線が主張する。

 ぽろりとこぼした私の本心が、彼に火をつけてしまったのか。突然はじまった猛攻にたじたじになる。

 でも私の言葉に嘘偽りはなく、碧斗さんが好きな気持ちも本当だ。直球すぎる彼の言葉だって、恥ずかいけれどうれしくてたまらない。

 視線を寸分も逸らさないまま再開した口づけを、抵抗せずに受け入れた。
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