奴隷ダンジョン

えすってぃ

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【序章】

第一話:終わる日常

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 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 木渡流《きど ながれ》はオンラインゲームが大好きなだけの
 所謂いわゆるゲームオタクだった、生活の殆どは

 バイト→ゲーム→寝る→バイト→ゲーム→寝る

 それを単調に繰り返し続ける毎日で、バイトの時間も頭の中ではゲームの事ばかり考え、
 寝ても覚めても、繰り返されるイベントをどう効率よく攻略すれば良いのか?
 ライバル達を出し抜くには何が必要か?バイトの休憩時間は攻略サイトをひたすら漁る
 そんな平凡な毎日を過ごす、ただのゲームオタクだった


 ある日、滅多にしない残業をどうしても断れず、
 何時いつものログイン時間に遅れた木渡は急いで自宅に帰り玄関のドアを開けると
 部屋の奥に有る付けっぱなしのPCには、今ハマってるオンラインゲームのログインウィンドウが開いたままだった


 一人暮らしの誰も居ない部屋に灯りを付ける


 いつもと同じ光景、いつもと同じように冷蔵庫から缶ビールのプルトップを開けて
 シュワシュワと喉を通る刺激を楽しみ、いつもと同じセリフを吐く


「あ”ぁぁっ!うんめえぇっ!!……って、ヤバイヤバイ時間ギリギリだっ!」


 毎日決まった時間に発生する定期的なイベント
 これに必ず参加する事
 いつもと同じメンバーが自分を待っていてくれる事が
 木渡に取っては何より大事なイベントだ



 急いで、PCの前に座りHMD(ヘッドマウントディスプレイ)装着を操作すると暗闇の中で巨大なスクリーンが現れカラフルでド派手な3Dの映像が飛び出して行く

 専用のグローブを手探りで取り、手に嵌めて手首のスイッチを入れるとバーチャルコントローラー(良くあるデザインの)が目の前に現れた

 画面に現れたコントローラーを掴むとグローブから僅かに振動が伝えられグローブとVRの同期が完了した事を教えてくれる


 コントローラー中央にあるタッチパネルで表示したカーソルを操作してログインすると、
 画面に読み込みを示すNow loadingの表示され、
 数秒おいてカラフルなスクリーンがゲーム世界になり…
 巨大なスクリーンが徐々に近づき…ゲームの世界に入り込んだようになっていく
 手前のコントローラーがちょっと野暮ったいが…フルダイブなんてまだまだ話しにも聞いたこと無いので仕方ない

 急いでイベントに参加する為の専用ゾーンへと移動すると

 フィールドでいつもの仲間の名前がある事に気がつき、
 挨拶のチャットをスクリーンキーボードで書き込む前にパーティの誘いが飛んでくる


『ゲーム内チャットウィンドウ』
 …キッド…おはよー✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω')✌︎( ✌︎'ω')✌︎
 ↩︎
 …ビリケン…ちーす( ・∇・) ↩︎
 …モモレン…きた!きた!きたー♪───O(≧∇≦)O────♪ ↩︎
 …ミーコ…遅せーーぞ( ´△`) ↩︎


「やっぱり待たせちまったかー!」


 …キッド…悪い悪いバイトが残業だった(T ^ T)
 ↩︎
 …モモレン…バイトおつかれー_:(´ཀ`」 ∠): ↩︎
 …ビリケン…( ´△`) ↩︎
 …ミーコ…はやくVC繋げーやψ(`∇´)ψ ↩︎


 何時も通りの仲間のテンションに癒されながら
 何時ものゲーム内でのパーティチャットルームへログインし、Voice chatをONにするといきなりミーコに怒鳴られた…


 ミーコ「遅ーい!時間ギリギリじゃん!」
 モモレン「まぁまぁ、お仕事お疲れ様ですー」
 ビリケン「お疲れーキッド」

 キッドというのは木渡が使っているハンドルネームだ
 オンラインゲームを始めたばかりの頃、安直に考えた名前がそのまま定着してしまった
 本人は後悔も反省もしている


「いやあーごめん!どうしても残業断れなくてギリギリになっちまった!」

 ミーコ「4人揃わないと効率悪いんだから!もう直ぐスタートよ?準備出来てるの?」
 気の強い声で話す女の子は、ミーコというハンドルネームで
 パーティの近接系火力を重視したキャラクターを扱っている
 元気いっぱいで五月蝿いJKだ、会ったことは無い


