愛脳中毒

じえり

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合格者7人Ⅱ

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ロビーから階段を登り廊下を進むと小中が一つのドアの前で止まる
「ここがNo.8の部屋です」
俺は鍵を使って部屋に入り中を見渡す
10畳ぐらいの清潔な白い部屋 窓はなし
快適そうなベッドとスタンドライトがついた簡素な机と椅子 カラオケにあるような呼び出し電話
冷蔵庫と電子レンジ キッチンはなし
トイレとお風呂付き
テレビもラジオもない時計もないし外が見えないから今が何時ぐらいか全くわからない
「服を着替えて待機してください」
「何時ですか?」
「ここで時間は重要ではありません」
そう言って小中はドアを閉めた
面接前の食事が昼ごはんなら今は夕方?お腹はそんなにすいてない
耳を澄ましても全くの無音
防音なのか?それともほんとに何の音もしてないのか?
とりあえず服を着替えてマイロの服を備え付けのクローゼットにしまう
クローゼットの中に今来たスウェットと同じものの上下が2枚吊るしてあってザワっとした
恐怖?不安?皮膚が敏感に何かを察知したようだった
何もする事がない
ベッドに横になって目を閉じる
これからどんなことをしてどんなことをされてどうなるのか全くわからない
「合格者の皆様娯楽室に移動ください 場所は廊下の突き当たりです」
アナウンスされて部屋を出ると向かいの部屋15番から同じように部屋を出て来た女に会釈をしながらとろとろと廊下を歩き出す
面接後に不合格になった者はいなかったようで2番4番10番13番15番18番と俺の7人
女が3人で男が4人
娯楽室は本当に娯楽室だった
卓球台 ビリヤード ダーツ 漫画 雑誌
フリードリンク ヨギボー ピアノ
目を見張ったのはレコードの数
「皆様お疲れ様です 当館でのルールを簡単にご説明いたします
当館では名前でなく番号でお呼びいたします 自分の番号以外のものはなるべく触らないようにお願いします
全てのものに番号がありますのでご注意下さい」
そう言って近くにあったビリヤードのキューの持ち手の番号を見せる4番
「明日から治験が始まります 皆さんが全員同じ治験ではありません
基本朝食はアナウンスの後食堂に移動してください 昼と夜は各々が食べたい時に電話でご連絡ください」 
「好きなものを食べられるんですか?」
「いいえ キチンと計算された食事が各々用意されています」
「食事以外でお腹空いたらどうしたらいいですか?」
少し肉付きのいい2番が剥れながら発言する
「食事だけで満足出来ると思います それでもお腹が空いて困る時は遠慮なくご連絡ください」
それを聞いて安心したのか2番は黙った
「テレビないんですか?」
「ないです 最初よく言われますが何日かたつとテレビを見たいという人はいないです」
俺ははなからテレビを見たいとは思わない
電気を止められていたから見たくても見れなかったし見ても面白いと思うものはない
「当館内のスタッフルーム以外はどこでも見て回れます しかしアナウンスがされたら必ず部屋に戻ってください」
「戻らないとどうなりますか?」
「ルールを守れないとみなし治験は終了します ペナルティで報酬も満額支払われません」
何のためにここに来ているのか?を明確にしている
ここに集まった人間は金が欲しい
しかも誰かの紹介でしか集まれないとなればその紹介者はきっと裏切ってはいけない人物だと思う
俺がそうであるように
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