勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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龍の里

87.ガードナ・ベルベル

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「そういや、名乗ってませんでしたね。我が名は『ガードナ・ベルベル』。今率いている部隊ではナンバー2の者です」

 ピエロみたいな顔付きの男性は喋り方が高い時もあれば低い喋り方をする。そしてこの礼儀正しさだ。相手にも権威を示したいのだろう。
 それに周りの兵士が安心しているかのように離れていく。それくらいこの男は強いのだ。
 俺も男だ。ここは名乗っておいたほうが賢明だろう。

「俺の名は東野目和樹。お前らの言う勇者だ」
「そうですか……。ではでは勇者様よ、私の力をご覧あれ」

 するとガードナは走り出し、俺へと殴りにかかる。それを受け止めたが、一撃が重いせいか後ろへと飛ばされた。

「これは失敬、私執事の格闘は少々きついご様子で」

 こいつ殴り専門ってわけか。早いし、一撃一撃を流していたら、それこそ俺が攻撃が出来ない。
 こちらも反撃する為に走り出す。まだ魔法の効果も残っている為、速く移動が出来た。フェイントをしながら、足で首筋に足蹴りをする。
 それをもろに食らったせいで、ガードナは少しよろめいたが、すぐに体勢を立て直した。

「やりますね。ですが、私と比べるとまだ少々……」
「しゃべっている余裕あるならこれでも喰らいやがれ」

 そして続いて俺は腹に近接攻撃魔法『デストロイ』をぶつける。勢いよく後ろの魔王軍ごと吹っ飛ぶ結果になった。

「先程使用した攻撃魔法ですか……。先程の考えを改めないといけませんね」

 ダメージは受けてるとはいえ、それでも立っている。普通の兵士とはわけが違うのがはっきりと分かる。

「どちらが死ぬか。遣り合おうでは無いか」

 ガードナは走り出し、俺へと格闘で攻撃を仕掛ける。俺もクローとの連携攻撃を仕掛ける。
 お互いが互角に見える戦いだ。それにこいつ楽しんでるようにも見える。

「私と互角に戦える者は久しいですね」
「そうかい。それにお前はここで死ぬ運命には変わり無い」

 そう言ったのちに俺はもう一度、補助魔法『ハイ・スピード』を自身にかける。
 消えたかのように見せかけて後ろへと回り込む。

「まさか…、家族魔法の二重使用。それで私を超えられると…」
「あぁ、超えられるとも。お前を倒せる程にはな」

 こちらへと向いた時に先程の立ち位置へと戻り、顔に目掛けて殴りにかかる。そして更に腹へともう一度近接攻撃魔法『デストロイ』をぶつける。
 先程よりも勢いよく飛んでいき、魔王軍の兵士達に突っ込んでいった。

「……ガードナ様?」
「私の事は大丈夫です。早く魔物の投入を急ぐのです」
「は、はい」

 その男は立ち上がる。あれほどの連携攻撃を受けたとしてもまだ立ち上がるのか。

「許さないです。私をここまでにさせたあなたを許さないです。本気本気本気!本気を見せるのです!」

 急に発狂を始めた。あれ以上に本気で来るのか。それとも第二形態へと姿を変えて襲ってくるのか。彼が発狂した後、とてつもなく嫌な感じが漂ってきた。
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