 モモレン「まぁまぁ、時間には間に合ってますよ?準備は大丈夫ですか?キッドさん?」
 少し間延びした口調で話す女の子は、モモレンというハンドルネームで
 回復、補助系を重視したキャラクターを扱っているが近接では撲殺系の顔も持っている
 今年大学を卒業して新社会人になったらしい、
 大人の女性だ、会った事は無い


 ビリケン「よーし!今日も俺達がダメトップで間違い無しやな!」
 エセ関西弁で話す男は、ビリケンというハンドルネームで
 遠距離系火力を重視したキャラクターを扱っている
 自営業してるらしい、会いたくは無い


 キッド「準備は昨日の内に済んでるよっ!今日も俺たちが鯖トップだ!」


 職業が4人揃う事で得られるステータスUPのボーナスの為、最初はそれだけだったこの4人は、何時も一緒で何年も固定化され、気がつけば仮想世界だが家族に近い関係になっていた


 モニターにフィールドボスの出現時間を表すカウントがデカイ文字で表示され
 周辺のプレイヤーのキャラクター達がワラワラと動き始める

 良くある接続バグに対応する為だ

 人気ゲームで人が集まり過ぎの状態だとカウントゼロと同時に動かした時に、動けなくなったり、下手したらゲームがシャットダウンする事がある

 それを防ぐ為に事前に動き始めると何故かバグが起こりにくいのだ

 ミーコ「来た来た来た!いくよー!皆んな動いてー!」
 モニターのカウンターが数字を減らしていく
 5…4…3…2…

 ビリケン「行くぞー!!」

 カウンターがゼロになる前にそれぞれのキャラクター達がスキルを実行する
 モニターの中にプレイヤー達のスキルエフェクトが光始め
 大量のボス達が出現と同時にHPゲージを一気に減らしていく

 第一陣のボスが登場後、20秒と持たずに電子音の雄叫びを上げて撃沈

 モニターにSystem Messageが流れる
 ~~ミーコさんのパーティが龍渓のフィールドボス『エンハンスドドラゴン』の討伐に成功しました~~

 本来なら出現と同時に四方八方に散開を開始するボスが
 数百を超えるプレイヤー達に囲まれ動きを封じられ
 あーも、すーも無く、瞬く間にやられる

 ミーコ「やったー!今日もウチらのカッチいー♪」
 モモレン「あっビリケンさん落ちた」
 キッド「相変わらず、回線よっわいなあー」
 ビリケン「ぎゃあー!!褒賞!俺の褒賞!………無い……そんなぁ……」

 ビリケンの悲痛な叫び声がVC越しに聴こえて来たが、
 良くある事なので皆あまり気にしない

 ミーコ「明日もあるでしょ?てかアンタ何回目よ?」
 モモレン「ビリケンさん、どんまい」
 ビリケン「はぁ…やっぱりPC買い直すしか無いか……」
 キッド「とりあえず、ここは重いしホームに戻んないか?」

「「「賛成」」」



 ホームとは一般的にはギルドホーム等を示すが、4人のホームはゲーム内のフリースペースの事を示す、色々なプレイヤー達がゲーム内で集めたアイテムを露店で販売する為に集まっている広場、ここで4人でそれぞれにお店を開いてプレイヤー達を放置しながらVCで話しているのが俺たちの休憩時間だった



