対異世界防衛学園

くノ一

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メインストーリー

14.生徒会の仕事1

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 入学してから一週間たった土曜日、零と葵は生徒会に来ていた。先週の事と今後の方針などの会話だ。普通役員や生徒会が正式に入れるのは入学から一ヶ月程経った時なのだが、今いる生徒会長が特権で選抜してしまったのだ。
 零と葵も例外ではない。誘われて断りにくい雰囲気を作られたので入ったのだ。他の生徒会役員の話によれば、
「こんな時何かが起こる事を予知して誘ったのではないのか」
 っと言っていた。生徒会長には予知能力を持っており、先の未来や過去を見る事が出来るらしい。零父も同じような能力を持っているように。

「それで……なぜ俺達だけなんですか」
「あら、他のメンバーは後日に集合する事になっているわよ」
「………不愉快です」
 零と葵は今生徒会長室にいる。もちろん会長ただ一人だけで副会長の来夏は別の依頼で外出中だった。
「二人揃って何嫌気になっているの」
  美濃会長は息を吐きながらデスクに設置されていた電子キーボードを触り、
「まあ…本題に入るわね。まずはこのスクリーンを見てちょうだい」
 零の左側に画像が映し出された。学園の地図や予定表が流れていた。
「これは学園内の地図と予定表…ですか」
 零は見たものをはっきり答えた。美濃会長はニコニコしながら、
「そうよ。知っていると思うけど、5月にある行事、学園別学年対抗FPWS大会の会場の試運転に付き合って欲しいのよ」
 地図によると全ての会場だけで五つが表示されていた。一つ一つの会場の距離がかなり離れているため徒歩での移動では限界がある。なのでバスでの移動となる。ルートも書かれており、休みの2日を利用しての試運転のようだ。
「会場はこれだけじゃないんだけどね……、そっちはもう確認済みだからあとはここの五つだけなのよ」
 どうやらこれ以外でも使用する会場はあるみたいだった。だがそこは既に試運転とメンテが終わっているらしい。
「多分あなた達も行ったと思うけど、前に練習で使用したのがそうよ」
(あそこ既に点検終わっていたのか)
 零達が水曜に練習として使用した会場も既に点検を終わらせてたようだ。システムの更新などもしないと練習も出来ないであろう。
「今回呼んのは感想を聞きたくてね」
「あの時先生達にそれ頼んで聞けばよかったのでは……」
「直接聞きたかったのよ」
  美濃会長は机に腕を置きながら、零を見つめた。
「私の感想で良ければ…、結構地形は複雑ですね。特殊能力者や防御系能力者、そしてある特定のスキル持ちだとかなり有利になるかもしれません」
 零は体験した事を答えた。その事に美濃会長は、
「まあ、そうだろうねえ…多数のスキル持ちに特殊能力者が有利…か」
 美濃会長は何かを考えながら呟いてた。そして椅子から立ち上がり、後ろの窓から外を見渡しながら、
「それじゃ来週の試運転お願いね」
 零と葵を見てニッコリ顔をした。零は一歩後ろに下がって、
「話が終わりなら私はこれで失礼します」
 お辞儀をして後ろのドアを開けて出て行った。葵もお辞儀をしてから一緒に出て行った。一人生徒会長室に残った美濃会長は、
「今年は特に面白そうだなあ」
 一言呟いた。

