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お前はどうしてそうなんだ。
7*
しおりを挟む「~っ、あ、うご、動かないで、くれっ」
「っ、ん、無茶、言うなよっ」
俺だって、少しくらいは優しくしてやりたいという気持ちがあるのだ。
挿入も本当はもうちょっとゆっくり様子を見ながらやろうと思ったのに。
フジモリの言葉に、ぐわっと頭の後ろが熱くなって、思わず衝動的に突き入れてしまった。
入れた瞬間、フジモリの中は乱暴な突き入れにもかかわらず、直ぐさま俺のペニスにピタリと形を合わせて。
ぐにぐにと揉むような胎動に腰の後ろが痺れ、持っていかれそうになって奥歯を食いしばって耐えた。
気を抜くと出してしまいそうになるあまりの良さに、気持ちよくしたいなんて、どの口が言うのかと、腹立たしさが沸くくらいだ。
どうにもこうにも、じっとして居られなくて。
腰を揺すり始めてしまえば、組み敷いたフジモリが肩をビクビクと震えて静止を求めてくる。
しかしながら、そんな言葉とは裏腹に、コイツの胎内ときたら、きゅっ、きゅっ、っと、ひっきりなしにペニスにしがみついてくるのだから、止まれるわけがない。
やばいな、と危機感を覚える。
セクサロイド機能に特化したアンドロイドとやったら、人間とのセックスでは物足りなくなる、なんて噂を聞き及んでいたが。
今までしたセックスより数倍気持ちが良い。
「くっそ……」
射精したい。コイツの中に出したい。
そればかりが頭の中を占め、余裕なんてなく。
八つ当たりのような悔しさに、先ほど指で弄ってやればヨガっていた前立腺を狙って腰を打ち付ければ。
「そこっ、……だ、だめ、だっ! ……っ」
「っ、この馬鹿っ!!」
「っ!? あ゛、あ゛、ぁ゛、や゛ぅ゛ぁっ!!」
フジモリが何が起きたのか分からないといった様子で目を見開いて、しかしぎゅうっと眉間に皺を寄せて首を振る。
だがそれでも止まらない俺に、何をコイツは思ったのか。
いや、正しくは俺の前立腺を突き上げる動きから逃げようとしてなのだが。
フジモリは自ら腰を揺らし狙いを逸らそうという愚行に走り、無垢な痴態に俺は危うく頭の血管がぶち切れそうになった。
そんな事をされたのだから、思わずフジモリの尻をひっつかみ、前立腺を苛め抜きながら奥まで突っ込んでイってしまったのは仕方がないことだ。
アンドロイドにも射精機能があるのか、俺が奥に突き入れたタイミングで中が酷く締め付けながら痙攣して、フジモリのペニスからビシャっと粘ついた液が噴出していた。
「くっ、は、ぁ……」
「あ゛、ぅ、マサ、マサノブ」
強烈な快感を伴う射精後の余韻に浸りつつ。
尿道に残ったザーメンを残らずフジモリの中に塗りつけたい欲求のままに緩く腰をゆすっていたら、フジモリが膝裏から外した手をゆるゆると俺の手に伸ばしてきて。
なんだか不安そうに見えて、無意識にその手を握ってやったら、フジモリがほっとしたような顔をするものだから。
「~~クソ、そういうこと、すんなよ……」
「すま、ない。信号が……ちか、チカして、こわ、怖い」
「ん、いーよ、大丈夫だ。エラーは出てねーから」
おっさん相手にエロカワとかいう言葉を頭に浮かべた自分に思わず悪態を零してしまい、俺の言葉に慌てて手を離そうとするフジモリの手に指を絡めてなだめる。
世に言う恋人つなぎという奴だ。
フジモリの手は分かっちゃいたが俺よりゴツくてデカくて、そのくせ弱々しく俺の手を握りかえして逃げ出さない。
まったくもって、まずいな、と思う。
フジモリの仕草に口の端がにやつくのを見られたくなくて、はあ、っと溜め息をついて、身体を倒す。
ふよふよとしたオッパイでなく、むっちりとした厚い胸板がお出迎えして、その上に顎を乗せて視線をあげれば、太い首には無駄に喉仏があった。
「……マサノブ?」
俺の様子を窺おうと、首を曲げ俺の名を呼ぶフジモリの声は戸惑った色が滲んでいた。
「マサノブ、どうしたっ……ぁっ!?」
「乳首も感じるんだな」
「か、感、じては、わか、分からない、……や、止めて、くれ、また、違う、なに、なにか……」
ちょっと視線を横にずらして、目に入ったオッサンにしては乳頭がプチッと可愛らしい形をしているそれを。