 ミーコ「ねぇ…キッドはあの噂知ってる?」

 モモレン「噂って例のダンジョンの事?…あっ売れたー♪」

 ビリケン「おまえ…なんで隣にいる俺の方が安いのに売れねーんだよ!!」

 キッド「ビリケンはキャラクターの見た目が危な過ぎるんだよ……例のダンジョンてなんの事だ?」

 ミーコ「なんか解放前のフィールドに裏口があってその先には隠しダンジョンが有るらしくてね、そこのモンスターは素材もアイテムも超一級らしいんだって?」

 モモレン「キッドさんが知らないなんて珍しいね?」

 キッド「…最近は時間が無かったからな、それで、その噂のダンジョンがどうしたんだ?」

 ミーコ「実はさ…探して見たら、それらしい入り口見つけちゃったんだよね?」
 ビリケン『ホンマかそれ!』

 ビリケンが食い気味でデカイ声を出して来た

 ミーコ「ちょっと声デカいって!」

 モモレン「グワングワンする~」

 キッド「それが本当なら運営に報告するべきだな」
 ミーコ『ええええええ!!!何言ってんの?アンタ馬鹿なの?普通行くでしょう!!』

「「「お前の声が一番でかい」」」

 ミーコ「うっゴッゴメン……とにかく中も確かめないで報告なんて阿保でしょ?せめて見に行くだけでも行こうよ?」

 モモレン「そうだねえ、見ないとどんなバグかも分かんないしねぇ」

 ビリケン「ワシも見に行くのが賛成やで~」

 キッド「お前らなぁ、バグって知ってて利用するのは下手したらBAN食らうんだぞ?」

 ミーコ「利用じゃ無いし!確かめに行くだけだし!!良いじゃん!!!」

 モモレン「まぁミーコちゃんだけで行かせるのは、危ないし…皆んなで行こうよ?ね?キッドさん?」

 ビリケン「そうや!いつも4人で動いているんだし、お前が止めんで、本当に垢BAN食ろうたらどうしてくれんねん!」
 エセ関西弁が調子づいてきた

 キッド「ビリケンが年長者だろ……分かったよ、但し出来る限り戦闘は避ける、ボス戦なんて絶対にしないからな?」

 ビリケン「よっしゃー!」
 モモレン「やったー」
 ミーコ「ほんと?じゃあいこっ!すぐ行こう!」

 未公開フィールドへの裏口はネットで既に知っていた
 3人は知らない見たいだが、入ったプレイヤーがその後ログインしなくなったとか
 実際にBANされたんじゃないか?そういう噂もあった、本当は止めるべきだと分かっていた筈なのに……盛り上がってる3人を見て水を差すような真似をしたく無かったのと
 ミーコがブーたれながらも強引に誘ってくる態度につい頷いてしまった





 未公開フィールドへと向かう途中……2人の女子が乗るペットの後ろをビリケンと並んで追い掛けていると

 ビリケンがテキストチャットで囁いてくる
 …ビリケン…いやぁ美少女がペットに跨る後ろ姿は堪らんなぁキッド?↩︎

(何言ってんだ?この変態オヤジ…ブロックしたろ)

 ビリケン「ちょっキッド!ブロックする事ないやろ!」
 キッド「なんだ?変態オヤジ?」

 モモレン「どうかしたんですかぁ?」

 ミーコ「アンタら2人で何コソコソしてんの?」

 キッド「いや、変態オヤジがな?」
 ビリケン『わーーーーーーーー!!!』
 ミーコ「もうーーーうるさーーーーーい!!」


 馬鹿な会話を続けて気兼ね無く話せるこの時間が何より大切で、
 ずっと続けば良い、ずっと続く筈だと、今日まで何年も続いた時間は、今日からもずっと続くと何の疑いもなく思っていたし、それは他の3人も同じだった


【未公開ダンジョン】
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 ミーコ「本当にあったね、未公開フィールドに」
 モモレン「未公開ダンジョンも」

 ビリケン「おぉぉっぉぉ…これは何か……燃えるなぁ」

 キッド「お前ら…絶対に戦闘はするなよ?」

 ミーコ「分かってるって~……雑魚なら平気平気」

 キッド「…お前、本当に置いて帰るぞ?」


 ミーコ「ん?何か言った?」

 モモレン「キッドさん、ミーコちゃん既に戦闘してる」

 ビリケン「俺もまっけーーん!!」

 キッド「ビリケンまで…」

 モモレン「もう仕方ないです、せめてボス部屋には行かないようにフォローしましょう?」

 キッド「仕方ないか……フォローに廻ろう」


 久々に闘い甲斐のある魔物にどんどん熱くなっていく仲間達に釣られて
 公開前のモンスター達との狩りが木渡もだんだん楽しくなっていた時
ノリノリで戦っていたミーコが足を止める


