対異世界防衛学園

くノ一

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メインストーリー

18.生徒会の仕事5

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 試合開始5分が経過していた。すでにあっちこっちで銃声や爆発の音が聞こえた。相手チームとの交戦状態になっているのだ。
 中央から少し離れた建物に零は物陰に身を潜めていた。
 普通はそうしなくてもいいが敵側にスナイパーが複数いるせいで身動きが取れない状況になりつつあったのだ。
「完全にあの生徒会長さんの仕業だろうなあ」
 生徒会長である美濃会長が未来を見て、この配置にしたのだろう。
 零は静かに立ち上がり、物陰から顔を出した。まず1人を仕留める行動に出ることにしたのだ。
 頭を狙うように何かが飛んで来るが、頭を少し左に傾けた事により避けた。
「まず1人はそこか」
 零は片手に持っていたハンドガンを構えた。敵の位置はここから500m離れてある高層ビルの中にいた。
  それを肉眼で見る事などは出来ないが、全員装着されている透明のサングラスだとズームして見る事も可能だ。相手もズームして更にスコープを覗いていると思われる。
 零のハンドガンから数発ビルに向けて射撃した。普通は途中で落下してしまうのだが、零の場合は必ず届いてしまう。気道のスキルでも稀に見る最上位の気道を持っている零だからこそ出来る技なのだ。
  相手も一発撃っていたようで空中で弾いた。零はそれも含めて撃ち込んだのだ。敵が逃げずにいたため一発が頭に入ったが、まだ耐久値が残っていた。後に飛んできた魔力弾によって倒れ込んだ。
 スナイパーはそのまま耐久値が0になったため転送された。零もそれをズームしながら確認していた。
「まあ、こんなものか」
 そう呟きながら屋上から飛び降りた。

「今人数は互角ってところかしら」
 中央付近は撃ち合いになっていた。それでも生存者と人数が映された小さなモニターを持ちながら美濃会長が呟いていた。
「相手もやり手はいるからかな」
 美濃会長の隣では来夏がいた。2人がいるのは本拠地なのだ。
「人数はこちら28人で相手チームが29人…、相手が一歩リードしている感じか」
 「スナイパー1人やられたのは痛いけど、まだこちらには余裕があります」
「まあ、それもそうか。こちらにも強い生徒は複数人いるからねえ」
  2人は隠密に作戦より戦闘の状況確認をしているようだった。中央に置かれた電子パネルのマップを見ようと美濃会長は近づいた。
 マップにはいくつもの点印があった。少し覗いていたら突如3人で行動していた班の点印が消えたのだ。美濃会長は少し疑問に感じた。
(突然とやられるものかしら、もしかすると……彼の仕業……?)
 彼女はすぐに答えを出した。彼なら可能だと……。

