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真田和也 Ⅳ
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タイは俺にあっていた
マルの奥さんは妄想だと思っていたが本当に実在してしかも子供も7人もいて腰が抜けるほど驚いた
こんなに幸せそうな家族がいるのにマルの心の中が無なのはどうしてだろう マルの心のたどり着けない底が気になって仕方なかった
探ろうと思ったけど先にマルが俺に告白する
マルの奥さんには複数愛人がいて子供もマルの子?なのか定かじゃないと
何日かタイで過ごしてマルの奥さんの色目と腐った匂いにも耐え俺は日本に帰らずに2カ国を目指した
そうして俺の放浪が始まる18の秋
ドル建てた貯金は潤沢だったけど安いホテルに泊まり質素なものを食べ世界を見て回った2年
あっという間に過ぎた
世界中の人と握手して世界中の人の心を覗いた
流れてくる感情に言葉は関係ないけど心の声を聞いても外国語は理解できない
バックパッカーだと言えば大抵は優しくしてくれたけど怖い思いをした事もある
この2年で英語はだいぶん理解出来るようになった 世界で英語と米ドルは最強だ
唯一1ヶ月近くいた場所はアメリカ ニューヨーク
しかし外国は現金よりカード社会
信用第一主義
自分のステイタスのなさはアメリカではどうしようもなかった
そこで一旦帰国
日本の空気
ずっとバックパックの奥に放置されていた携帯を空港で充電して電源を入れる
解約されてなくて良かった 電子マネーが使えることが何より助かった
マルや母親から鬼電されている
雅也や康太からも
とりあえずマルと母親に帰国したことを伝えると2人とも生きていたことに喜んでくれてすぐ帰れと怒られた
電車に乗り日本の風景を眺めながらハルのことを考えてた
元気かな?
母親と2年ぶりに再会してあまりの小ささに驚いた 俺の背が伸びただけじゃなくて母親は縮んでる気がする
「ハグはなしだよ」
「わかってる」
母親は涙を拭いながらただ俺を見てた
2年のあれこれは聞かれなかった
俺が無事ならそれでいい
こんなにも心配をかけたのかと反省する
高校は休学扱いにしてるってもう高校には行かないよ 明日退学しよう
「これからどうするの?」
「ビザとってアメリカに行く」
「アメリカ行ってどうするの?」
「さぁ?」
「さぁ?ってカズのやりたい事日本じゃ出来ないの?」
俺まだ何がやりたいかなんてわからない
母親は20歳になった大きな子供に呆れて口をつぐむと手をぎゅっと握ってきた
20歳になったんだからカズの人生をカズがやりたいようにやればいい でも音信不通にだけはならないで お願い
母親の真剣な想いが伝わってくる
「なんで喋らないわけ?」
「言葉じゃ軽い気がして心を見せたんだよ」
母親が笑う
次の日から俺のステイタス作りが始まる
まずは何やるか?
就職するのは面倒くさい
俺に出来る事ってなんだろう
アメリカにも通用するステイタスってなんだろ
何も思いつかない
俺自身の禿筆すべきところは人の心がわかるという特異体質
だけどそれを秘密にしつつそれを活かせる事は何だ?