 ミーコ「あれ?誰か居るみたいよ?……あれって…」

 ミーコが奥で、誰かがナニかと戦っている事に気が付いた

 モモレン「あれは…ロロシックスさんじゃない?」

 ビリケン「ホンマや?アイツもここに来てたんやな……なんかヤバそうやぞ?」

 キッド「あぁ、回復のペースが悪い、何でソロでやってんだ?」




 ミーコ「…助けよう!」

 ミーコが走り出し、それに釣られる様に2人も走り出して行く


 キッド「おっおい待てよ!こんな所に居るボスと1人で戦うって、おかしいだろっ!」

 ミーコ「モモっ補助お願い!」
 ビリケン「ロロシックス、この借りはデカイで!」
 モモレン「キッド君も手伝って下さい!」


 3人とも熱くなりすぎて全然VCやってる意味が無い
 公開前の新ボスに舞い上がり過ぎていた


 キッド「くっそっ…………仕方ないっ!」

 3人の後を追い、開かれたボス部屋に入っていくと
 そのボスはミノタウロスのように黒くて巨大な体躯に白い6枚の翼を背負い

 奇妙な阿修羅のような存在だった
 ゴリラの様な顔と
 クマの様な顔と
 牛のような顔を
 それぞれが真っ赤な目で瞳孔が開いてて真っ暗に瞳に何か渦を巻いているようだった


 ロロシックスが駆けつけるこっちに気がつくが
 チャットを打つ余裕は無いらしい、登録されたスタンプが何度も連打される
 その意味は

 逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!

 スタンプを繰り返しながらボスの攻撃エフェクトを必死に回避し、ボスのタゲを取り続ける
 その姿を見て熱くならない奴はここには居なかった


 ミーコ「何言ってんの!助けるよ!」
 ビリケン「攻撃補助くれ!」
 モモレン「行きます!」

 キッド「ストップ!注意を引くから3秒待て!ロロシックスの回復を優先してくれ!」


 俺の言葉に一瞬で全員の足が止まる
 敵のタゲを大幅に取るタンクのスキルをちかます
 これで普通ならボスだろうが何だろうが注意を引きつける



 ……筈だった



 こちらのスキルは完全にヒットした筈なのに
 三つの動物の顔を持つボスは全く意に介さず、
 ロロシックスの足に状態異常をクリーンヒット


 動けなくなったロロシックスがチャットウィンドウを表示させるが
 ボスの何かのスキルが発動し三つの顔から吐き出された光の柱のような
 巨大なレーザーに焼かれて倒れ落ち…まるでログアウトでもしたかの様に消えていく
 チャットウィンドウには何が書かれてていたのか、光の柱に遮られて俺たちには何も読めなかった


 ……くっそ…

 VCの向こうから本気で切れた時に聞こえるミーコの低い声


 モモレンがミーコに攻撃強化を付与する
 バフによって強化されたミーコの両手の二刀が淡い虹色に輝いてミーコの最大火力のスキルが阿修羅のボスにクリーンヒットした


 これまでのボスなら一撃でHP半分を削るが…20個あるゲージの内、一本しか減らない


 キッド「ビリケン!火力を連続させてタゲを固定させるな!」


 特殊スキルでタゲが取れないならダメージ上位者が狙われる
 そう考えて、次に狙われるミーコをフォローする為の指示を出す


 タンクの俺は狙われない可能性が高いので、
 攻撃力のデバフ
 移動力のデバフ
 防御力のデバフ
 を連続して叩き込む
 ボス戦でも最前線で戦うタンクの必須スキルだ


 阿修羅が雄叫びを上げて1人の仲間が状態異常にかかった
 1番離れていたモモレンだ
 三つの顔の口に光が集まる、
 モモレン以外の全員が最大火力で注意を引く為に攻撃を続けたのに
 ボスのHPゲージは半分程度しか減らない

 誰もがモモレン以外の誰かが攻撃されると緊張するが
 ボスの顔の前に巨大な光の玉が集まり、モモレンの方に向けられる


 モモレン「え?ちょっと……嘘……」
 光の柱がモモレンを貫き、倒れると同時に消えていく
 ログアウトが早過ぎて復活アイテムを使う暇も無かった事にミーコが怒鳴る

 ミーコ「ちょっとモモっ!ログアウトしなくても良いでしょ!ちょっと!聞いてんの?!」
 モモレン「・・・・」
 モモレンはVCからはログアウトして無かったが、返事は無かった

