勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

文字の大きさ
270 / 358
最後の砦攻略

269.覚醒した者

しおりを挟む
「こうなったら・・・本気で行くしかないか」
「俺らの本気を見つければ・・・この魔女は倒せる」

 2人はボロボロの体を起き上がらせる。先程のリーネの攻撃により、体全体を殴られる感触で爆破に巻き込まれた。
 重力破滅は重力内のあらゆる物を破壊する魔法だ。無数に殴られたような痛みが全身を走る。
 そして最終的には光り出し、その勢いで外へと飛ばされる。
 彼らはそれを耐えつつ、立ち上がっていた。
 そして両者とも腰からポーションを取り出し、それを口へと運ぶ。

「・・・ハァハァ・・・、これで少しはやれる」
「だな。俺らの本気を見せる時だ」

 息を切らしながらも、それぞれが武器を前へと構えた。
 それを見ていたリーネは剣を肩へと乗せながらも、この状況を見てため息をついた。

「まだやる気なの。あの魔法を使ったとしてもまだ立つのね」

 2人はまだ動こうとしない。そして魔力が溜まったのか、両者が同時に同じ言葉を出した。

「「無限の可能性インフィニット・ハウスビューディーズ」」

 すると彼らは光りだした。それぞれの武器もそれぞれ形を変え、光りを走らせる。
 変形が終わった時、ウィゼンは槍を回しながら、リーネへとそれを向ける。
 バラガネッサは拳と拳を強く合わせた時、電撃が走る。そして拳法のような構えをした。

「先程とは違った雰囲気ね」

 リーネが喋った直後、ウィゼンが先手を取る為に行動した。
 雷光の如く、彼女の目の前へと来た時、槍を回しながら突く。
 リーネはそれを防ぎながら、連続でそれを受け止める。

「これは俺ら2人にしか使えない奥義ってものだ」
「連携攻撃を主にする俺らの特権ってものだ」

 ウィゼンの攻撃を見ている間に後ろからバラガネッサが襲い掛かる。
 高速で繰り出されたパンチは彼女の背中を捕らえる。だが、パンチは重力の球体がそれを吸収し、無力化された。
 磁力みたく、そのまま弾かれた後、空中へと重力は上がる。その後に氷がそれを囲み、重力へと吸収されていく。
 そして、それは球体の破裂とともに氷が高速で地面へと降り注ぐ。
 先程から突いたりしながら攻撃していたウィゼンはそれに気付き、攻撃を止めてから後ろへと下り、槍を上に向けて振り回す。
 バラガネッサは地面へと力強く叩き、光りをその衝撃で身を守る。

「油断も出来ないな」
「本当に倒せるのかも疑問だ」

 2人は一度体制を立て直す。攻撃を与えられるタイミングを見つける為に・・・。
 その時、リーネは小さな声で呟いていた。

「ードライブ」

 呟き終わった時、リーネの目には先程とは違う冷たい目へと変わっていた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...