勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

最後の砦攻略

278.棺から起き上がる者

　彼女の縛りを解いて、壁沿いで休ませる事にした。
　今までの人生で彼女に何があったのか、そして一体何をされたのか、これを聞き出そうにも今の状態じゃ無理だろう。
　それにしても、一瞬どこからか驚きの声が聞こえてきたような気がした。
　どこかで何かとひどい光景でも見た時に上げた声だろうな。


「な・・・何が・・・」

　とある場所で騎士達は立ち止まっていた。地面には無数の穴、壁にめり込んだ兵士と無数のぶつかった後などがあった。
　それに加えら大量の兵士の死体も見たのだ。驚きの声を上げた後、その場で吐いていた。

「何があったんだここは」
「分からない・・・だけど大規模な戦闘だったみたいだね」

　騎士数名はその場を調べま始める。
　彼らが目にした光景はリーネがそこで暴れた場所だった。死体の中には幹部の2人の姿もあった。


　魔王城の地下、そこには無数の棺が置いてあった。その場の1つ、そこで寝ていた少女が目を覚ました。棺の蓋は最初から横にされていたので、少女は起き上がった後、少女は声が出した。

「残念、もう少しだったのに」

　そこから黒髪ロングの少女は首元を横へと振り、頭に付いた埃を落とす。
　棺から起き上がった後、そこから出るように地面へと足をつける。座り直した後にゆっくりと立ち上がり、扉の方へと歩いていく。

「だけど、ここでは負けないわよ」

　すると扉が勝手に開き、兵士達が入って来る。
　それと同時に1人、他の者とは姿が違う人物がいた。

「ベレニアス・・・」
「地下で何か動いたと思ったら・・・負けたのね」
「えぇ、お陰様で私の操り人形の制御も無くしたわ」

　2人の会話が棺のあるフロアに響く。そしてその後にベレニアスは兵士達に持たせていた衣類を彼女に渡す。

「衣類なんていらないのだけど」
「一応あなたの為に戦闘しやすい服装持ってきたんだけど」

　兵士はそれを彼女へと渡した。彼女はそれを両手で持ちながら、このフロアを出て行った。


「操っていた人物こそがアーメイヤって事か？」
「だろうね。しかも今は本人は自分自身の肉体で活動している可能性があるわね」

　リーネは理解しているかのように話す。すべての魔術を知り過ぎている感じもするが、今は彼女の言葉を信じる以外なかった。
　もし仮に操っていた肉体から魂が離されたら、魂は今頃本体の体の中にある事になる。
　今回俺が幹部を倒したとしても、本来の体と違う為、倒したとは言い辛い。

「今は先の事を考えなさい。まだ数日間はここにいるんだから」

　リーネはそれを言った後、近くにいた騎士とともに離れていった。
　この先ほんとにどのように転ぶか、今の俺は何も分からなかった。