 ビリケン「今はコッチに集中せえ!」

 ミーコ「くそ…分かってるわよ!…」

 キッド「あと半分!今はとにかくコイツを倒そう!」


 阿修羅のボスにビリケンが連続で火力魔法を叩き込み
 残り3割を切った時


 ボスの身体の周りに魔法陣の様な物が現れて赤黒いオーラに包まれ、身体が赤く発光し始めると
 突然の急加速で一瞬見逃す程早く動くボスの攻撃がビリケンにクリティカルヒット

 一瞬で体力ゲージが無くなり…倒れ…ビリケンのキャラクターが光の粒子になって砕けるように消えていく
 ビリケン「なっなんだこれ!…………」
 ビリケンのキャラクターが消えると同時に声も途絶える


 キッド「ビッビリケン!くっそ…どうなってんだ?」

 ミーコ「なっ何なの?……何なのよこれ!……わっ私のせいなの?」

 VCの向こう側で泣き声になるミーコに
 キッド『泣くな!まだ何にも分かんねえだろ!……あと少しなんだ、最後までやり通せ!』


 デカイ声で叱咤した…
 もう夜も遅い、近所迷惑で明日はきっと睨まれる


 ……知るかそんなもん!


 キッド『何となくモーション分かった!離れろって言ったら一旦引け、スキルもキャンセルだ!ヤレって言ったら叩き込め!!』


 デバフを1番近い所で打ち続けるタンクの役割は、攻撃を良く見る事も必要だった
 画面の外にまで届くようなボスの攻撃は近くで見ないと判断つかない事も多い


 ミーコ「……分かった!」


 離れ過ぎ、近過ぎず、最大火力のリキャストタイムを図りながら無難な位置を守るミーコ

 阿修羅のボスが後方300度の範囲攻撃を展開する

 キッド『ボス正面がセーフだ!退け!」
 ミーコ「うっそでしょ…」
 そう言いながらもキッドを信用してボスの正面に移動するミーコ


 背中の翼が大きく広げて範囲内の全てをカバーする様に巨大な壁となって両脇から迫り
 セーフゾーン以外の全てを破壊していくが攻撃のスピードが遅くて隙だらけだった

 キッド『ヤレええええ』
 有りったけのデバフを叩き込み
 ミーコがそれに脊椎反射のように二刀で連続火力を叩き込む
 キッドもそれに合わせて攻撃を2人で叩き続ける

 ミーコの連撃が続く間、時間は短いがスタンが付与されるからだ

 ザシュッ!ザシュっ!ザシュッ!と切れ味の効果音が響き続けて

 ボスのHPゲージが見る見る減っていき
 20は有ったHPゲージが残り1本の半分を切った所でミーコの連撃が止まる

 ミーコ「もう駄目……火力が足りない」
 連撃中に与える短いスタン付与が切れ…阿修羅が動き出した

 WHOOOO~~~~~~~~!!!!!!
 PCのスピーカーの限界を遥かに超える大音量がキッドとミーコを突き抜けた

 動けなくなったのはキャラクターなのか、モニターの前に居る俺たちなのかどっちか分からない


 阿修羅の白い羽根が1番近くに居たミーコを抱擁する様に包み………開いた羽根が背中に戻るとミーコの姿も声も消えていた

 キッド「嘘だ……こんなの……あり得ないだろ」
 ゲームの中のコントローラーが壊れたみたいに動かない
 キッドのキャラクターにはデバフを示す数値が20を超えていた



 ドン!ドン!
「さっきからうるせーんだよ!静かにしろやボケえ!!」

 玄関の扉が激しく叩かれるが目の前のモニターの阿修羅から目が離せない
 まるで直ぐ目の前に現れたような圧倒的な恐怖に何も言えなくなった

 目の前で巨大な光の玉が大きくなり……モニターから溢れる光の洪水に包まれ…意識が途絶えた


 ◇


 木渡の座って居た椅子から持ち主は消え、
 ヘッドセットが床に落ち

 PCのモニターに映っていたゲームはシャットダウンする

 この日を境にゲーム内でのボス攻略においてトップに君臨し続けた4人のプレイヤーは姿を消した
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