黒き魔女の世界線旅行

天羽 尤

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第1章

退場と移動。

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…ふわりと、浮遊感と共にカナと入れ替わったカナは、漸く元の状態に浮遊感から引き戻されて帰って来たわ。さっきまできちんと見ていたけれど、怖いわね。

そっと顔をあげれば阿鼻叫喚な現状だわ。空気がさっきとは違う。
暫く、辺りを見回した後にロゼさんに振り返れば、ロゼさんは苦々しい顔のままで、カナに小さく頷いて口を開くわ。

「……実技は終了だ。これを見て、お嬢さん達に何か言ってくる輩はいないだろうが。…もし、何か言ったら、ステラが相手すると、言ってくれ。それなりに効くはずだから。それに、お嬢さん、戻って来たらしいな。色が元に戻っている。」

カナは、ロゼさんの言葉に小さく頷いたけど聞きなれない言葉にすぐに首を傾けつその意味を聞こうと口を開くわ。

「そう、みたい。…ステラ?随分と素敵なお名前さんね」

それを聞けば、ロゼさんは小さく頷き笑みを浮かべているわ。

「ステラは俺が所属する傭兵チームの名前だ。あと5人いる。何かあったら頼ってくれよ」

ロゼさんのその言葉はカナにとって便りになるものだったわ。

「なら…ここの街で泊まれる所を教えて欲しいの。ここに来たばかりで…」

カナはとりあえず、セトを休めないといけないと思ってロゼさんに聞いたわ。
それを聞いたロゼさんは小さく頷いて倒れているセトの腕を取り肩を組むようにして立ち上がれば、騒然としている客席の中で唯一、落ち着いている区画の方に視線を向ければ、その中で3人だけが席を立ち上がり去っていくわ。

「よしわかった。俺の仲間も紹介したいし、いいだろう。仲間にはギルドマスター…ここの一番偉い奴に話を通しておくから、そのまま向かおう。行こうか」

未だ落ち着く様子のない客席を眺めながらカナはコクリと頷いたわ。
きっと、後でそのギルドマスターさんという人がこの状態を沈静化させるのかしら…大変ね。
そう思いながら、カナは去っていくロゼさんの後を追いかけるわ。

その後すぐに誰かが先程までカナ達がいた場所に降り立った姿が見えたけれど、それ以上は先を進むロゼさんを追い掛けていくから見えなくなったわ。

誰かしらね…耳の尖った癖毛の強いスラっとしたスマートなお兄さんに見えたけれど…。

受付の近くまでロゼさんに一足遅れて戻って来れば、 入って来た時の雰囲気とは違いただ、カナ達を遠巻きに眺めるだけの人ばかりだったわ。

……逆に、不信感が出て来てしまうけれど。

カナは、受付のカウンターで疲れている様子のハイネさんの方へ視線を向ければ、何やらロゼさんとお話ししているわ。ロゼさんもハイネさんもなぜか顔を歪めていたわ。
途切れ途切れだけど、何か聞こえるわ。

「…だから……ったのよ。闇と光……伝承……けれど、……見たことない……後処理は、こちらで……。…ギルドマスター……こちらからも……。光り輝く、聖杯……同時期…否応無しに、皇女の耳……届く…」

遠すぎて内容は把握出来ないわ。それに、何を言っているかわからない。
先程までのあれで、カナは思考する事さえ出来ないから、オークさんに開けられた洋服の穴と傷を見れば、どうやら傷口だけは塞がっていて、不思議だったわ。きっと、魔法吸収で回復したのかしら。
わからないけれど。

暫くして、ハイネさんと話を終えたらしいロゼさんが此方に近づいて来てカナに声をかけるわ。

「ハイネとも話して、そこのセトと共に明日、ギルドマスターと面談して、クラス認定を授ける流れにしてあるようだ。なので、今日はゆっくり休むことにしよう。俺たち贔屓の宿がある。安くて悪くないから紹介しよう。向かおうか。因みに名前は、【ドラゴンの髭亭】だ。飯は美味いから期待してくれ。」

そう言って、ロゼさんはニッと笑ってカナをその宿屋に案内するために歩き出したわ。
……ロゼさんはイケメンね。さっきのオークさんとは大違いだわ。

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ロゼさんの仲間とチームの名前を出しました。
後ほど、該当部分を更新します。


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