勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

文字の大きさ
114 / 358
近い遺跡へと続く西の都

113.建物へと向かう途中

しおりを挟む
 彼女が話を済ませた後、椅子から立ち上がった。

「これで遺跡も攻略が楽になる。ひとまず他の勇者に合わせるよ」

 扉へ向かう途中、お茶を入れて一口飲み込む。口直しをした後、扉へと向かう。
 ひと段落したようだし、荷物をここに置いてから向かいたい。

「あ、その荷物はそこら辺に置いといて。あとで戻ってくるし」

 俺の動作に気にしたのか、荷物を置いていいと言ってきた。なら、荷物はここに置いといてさっさと向かうか。

「てか、いつまでくつろいでるの」
「あと少し、休ませて」
「あぅ、なら休んでいていいですよ。疲れてると思いますから」

 千夜も以外と苦労してるんだな。これを見ているとそう思えてくる。

「では向かいましょうか。今もせっせとあのコンビが働いてると思いますから」

 千夜は扉を開け、外へと向かった。コンビって事は2人で一緒にいる事になる。この世界で2人で活動している勇者は初めてかもしれない。普通はこの世界の住人と共に行動しているのが多い。

 千夜のあとをついて行って外へと出る。先程とは変わらずに賑やかだ。太陽の位置からして午後を過ぎている。
 特産物も購入したり、ここの地域限定の食べ物を食べたりしている人が目立っていた。

「うぅ、美味しそうかも」
「……以外と食いしん坊だけかもしれないな」

 食べ物を食べている一般人を見ていた千夜が目を輝かせながら観ていた。以外と食べる派なのかもしれないな。
 一瞬自我を失っていたのか、気付いてから首を振って、先へと進む。市場から5分ぐらい歩いた時、一件の建物に到着する。以外と近い所にコンビ勇者がいるのか。

「ここよ。この建物の中にコンビ勇者がいるのん」
「そのコンビ勇者は強いのか?」
「2人で一緒に行動すると強いよ。ホントに」

 自信満々に言うぐらいだ。相当強力な助っ人を呼んだのだろう。そして王都からの助っ人として俺らも加わる。
 前回よりも戦力は大幅に増しているだろう。あとは世界から人員を集めて、攻略隊として編成する。今頃コンビ勇者が得た情報で何かしら対策をしているだろうな。
 千夜がその扉の中へと入った後、俺もその後をついて行った。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...