勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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近い遺跡へと続く西の都

114.コンビ勇者

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「ん?千夜じゃねえか。休んでなくて良かったのか?」
「今も絶賛休憩中ですよ。新しい勇者の方連れてきたんですから」

 建物の奥へと進んでいくと、何かをまとめていた2人組の男女がいた。この2人がコンビ勇者か。そう呼ばれるのはカップルとかありえそうだが、

「あ、爆破勇者か」
「何なんですか。そのあだ名は!」

 突如俺を見るなりに男性が呟いた。確かに俺は爆破系魔法を主に使って戦闘しているが、いつの間にかそんなあだ名が付けられていたとは……、

「爆破系魔法の使い手の勇者がいるとは聞いていたが、まさか君とはな。どう?今日でも飲みに行かない?」

 近付いて俺の肩に手を当てながらなんか飲みに誘ってくる。一応俺まだ未成年なんだけど、飲める年齢じゃないのだけど。

「そこら辺にしといたら、爆破勇者は以外と破壊力高い攻撃出来るんだからね。その飲みに行って二日酔いされたら戦力外になるでしょ」

 ちょっとなんかフォロー入っているようで入ってないのですけど。もし遺跡とかの攻略なかったら飲みに行かせても大丈夫なのかよ。

「それは困るな。それじゃまた今度ね」

 この男性は人をさりげなく飲みに行かせるのか。それともほんの興味本位でとかかな。
 あと、名前さえ聞いてない。2人は俺の事を知っているようだけど、俺からすると2人の情報は知らない。

「やっと18歳に慣れたんだから、莉子も行こうよ」
「いやよ。今は遺跡攻略を、するためにこうして準備に励んでしょ」

 何年間この世界で過ごしているかは分からないが、あと今の年齢だと俺と同い年のようだ。喋っているのに先程から作業スピードが下がってない。

「おっとまだ自己紹介してなかったね。あたいの名は冬風蒼ふゆかぜあお。宜しくな」
「ちなみに私は桜莉子さくらりこよ」
「……東野目和樹です……」

 押されるようにして自己紹介をしたけど、何だろう。今更になって強いって感じのオーラが伝わってくる。
 これが彼女達のオーラ、今の俺とは次元が違い過ぎると感じた。

「一応私達は女の子同士・・・・・で組んでいるので。最近蒼が男の子と見間違われていることが多いので先に言っておきます」

 もうほとんど男にしか見えないのですけど、こんなにイケメンな女子は初めて見たかもしれない。それはそれはありかもしれない。

「早く資料終わらせますよ。これ終わった後に下の者に買い出しに行かせる予定なのですから」
「はいはい。量も量だからな」

 蒼は俺の方とやって来ていたが、莉子の言葉で作業へと戻って行った。そして来た時と変わらずに作業へと戻っていった。

 何をまとめているかは知らないが、先程チラッと見えた感じだと装備品や携帯食料をまとめているのだろう。
 まだ日付はある事にそれを揃えるために明日までに買っておきたいのだろう。

「さ、顔合わせも終わったし、戻りますか」
「そうだな」

 2人が静かに作業を始めていたので、俺は千夜のあとについて行った。
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