「零~、今度の土日か初仕事でいいんだよね?」
 廊下を歩きながら葵が零に喋り始めた。
「そういう事になるね。来週の土日は生徒会の初仕事って感じかな」
 零もそれに答えた。エレベーターの前に来て電子板で捜査をする。
「しかし、意外だなあ…」
 葵が唇に指を当てながら、
「零も真面目に対応する事なんて」
 零も流石に「えっ?」といった表情をした。葵はいつも零は楽しんでいるように見えてたようだ。だが、零はいつでも真面目に対応していた。前の練習も魔力の使用していた時はかなりの集中力が必要になってくる。
「俺だって…真面目にやらせてくれよ…」
 零は落ち込みながら葵に言ったら、丁度エレベーターがやって来た。零と葵はそれに乗って一階に向かう。生徒会の用事はあれだけだったので、今日は寮のマンションに帰る予定だ。
「しかし、のんびりしたい日に呼び出しとか…付いてない」
「零っていつも何かがあるよねえ」
「そんなに起こってほしく無いけどね」
 昔から一緒にいる葵だからこそ、分かることだった。零も自身の運の悪さは自覚する程分かっていたつもりだ。
 エレベーターで一階に着き空いた時、目の前に、
「あら奇遇ですね」
 前にはモールの時に会った白髪の少女だった。身長も零とこのまま並ぶと同じに見える。
「あの時に駆けつけた子…ですか?」
 葵は首を傾げながら質問した。零も葵もあの時に名前は聞いていた。だがあえて口には出さなかった。
「そうです。あの数を短時間で仕留めるとは思いませんでしたが、強い人は生徒会には必要ですから、私はあなた達を歓迎します」
 零と葵と入れ替わるようにエレベーターに乗り、
「私はこれで失礼します」
 彼女は電子板を触りエレベーターの扉は閉まった。零と葵は少しそこに立っていたが、すぐに歩き出した。
「昔から零と雰囲気似ていたり、顔とかほぼ同一人物に見えてしまうよ」
 葵はロビーで呟いた。彼女は二人の事を忘れているが、零と葵は彼女を良く知っていた。
「記憶喪失…しかも俺らと1歳下の妹の事も忘れているし」
 「…それは辛いね」
 ロビーから外に出た零は太陽を見ながら背伸びをして、
「さあ…て、今日のご飯何にする?」

 葵に葵と別れて一人エレベーターに乗って生徒会長室に向かっていた白髪の少女は長い髪を触りながらエレベーターにもたれていた。
(彼……どこかで見た気がするけど、気のせいかな)
 彼女は零の事を思い出していた。前どこかで会ったと感じていたのだ。'キーン'と音が鳴りエレベーターの扉が開いた。
「あなたにしては考え事なんて珍しいわね」
 扉の目の前には美濃会長が待っていた。
「会長、私だって考え事はしますよ」
 エレベーターから降りた彼女は美濃会長の前に立ち、
「それに一年の中では私と同じ強さ、それ以上の実力者なんていませんし」
「さすが四獣神の特殊能力者候補生の言葉だね」
 美濃会長は廊下を歩き始めた。彼女もそれに続いて後を追いかけた。一枚の板で出来たガラス窓を横一面に設置されている廊下に出た美濃会長は後ろにいる彼女に振り向いて、
「今度の土曜日…あなたは知るでしょうね。彼の実力を」
 それだけ言うと生徒会長室に戻っていった。
「私と同じ強さを持つ人なんて数少ないです……」
 彼女はそう呟いた。

零達が生徒会に出向いている時に来夏は街中を歩いていた。彼女の後ろにはもう一人いた。
「来夏、巡回だからって……今日は機嫌良く無い?」
「え?いつも通りなんだけどなあ…」
 来夏ともう一人の女性の会話は日常の女子高生の会話だった。彼女は少しホッとしていた。
「澄子には何でも分かってしまうのね」
「長く付き合っていると顔だけで何でも分かるわ」
 来夏と一緒にいる彼女の名は『夢道澄子』。来夏が入学してから長く一緒にいる生徒会メンバーの一人だ。
 普通に歩いていたので何人かの学生は通っていた。
「そういえば、あなたの弟さんが生徒会に入ったって本当なの?」
 来夏の足は止まった。後ろにいた澄子に振り向いて、
「その話どこで聞いたの?」
 いつもより早口で言った。流石に動揺しているようだ。
「会長が話してくれたわ」
「あいつめ……」
 来夏は空を眺めた。空は雲一つも無い快晴で、太陽が眩しく輝いてた。
「そうねえ…かなりのやり手よ」
 来夏はそう答えると巡回を再開した。
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