戯れに舐めてみようなんて何故思ったのか。
ハギのメモに胸については書いていなかったが、どうやらセクサロイド機能として胸もしっかり性感帯が施されているらしい。
フジモリの反応が良くて。つい、じゅっと、吸ってみたらまたビクビクと身体を震わせるものだから。
「ん、……あー、クソ、ほんとエロいな………」
「あ、はっ、ぁ、そん、なっ、マサノブ、待って、待ってくれっ……!?」
思い出して欲しい。俺は相変わらずコイツの中にまだ居座っているのだ。
フジモリの意思を抜きに、セクサロイド機能というのは性的刺激をされると反射的に相手を悦ばせようとしてしまうのだろう。
ぐにぐにと竿を刺激されれば、普通に2回戦くらいは余裕の体力を持っているから、勃たないはずがない。
――本当に、終わってんな。
2回目なのに、自分のペニスが既にガチガチになっている事に、ふっと自嘲する。
この調子じゃ本当に、きっとフジモリ以外とのセックスなんて物足りなく思うのだろう。
怖いとフジモリは言うが、俺だって怖い。コイツにどっぷりとハマってしまって、この先どうなってしまうのだろうか。
「ぅっ、ぅ、あ゛っ!? へ、へん゛、変だ、そご、はぁっ!?」
先ほどの入り口にほど近い前立腺とはまた違って奥に深く入れたまま、腰を回して中を掻き回しつつ時折奥を突いてやれば、フジモリが喉を晒し痙攣する。
「ここ、突き上げると中がうねるなっ。お前は、どんな感じなんだ?」
きゅうきゅうと締め付けられる度に射精欲が襲ってくるのを少しでも意識をずらしたくて。戯れに尋ねれば、フジモリは答えるしかない。
「データ、がっ、飛んで、いっぱ、いっぱいに、マサ、マサノブが、ぁっ、あ゛、あ゛、あ゛、ぁ゛あ゛っ!?」
「っぐ」
急に胎内の動きが変わる。
中へ中へと、引きこもるような動きに、たまらず腰を奥まで押しつけてしまう。
「あ゛、ぉ、お゛、おっ、お゛ぉ~~」
ぐぷ、とフジモリの中で音がした気がした。
一瞬、今までと違ったトーンの声に心配になってミニディスプレイに視線を向けるが、変な表示は無く。
安心した拍子にふとフジモリの顔を見て、危うく、もっていかれそうになった。
「おま、ほんと……」
ほんとにオーバーヒートしていないのか、首まで真っ赤にしたフジモリが、瞳を揺らしながら口元をだらしなく開けて喘いでいた。
眉間には皺が寄っているのに、口の端が緩くあがったそれは、紛れもない快楽に揺蕩う人間の表情で。
それをもっと崩してやりたくなって、腰を突き入れれば応える様にフジモリの腰がゆれ痙攣するように胎内がびくびくと波打つ。
「あ゛、や、ぇ、だ、あ、ぉ゛、なかぁあ゛、な、が、あ゛ぁ、あ゛~~!!!」
「――っ、くそっ」
嫌だ嫌だと口で言いながら、フジモリの足がゆるりと持ち上がって俺の腰の後ろに回る。
踵が、俺をフジモリ自身へと誘う様に尾てい骨のあたりを押してくる。
その仕草にブチッと、何かが切れる音がした気がして。堪らなくなって、気がつけばフジモリの尻がひしゃげるくらい腰を押しつけ、奥の行き止まりを捏ねくり回していた。
「だめ、だぇ、だっ、お、お゛ぐっ、むり゛っ、む゛り゛ぃっ、壊れ゛、る゛っ」
「うっせえっ、お前はっ、大人しく、喘いでろっ」
ばちゅばちゅと、腰を叩き付ける度に酷い、ぬれた音が響く。
沸騰した頭でエラー音が出てないから大丈夫だと、鳴るなよと思いながら。
フジモリの言葉とは裏腹に、くぱ、くぱと、フジモリの奥が亀頭の先に吸い付いてくる。結腸弁なんて本当はもっと先にあるはずのものだが。きっとそれを模したソコをブチ抜いて、コイツに種付けできたら、どれだけ気持ちが良いだろうかと言うことで頭が一杯になる。
舌が回らず、だらだらと口や目やペニスから液体を漏らすフジモリの顔はそれは酷いもんだ。全く持って色気の欠片もない呻き声のような嬌声なのに、腰が熱く重くなって仕方がない。
「入れろっ、俺が、欲しいん、だろっ」
「お゛っ、ぁ゛っ、マサ、マサノブっ、マサノブが、欲しっい゛ぃ゛」
視線が、ユラユラと覚束なかったくせに。
俺の言葉で急に、フジモリの瞳が俺を探してとらえて。
まるでそれに同調するように緩んだ結腸弁に亀頭の先がぐぶっと飲まれた。
「っ~~ん゛――っ!」