『そういえば零ー』
 道路を素早く駆け抜けている零にに通信が入った。零に通信入れるのは葵ぐらいしかいないのだが、その葵が何か気になって通話してきたのだ。
「なんかようか?」
 一度立ち止まり、周りを確認しながら零は耳に装着しているヘッドオン型の通信装置に手を当てながら答えた。
『なんで今回左目を眼帯しているの?いつもはしてないから』
 今零の左は眼帯していた。怪我ではなく自身の意思での装着だ。何かを隠すように装着していふかのようにも見えた。
「んー、一応片目を閉じていれば何かと魔力を感知…しやすいかなってね」
 勿論嘘である。魔力の根は敵がその中に入れば、感覚で分かってしまう。
 片目を何故隠すのかは葵には分かっているような素振りで、
『もしかして"あれ"を使用するの?』
 葵は"あれ"と言っていた。零は葵が言っている"あれ"とは何に指しているか、それを理解していた。
「確かにあの特殊能力を使用しないと勝てないかもしれないという予測だよ」
 1人一つだけしか特殊能力が持てないというのはない。複数の特殊能力を持っている人だっている。零はまだ先生には見せてない特殊能力を持っている。
 彼はそれを隠す為に眼帯をしている。眼帯を左に装着しているが、視野には問題なかった。スキル『気道』の効果を使って透視して見えるようにしたのだ。
 いくつもの角を曲がりそして止まる。通信はまだ継続させたままだったので、
「とりあえず、妨害はあったけど計画通りに目的地に到達。今から戻るから」
 そう言った時、零の目の前に何かが通り過ぎた。零は警戒を強めて飛んで来た方に振り向いた。
「さすが生徒会長かな…最終目標の位置もバレてたみたいだ」
『あー、無視して戻って来て。生徒会長も勝てないと予想して送って来たんだろうし』
「それもそうだな」
 敵は2人、どちらもアサルト系のライフルを持っていた。
 距離は50m程にあるビルの角からのズーム射撃。零が一気に魔力の根を広めるのは約100m。広げる前に攻撃を仕掛けてきたのだ。
 零はバリスタを使いビルの壁を素早く移動して屋上を目指した。あとはスキルの『神速』を使用して離脱を図る。敵も後を追うように射撃を繰り返す。一発も当たることなくビルの屋上に移動した。敵もバリスタで壁によじ登っているが、零はすぐに自軍陣地に撤収した。

『すみません、逃げられました』
「ええ分かりました、次のポイントに向かってください」
  美濃会長は通信を切った。
「色々とやばくなる感じかなこれ」
 美濃会長通信を終えたのを確認すると隣から来夏が話しかけて来た。美濃会長は置かれているテーブルに組み込まれている電子パネルを見てた為来夏に見る素振りもせず、
「ええ、でもまだこちらには強い味方が2人いるんですよ。そう簡単にやられては困ります」
 美濃会長は来夏と後ろの壁に立っていた雪に目を向けた。

 自軍陣地に戻った零はすぐにテーブルに設置されている電子パネルに向かった。陣地には先輩達が数人に葵がいた。一年の班は2から3人で構成されている。2年や3年も一緒だ。そのため班の人数は少なくても班の数は11班もあった。
 基地にはその班が3つの班があり、人数は7人程は待機していた。
「一応中央付近までマーキングしておきました」
 テーブルに映し出されていたマップを見ていた3人の先輩方に報告を行った。電子マップを見ていた女性の先輩がが気付いて零を見ながら、
「分かった。敵の行動次第で指示を出せるところに班に命令を出して欲しい」
 零に喋っているのは2年S組所属の観桜鈴波先輩だ。昨日の試合にはいなかったが、夜に見てたみたいだ。
「分かりました」
 零は返事をしてその場から離れた。
 現在零達の方の人数は22人、相手が21人とかなりの接戦だ。
 零は相手チームが前線に出ている人数があまりにも少ないと感じた。マップの半分ぐらいは魔力の根の範囲になっている。その中に相手チームらしき人影が3人ほどしか確認出来なかったのだ。
「相手も魔力の根対策してきたってところかな。…それにしてもこの嫌な感じはなんなんだ…」
 何か胸騒ぎがしていた。何かをして来そうだと…。
 零はすぐに通信チャンネルをチーム全体に届くように設定をした。そして、
「全員、相手は奇襲してくる可能性がある。」
 零はある程度予測して言った。相手は後方に一度下げて、早い人で構成された班で奇襲を仕掛けてくると予測したのだ。
「相手は後方に下げさせている。これは予測だが、相手は数人でスピードの速い人達で襲いに来る可能性がある。合流しつつ、警戒を怠るな」
  言いきると複数の班から「了解」などの返事が返ってきた。
 通信を終えた零の所に葵がやって来た。試合開始から自軍地に待機させていた。
「そろそろ動く感じなの?」
 葵が片手にマシンガンを持ちながら暇をしていた。
 「そろそろ行く準備しておいて。多分相手も同じ事をしてくるだろうから」
 零は再度戦場に戻って行く。
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