人の事を言い当てる占い師?そんなの俺には向いてない
犯人を特定するプロファイラー?冤罪は減らせるだろうけど犯人を見つけるのは無理
考えれば考えるほど俺には何もできないと思い知らされる
マルとも2年ぶりの再会
「こいつ!心配かけやがって!俺もお前の逃走に1枚噛んでると思われて美奈子さんにどんだけ絞られたと思ってんだ!」
「ごめんごめん」
「生きてて良かったよ本当に」
力強く抱きつかれた
感動の再会なのに無 何もないしんとした心の中 マルはマルのままだった
社会的地位を築こうと思って
お前簡単に言うな
「頼みますよマルさん 力になってくださいよ」
「何やるの?」
「決めてない」
「は? ははははお前らしいわ」
「まずは何やるか決めろや」
「とりあえず雇ってください」
俺はマルの店で最低賃金で働き始めた
ある日マルがkooを着てきて懐かしさにテンションが上がる
「康太来てないの?」
「来てない」
「もったいないよな才能 この服よくどこで売ってるのか聞かれるんだよ」
「もし康太が服作ってくれって来たら力になってやってよ」
「お前も康太に乗っかるなら俺も乗っかるよ」
「いや俺はダメ」
「何で?」
「何でも」
そう言ったけどkooのブランド戦略を考える
近くにあったちらしの裏にスラスラ書いた
全て違うデザインで最初20着ぐらい作って限定で売る
1着5万以上 販売は通販
「どう?マルに見せる」
「5万って高くないか?」
「服の原価がどれくらいかはわからないけど世界に1枚は価値がある そんなブランドにすればいい
1番大事なのはデザインの流出
信用できるスタッフで少数精鋭で回さないと」
「人のステイタス作りのアイデアはすぐ出るのに自分のは未だ皆無だな」
マルがそのチラシを大事に折りたたんで康太が来たら見せるよと引き出しにしまった
マルの店で働いて半年
念願のクレジットカードができた
この国はアルバイトでもカードを作れる稀な国だ これでアメリカが近づいたとカードを財布に納めた頃
「お前出前授業やってみない?」
マルが前触れもなくそう言った時予感めいたものがあった
小学校に行って世界を旅した話をする
校長か教頭か主任かよくわからんが知り合いの先生にマルが頼まれたがあがり症で断ったらしい 代わりの人を紹介してくれと言われて俺に回ってきた
ギャラも少しは出るそう言われたけどノーギャラでよかった
小学生に旅の話をするのは楽しかったし旅の事を思い出せてより一層また海外に旅立ちたいと思えた
話が終わって帰ろうとしたら1人の男の子が握手してくれとやってきた
「いいよ」
手を握る
ひだまりだ 康太に感じたようなポカポカした暖かさ
俺も私も
そう言って人だかりができてみんなと握手した
ほとんどの子供達がひだまりを持ってて俺の心は久しぶりに満たされた
中には悪意や嫉妬や悲しみのある子がいたが大人に比べたらほんの小さな豆くらいにしか感じない
そうか 子供だ
子供は俺の心の安定剤になってくれる
海外ボランティアをする
やりたい事が見つかった
マルの奥さんは妄想だと思っていたが本当に実在してしかも子供も7人もいて腰が抜けるほど驚いた
こんなに幸せそうな家族がいるのにマルの心の中が無なのはどうしてだろう マルの心のたどり着けない底が気になって仕方なかった
探ろうと思ったけど先にマルが俺に告白する
マルの奥さんには複数愛人がいて子供もマルの子?なのか定かじゃないと
何日かタイで過ごしてマルの奥さんの色目と腐った匂いにも耐え俺は日本に帰らずに2カ国を目指した
そうして俺の放浪が始まる18の秋
ドル建てた貯金は潤沢だったけど安いホテルに泊まり質素なものを食べ世界を見て回った2年
あっという間に過ぎた
世界中の人と握手して世界中の人の心を覗いた
流れてくる感情に言葉は関係ないけど心の声を聞いても外国語は理解できない
バックパッカーだと言えば大抵は優しくしてくれたけど怖い思いをした事もある
この2年で英語はだいぶん理解出来るようになった 世界で英語と米ドルは最強だ
唯一1ヶ月近くいた場所はアメリカ ニューヨーク
しかし外国は現金よりカード社会
信用第一主義
自分のステイタスのなさはアメリカではどうしようもなかった
そこで一旦帰国
日本の空気
ずっとバックパックの奥に放置されていた携帯を空港で充電して電源を入れる
解約されてなくて良かった 電子マネーが使えることが何より助かった
マルや母親から鬼電されている
雅也や康太からも
とりあえずマルと母親に帰国したことを伝えると2人とも生きていたことに喜んでくれてすぐ帰れと怒られた
電車に乗り日本の風景を眺めながらハルのことを考えてた
元気かな?
