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第6話
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神界に来て3日目。 今日も世界の命運を決めるはずの会議が開かれていた。 が、……。
「いいえ、残りのこづかいの使い道はケーキで決まりですわ! あの甘美の層こそが、この荒廃した世界を救うのです!」
「そうなのじゃ!甘味こそが正義じゃ!」
するとヴァルドが机を割りそうな勢いで立ち上がる。
「いや、ハッシュドポテトのほうがいい!!!あの塩気が民草に力を与えるのだ! 」
「そうっすよ! 結局はポテトっすよ!」
……このざまである。
争いが絶えないこの世界において神々の最大関心事は残りの小遣い銀貨1000枚(約千円)の使い道だったのである。
…もう、さすがに見過ごせん。
「あのぉ~……もう多数決でいいのでは……」
その瞬間。 リュクスが顔面蒼白になり、俺の肩を掴んで激しく揺さぶり耳元で小さく叫ぶ。
「バカ! コーイチ! 死ぬぞ! その言葉は禁句だ!」
「え? ……多数決ってもしかして禁止事項だった?」
神界のタブーに触れたか?
しかしヴァルドはニヤリと笑みを浮かべた。
「いいではないか多数決。戦士は正々堂々、数の暴力に屈してやろう」
「そうっすよ! 民主主義万歳っすよ!」
しかし女性陣は明らかに不満げだ。「卑怯ですわよ、ヴァルド! 多数決なんていうと絶対……」
「そんな、まさかあやつらを呼ぼうというの……」
嫌な予感しかしない俺の後かキュッキュッという無数の音が聞こえてきた。 現れたのは、視界を埋め尽くさんばかりの、数千、数万体のテディベアの大群だった。
「は……?」
さすがに思考が止まる。
するとヴァルドが仁王立ちで叫ぶ。 「お前ら! 今日のお使いに行くなら、ハッシュドポテトかケーキ、どちらがよい!!」
「「「ムーーーー!!!!」」」
地響きのような声が神殿に響く。
ベアたちが一斉に短い手足を突き上げる。ヴァルドの雰囲気から見るに全員ハッシュドポテト派らしい。
「そうだろそうだろ!! ガハハハ! これぞ民意よ!」
「えと……リュッくん、これは一体どういう状況で……」
混乱する俺に、リュクスが耳元でヒソヒソと叫ぶ。
「あのなぁ、コーイチ。普段お使いに行くのは、実働部隊のこの精霊たち! しかしケーキのこだわりに関してはリリアは厳しい! 『生クリームが1ミリでも傾いたら浄化(消去)ですわ』とか言うだろ! 1秒でも遅れたら、あいつら消されるんだよ!」
リリア様?!
「だがハッシュドポテトの店はここから近いし、型崩れの心配なし! 雑に扱っても文句を言われない! だからあいつらは全力でポテト派なんだよ! ……お前、女性陣のこだわりを甘く見て2回も逆らっただろ! 」
「…………」
俺の目の前では、ポテト派の勝利を祝うヴァルドと、それを見て「……今夜の神殿は吹雪になりますわね」「おやつ抜きの刑じゃ……」と恐ろしいほど黒いオーラを放ち始めた女神たちがいた。
その後、また貼り付けにされた上クビになりかけた俺なのであった。
「いいえ、残りのこづかいの使い道はケーキで決まりですわ! あの甘美の層こそが、この荒廃した世界を救うのです!」
「そうなのじゃ!甘味こそが正義じゃ!」
するとヴァルドが机を割りそうな勢いで立ち上がる。
「いや、ハッシュドポテトのほうがいい!!!あの塩気が民草に力を与えるのだ! 」
「そうっすよ! 結局はポテトっすよ!」
……このざまである。
争いが絶えないこの世界において神々の最大関心事は残りの小遣い銀貨1000枚(約千円)の使い道だったのである。
…もう、さすがに見過ごせん。
「あのぉ~……もう多数決でいいのでは……」
その瞬間。 リュクスが顔面蒼白になり、俺の肩を掴んで激しく揺さぶり耳元で小さく叫ぶ。
「バカ! コーイチ! 死ぬぞ! その言葉は禁句だ!」
「え? ……多数決ってもしかして禁止事項だった?」
神界のタブーに触れたか?
しかしヴァルドはニヤリと笑みを浮かべた。
「いいではないか多数決。戦士は正々堂々、数の暴力に屈してやろう」
「そうっすよ! 民主主義万歳っすよ!」
しかし女性陣は明らかに不満げだ。「卑怯ですわよ、ヴァルド! 多数決なんていうと絶対……」
「そんな、まさかあやつらを呼ぼうというの……」
嫌な予感しかしない俺の後かキュッキュッという無数の音が聞こえてきた。 現れたのは、視界を埋め尽くさんばかりの、数千、数万体のテディベアの大群だった。
「は……?」
さすがに思考が止まる。
するとヴァルドが仁王立ちで叫ぶ。 「お前ら! 今日のお使いに行くなら、ハッシュドポテトかケーキ、どちらがよい!!」
「「「ムーーーー!!!!」」」
地響きのような声が神殿に響く。
ベアたちが一斉に短い手足を突き上げる。ヴァルドの雰囲気から見るに全員ハッシュドポテト派らしい。
「そうだろそうだろ!! ガハハハ! これぞ民意よ!」
「えと……リュッくん、これは一体どういう状況で……」
混乱する俺に、リュクスが耳元でヒソヒソと叫ぶ。
「あのなぁ、コーイチ。普段お使いに行くのは、実働部隊のこの精霊たち! しかしケーキのこだわりに関してはリリアは厳しい! 『生クリームが1ミリでも傾いたら浄化(消去)ですわ』とか言うだろ! 1秒でも遅れたら、あいつら消されるんだよ!」
リリア様?!
「だがハッシュドポテトの店はここから近いし、型崩れの心配なし! 雑に扱っても文句を言われない! だからあいつらは全力でポテト派なんだよ! ……お前、女性陣のこだわりを甘く見て2回も逆らっただろ! 」
「…………」
俺の目の前では、ポテト派の勝利を祝うヴァルドと、それを見て「……今夜の神殿は吹雪になりますわね」「おやつ抜きの刑じゃ……」と恐ろしいほど黒いオーラを放ち始めた女神たちがいた。
その後、また貼り付けにされた上クビになりかけた俺なのであった。
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