黒き魔女の世界線旅行

天羽 尤

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第1章

竜の髭亭

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先行するロゼさんの後をついて行きながら、その竜の髭亭という所を目指しているわ。
セトは相変わらず起きないからロゼさんに背負われたまま。

街を行き交う人々はセトを背負うロゼさんを見ては親しげに笑みを浮かべていたわ。
ロゼさんはきっと、この街の人に慕われているのね。特に、女の人達はまるで、芸能人を見るように黄色い声を上げ口元に手を宛行いてロゼさんの姿に興奮していたわ。

ロゼさんイケメンだもの。きっと、カナがいる世界だとすごいモデルさんになれるわ。

…でも、芸能人だったら握手とか求められるわ。…でも、なんだか遠巻きに見ているだけ…
なんで、なんだろう。……何処か壁があるように感じられるわ。そう、女の人たちはそんな感じがするの。
言葉にうまく言えないけど、そんな感じを受けたわ。

大通りを抜けて一歩裏路地に入れば、大通りとは違って、そこは少し暗く日陰が多いわ。
その先には白い行灯が灯っているところがあるわ。

行灯には見たことない字で、何か書いてあるけれど、何故かゆっくりと日本語に変わっていくわ。
「竜の髭亭」って書いてあるのね。
多分、全言語取得のおかげね。

ロゼさんはチリンチリンとドアの鈴を鳴らしながらを中に入っていくわ。

「ここだよ。店の親父さんとお話ししてくるから、入ってすぐ右の椅子に座って待っていてくれるかな。」

ロゼさんは、セトを近くの長椅子に寝かせながらカナに問いかけて来たわ。

「大丈夫。悪い人が来なければ…」

カナの回答にロゼさんはにっこりと笑って頷くわ。

「ははっ、大丈夫さ。こんな所で騒ぎを起こす奴なんてそうはいないさ。一度騒ぎを起こせばそれが噂になって広まり、全ての同業者達に問題のある客と知られれば、泊まることすら叶わない。そんなリスクを負う奴はみたことはないさ。それに、大抵の宿屋の経営者は元冒険者が多いのさ。蛇の道は蛇の道ということさ。不安?」

ロゼさんの説明にカナは頷いて答えたわ。

「ううん、それなら大丈夫」

カナはゆっくりと小さく頷いて未だ目を覚まさないセトの隣に座ってロゼさんを見ると、一度だけ頷いて口を開くわ。

「じゃあ、すぐに戻ってくるからね。」

そう言ってロゼさんは、建物の奥に入っていくわ。

カナはそれを待つことにしたわ。

ロゼさんを待つ間、カナは少しだけ頭を動かすことにしたわ。

まずは、セトが放ったあの光とあの結果。
……人がお塩になるなんて初めてみたけれど、そういうことがあるのかしら。
……塩化するとなると、水分や全てそれになったということ。
ここで、今更ながら、カナは自分が来てしまった世界が今まで生きていた所とは違うということを実感したわ。
…それと、カナが簡単に何か…スキルを覚えてしまうことも、疑問ではあるわ。通常であれば、自転車が乗れるようになるというという事と同じで練習とかして、覚えるものだと思うわ。
なのに、次々と覚えているわ。
…あとは、カナの中のカナ。多重人格ではないと言っていたわ。多重人格であれば、記憶の共有、会話ですら不可能なはず。
…でも、身体を奪い合うことには今はなっていない。それに、…敵ではない気がするわ。なんとなく、だけれど。

最後に、カナのアンカー。世界に降り立てば、何かしら感じるとか通常であるのかも、わからない。
けれど、手がかりすらもない。

…わからないことばかりで、それにわからないことが、わからないということが現状を示す的確な言葉と思う位に、曖昧だらけだわ。

…やはり、胡散臭いけれど、ジョンに説明を求めるということしかないのかしら。

そう思考を巡らせていれば、ゆっくりとセトが身じろぎして、ゆっくりと目を開くわ。

「お嬢、さま…?……は、申し訳ございません」

ゆっくりと顔を上げたセトは自分の置かれている状況を見れば慌てて立ち上がりカナの顔を覗き込むわ。

「お嬢様、なにかお怪我は?野蛮な輩になにか不埒なことを…やはり、あの野蛮な冒険者め、許さないぞ…!」

………暴走しているわ。止めた方がいいのかしら。

カナがどうしようかと迷っていれば、奥からロゼさんが顔をのぞかせ、セトの様子に、苦笑いをして頭を掻いているわ。

「こっちまできこえてっぞ。……その冒険者達を蹴散らしたのはどこのどいつだ。と……話はすんだ。部屋は広い一部屋を取ってある。無論、仕切りもある。部屋の案内とここの店主に会わせるからついて来てくれ」

ロゼさんが言った言葉に、セトは固まり顔を真っ赤にしているわ。ロゼさんは奥を指し示して促してもいる。

…カナはとりあえず、ロゼさんの示すままに向おうかしら。
………セトは後で復活するはずよ。ふふふ。

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間を開け、申し訳ございません。
不定期になるとは思いますが、更新はしていこうと思います。
改めまして、お願い致します。
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