母親と2年ぶりに再会してあまりの小ささに驚いた 俺の背が伸びただけじゃなくて母親は縮んでる気がする
「ハグはなしだよ」
「わかってる」
母親は涙を拭いながらただ俺を見てた
2年のあれこれは聞かれなかった
俺が無事ならそれでいい
こんなにも心配をかけたのかと反省する
高校は休学扱いにしてるってもう高校には行かないよ 明日退学しよう
「これからどうするの?」
「ビザとってアメリカに行く」
「アメリカ行ってどうするの?」
「さぁ?」
「さぁ?ってカズのやりたい事日本じゃ出来ないの?」
俺まだ何がやりたいかなんてわからない
母親は20歳になった大きな子供に呆れて口をつぐむと手をぎゅっと握ってきた
20歳になったんだからカズの人生をカズがやりたいようにやればいい でも音信不通にだけはならないで お願い
母親の真剣な想いが伝わってくる
「なんで喋らないわけ?」
「言葉じゃ軽い気がして心を見せたんだよ」
母親が笑う
次の日から俺のステイタス作りが始まる
まずは何やるか?
就職するのは面倒くさい
俺に出来る事ってなんだろう
アメリカにも通用するステイタスってなんだろ
何も思いつかない
俺自身の禿筆すべきところは人の心がわかるという特異体質
だけどそれを秘密にしつつそれを活かせる事は何だ?
人の事を言い当てる占い師?そんなの俺には向いてない
犯人を特定するプロファイラー?冤罪は減らせるだろうけど犯人を見つけるのは無理
考えれば考えるほど俺には何もできないと思い知らされる
マルとも2年ぶりの再会
「こいつ!心配かけやがって!俺もお前の逃走に1枚噛んでると思われて美奈子さんにどんだけ絞られたと思ってんだ!」
「ごめんごめん」
「生きてて良かったよ本当に」
力強く抱きつかれた
感動の再会なのに無 何もないしんとした心の中 マルはマルのままだった
社会的地位を築こうと思って
お前簡単に言うな
「頼みますよマルさん 力になってくださいよ」
「何やるの?」
「決めてない」
「は? ははははお前らしいわ」
「まずは何やるか決めろや」
「とりあえず雇ってください」
俺はマルの店で最低賃金で働き始めた
ある日マルがkooを着てきて懐かしさにテンションが上がる
「康太来てないの?」
「来てない」
「もったいないよな才能 この服よくどこで売ってるのか聞かれるんだよ」
「もし康太が服作ってくれって来たら力になってやってよ」
「お前も康太に乗っかるなら俺も乗っかるよ」
「いや俺はダメ」
「何で?」
「何でも」
そう言ったけどkooのブランド戦略を考える
近くにあったちらしの裏にスラスラ書いた
全て違うデザインで最初20着ぐらい作って限定で売る
1着5万以上 販売は通販
「どう?マルに見せる」
「5万って高くないか?」
「服の原価がどれくらいかはわからないけど世界に1枚は価値がある そんなブランドにすればいい
1番大事なのはデザインの流出
信用できるスタッフで少数精鋭で回さないと」
「人のステイタス作りのアイデアはすぐ出るのに自分のは未だ皆無だな」
マルがそのチラシを大事に折りたたんで康太が来たら見せるよと引き出しにしまった
マルの店で働いて半年
念願のクレジットカードができた
この国はアルバイトでもカードを作れる稀な国だ これでアメリカが近づいたとカードを財布に納めた頃
「お前出前授業やってみない?」
マルが前触れもなくそう言った時予感めいたものがあった
小学校に行って世界を旅した話をする
校長か教頭か主任かよくわからんが知り合いの先生にマルが頼まれたがあがり症で断ったらしい 代わりの人を紹介してくれと言われて俺に回ってきた
ギャラも少しは出るそう言われたけどノーギャラでよかった
小学生に旅の話をするのは楽しかったし旅の事を思い出せてより一層また海外に旅立ちたいと思えた
話が終わって帰ろうとしたら1人の男の子が握手してくれとやってきた
「いいよ」
手を握る
ひだまりだ 康太に感じたようなポカポカした暖かさ
俺も私も
そう言って人だかりができてみんなと握手した
ほとんどの子供達がひだまりを持ってて俺の心は久しぶりに満たされた
中には悪意や嫉妬や悲しみのある子がいたが大人に比べたらほんの小さな豆くらいにしか感じない
そうか 子供だ
子供は俺の心の安定剤になってくれる
海外ボランティアをする
やりたい事が見つかった
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