勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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龍の里

85.龍の里の朱雀

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「防衛戦を張れ!ここを何としてでも通すな」

 傾斜で戦闘が始まる。今の現状だと龍の里の方が有利だろう。魔法のトラップ、地形を活かした攻撃戦法で守っている。
 だが、異様な雰囲気を出している1人の少女がいた。腰に装備された剣を高速で抜いて次々と斬っていく。
 龍の里で様付けで呼ばれていた者だ。実力も折紙付なのだろう。

「ホッホッホ、実力は本物ですか……私が相手し~ま~しょ~かあ~!」

 クジャクと呼ばれる幹部が朱雀へと近づく。クジャクは背中から二つの斜めっている剣を取り出す。
 笑いながら朱雀へと攻撃を仕掛ける。何か起こっているかは分からないが、クジャクの斬り込みが非常に早い。光り輝く一線が続くように両者でぶつかり合う。
 それとは別に魔王軍は徐々に中へと進行していく。トラップも一度使ったら再度使用は出来ない。その理念を分かっているから魔王軍は徐々に上へと攻めているのだ。

「動くとしたらそろそろかな」

 俺は後ろにいるトルゥに合図を出す。ここから魔法を放った所で気付くリスクは低いと見た。今の眼が集中しているのは龍の里達だ。しかも場所は木に生い茂っている。
 リスクも承知でわざわざ魔法を使用するわけにはいかない。

「さて……と、いっちょ派手に暴れますか」

 トルゥが下へと降り、素早く奇襲をかける。剣には光り輝き、それが閃光となり敵を斬り倒していく。
 いつの間に魔法を行使した物理攻撃を覚えたかは知らないが、敵の目をあざむくにはちょうどだろう。
 俺も下へと降り、両方をチェーンにしていたが、両方ともクローへと切り替える。
 最近になって知ったが、クロー系は格闘系の攻撃も可能としていた。主な攻撃が、クローをスライドし収納する事が可能であり、それを活かした攻撃も可能。主に集団ようになるだろう。

「一度試させてもらうとしよう」

 クローの先端は何故か思うように折り曲げる事が可能だ。その為一気に戦い方が増えた。
 俺は走り出し、魔王軍の中心へと突っ込む。クローで攻撃をしつつ、収納してからの格闘攻撃へと移る。攻撃手段がチェーンやソードと変わらない為、やりやすい戦いにはなっている。
 それに魔法による追加攻撃もクローとの相性もいい。衝撃波をクローで作り出す風魔法や、一撃必殺の接近攻撃である接近攻撃魔法「デストロイ」が行使可能だ。

「おや、客が来たようで」
「まだですよ!わ~た~し~があ~!お相手してますよ」

 ヒャッハーと言いながら戦闘を継続していた。今は魔王軍の兵を再起不能者を増やして撤退させることだけを考えないとな。
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