俺を半分うえに乗せている様な状態にもかかわらずのけ反って、ガクガクと、フジモリの身体が痙攣する。
結腸に咥えられた亀頭がしゃぶられるように吸われれば、視界が真っ赤になって。
フジモリのお望み通り、一滴も残さず中に注ぎ込んでやるとばかりに種付けする事しか頭になくなり、俺はその後、長いことフジモリの尻に腰を押しつけ揺らし続けたのだった。
「壊れるかと」
「……実際は壊れてないから良いだろ」
「私はおんぼろだからな、無理をすれば壊れる可能性もゼロじゃない」
じっとりと、今までで一番、非難がましい視線を受けながら。
フジモリの言う言葉に俺はこっそりとタブレット端末を操る。
何だかんだと言いながら。
俺とフジモリがセックスパートナーだけでは無く。
世に言う、……恋人としての関係をもつことになって。
前回、色々と現実を直視したくない内容もあるが、滞りなくセックスを終えたはずなのだが。
本日2回目のお誘いをしたら、フジモリに渋られている現在だ。
まあ、コイツに嫌われない、と分かっていても。
やはりやんわりとでも拒否をされると、多少は焦る部分もある。
だいたい、俺としてもちょっとは優しくしてやりたい所も一応持ち合わせているのに。
いかんせんフジモリが妙に俺の征服欲というか、支配欲のようなものを刺激するが悪い。普通なら押し倒されるはずもない、男が俺の下に組み敷かれ。
気が急いて乱雑になった愛撫にも感じて身をよがらせるのだ。
正直、フジモリによって変な性癖の扉がガンガンにブチ開けられてしまい、俺だって制御がうまく出来なくって困惑しているくらいなのだ。
――とは言え、フジモリが壊れてしまうのは困る。
端末で調べたら、いくらポンコツのフジモリと言えど、表面の外皮はともかく、骨格の材質は人間の力ではそう簡単に傷つけるのは難しいらしい。
そういえば一般男性が鉄パイプで殴っても、数回は耐えうる素材だとどこかで聞いた気がする。
ならば、セックスで壊れるはずがないのだ。
(……ただまあ、問題は内部だよな)
それは腹の中、と言うわけじゃない。
前回、フジモリはしきりにオーバーヒートやらを気にしていたが、俺も旧式のAIであるフジモリのデータの方がやられないかと、気になっていたのだ。
気は進まないが、恥は掻き捨てだ。
ハギに「フジモリに負荷かけ続けたらやっぱやべえの?」とメッセージを飛ばせば「フジフジ古いから、ちゃんとセーフティ付けといたよ~。本格的にやばくなる前にスリープして落ちるから(人間で言う気を失うみたいな感じね!)深刻なダメージは回避できよん! 優秀な僕ちゃんに感謝して★」
というメッセージが速攻で戻ってきて。
「あんがと」と返せば「軽い~~!!」という口を突き出して非難する豚のアイコンが返って来たのを流して端末を閉じる。
今度、アイツの好きな食いもんでも買って持って行ってやるか、と思いつつ。
ハギの返信に思った以上に胸をなで下ろしながら。
目下の軒並み問題は解決したといえるだろう。
あとは、こうなったら少しフジモリの意見を尊重した方向で攻めるかと。
「まあ、適度に回数を減らす……か?」
と、提案したら、顔をしかめられ。「それでも駄目かよ、」と言えば「いや、そう言うわけではなく……」と、うろ、っとフジモリが視線を彷徨わせる。
「……別に、したくないわけでは。……むしろ、その、マサノブに触れられるのは、好ましい、のかも、知れない」
だが、壊れるのは困る。と、ぼそぼそと続けるフジモリに。
「……………だから、お前。……………そんな事言っても可愛くねえんだよ、ちょっとこっち来い」
「可愛くないのは分かっているが?」
俺の言葉に首を傾げつつ、フジモリは従順に近寄ってくる。
回数を減らすと言ったが、何回とは言ってないからOKだろと。
「まあ、あれだ。壊れないと言い聞かせて、要は慣れさせれば良いだろ」と、内心自分へ言い訳をしながら。
肩を掴んで引っ張れば、大人しく引き寄せられるフジモリは俺の意図に気がついたのか、目を見開く。
ゆらゆら揺れる瞳を見ながら「もう水を注ぐんじゃねぇぞ」と囁いて、俺は愛しいポンコツアンドロイドに口づけた。
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