勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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地下迷宮

142.その頃

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「貴様か……、俺に何の用だ」
『我々の望む被験体を見つけました』

 玉座に1人の者が座っていた。それ以外の者は辺りにいない。だが、彼以外の声が聞こえてくる。

『消し忘れていたファイルを異界の者が見てしまいました。内容はほんの一部分ですが』
「わざと…の間違いだろ?貴様らが何をしたいのか私には分からん」

 誰もいない空間にただ聞こえてくる声に対して張り合うように声を出す。

『ですが、あの被験体は我々にとっては目覚ましいスピードで成長しています。あなたの役目は分かってますよね?』
「神だか知らんが、我々の権利を奪っておいてただで済むと思うなよ。貴様の遊びで消えていった同胞達は大勢いる。我々はただでは動かん」
『お忘れですか?我々はいつでも貴方方を消す事が出来る事を……またしてはもう一度見たいのですか?』
「く……」

 玉座に座りながらも男は何にも反論が出来ない。空中から聞こえてくる不気味な笑い声は更に彼を縛り上げていく。

『我々はいつも貴方方を見ています。変な真似をしただけで……目の前が血の水で浸されるでしょう』

 笑い声を出しながら、声は段々と遠くになっていき、聞こえなくなった。
 1人、彼は聞こえなくなったのを確認した後、立ち上がり真後ろの壁へと殴る。

「くそ……、我々を島という檻に閉じ込めて何がしたいのか分からないが、我々の平穏な暮らしを奪ってからもう何年たつやら……」
「魔王様……、どうなされましたか?」

 すると1人の女性が玉座の間に入ってくる。そして壁を殴っているのを見て不信感を覚えた顔をした。

「いつも通りだ。ベレニアス、ちょうどいいところに来たな。幹部全員呼んでくれ」
「分かりました。失礼します」

 ベレニアスはその言葉を聞いた後、玉座の間を出て行った。

「この苦しみ……、失った同胞の為にも早々決着をつけないといけない」

 彼はマントを払いながら玉座の中央を歩く。そしてタイミングよく、玉座へと人が10人が入ってくる。

「幹部全員集まりました。ここに幹部が揃うって事はもしかしてー」
「そういう事だ。我々も動くのだ。我々の平穏な世界を取り戻す為に」

 彼は一切の微笑みもなく、真剣な眼差しで彼ら幹部を見ていた。そして魔王と呼ばれた彼は幹部達に命令を下すのだった。
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