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友情と愛情と
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Kは勤勉実直なサラリーマンだった。毎日、机に向かって、定時に仕事を終える。毎日、同じ時刻に家を出、毎日、同じ時刻に帰宅する。
そんな彼の規則正しい日常に波紋を起こすことが起こりつつあった。というのも、駅までの1キロあまりの道で、横道から必ず現れる美女がいる。一目惚れとはこのことを言うのであろう。Kは高嶺の花と思っていたが、毎日、会うと事情が違ってくる。ショートヘアで、黒縁セルの眼鏡をしていた。体型は中肉中背ではあるが、足がすらりとして綺麗な女性であった。20代後半の年齢であろうか。服装は清楚。誰かに似ているなあ、と思っていたが、それが誰か、分からなかった。芸能人かもしれない、と思ったりもした。
Kはやがて、その美女の虜になっていった。あるとき、Kは意を決し、思いを打ち明けることにした。
翌朝、いつもの横道から彼女が出てきたとき、Kは勇気を振り絞って言った。
「あ、あのう、失礼ですが」
彼女はきょとんとして、立ち止まった。
「あのう、いつもあなたをお見かけするのですが、僕のこと、気づいていましたでしょうか」
「ええ、存じておりましたわ」
「え、光栄だなあ」
「ふふ、私のこと、忘れたの? Kちゃん、…大木よ」
「大木? 大木といったら、快晴中学校の大木しか思いつかないけど」
「その、大木よ」
「えええ、嘘だろ? 大木は男だった…」
「ふふ、高校卒業してから性転換したの。でも、Kちゃん、気づくの遅すぎ」
「そっか、だから、誰かに似てたんだあ」
その後、Kと大木の友情に、熱烈な愛情がプラスされたのはいうまでもない。
そんな彼の規則正しい日常に波紋を起こすことが起こりつつあった。というのも、駅までの1キロあまりの道で、横道から必ず現れる美女がいる。一目惚れとはこのことを言うのであろう。Kは高嶺の花と思っていたが、毎日、会うと事情が違ってくる。ショートヘアで、黒縁セルの眼鏡をしていた。体型は中肉中背ではあるが、足がすらりとして綺麗な女性であった。20代後半の年齢であろうか。服装は清楚。誰かに似ているなあ、と思っていたが、それが誰か、分からなかった。芸能人かもしれない、と思ったりもした。
Kはやがて、その美女の虜になっていった。あるとき、Kは意を決し、思いを打ち明けることにした。
翌朝、いつもの横道から彼女が出てきたとき、Kは勇気を振り絞って言った。
「あ、あのう、失礼ですが」
彼女はきょとんとして、立ち止まった。
「あのう、いつもあなたをお見かけするのですが、僕のこと、気づいていましたでしょうか」
「ええ、存じておりましたわ」
「え、光栄だなあ」
「ふふ、私のこと、忘れたの? Kちゃん、…大木よ」
「大木? 大木といったら、快晴中学校の大木しか思いつかないけど」
「その、大木よ」
「えええ、嘘だろ? 大木は男だった…」
「ふふ、高校卒業してから性転換したの。でも、Kちゃん、気づくの遅すぎ」
「そっか、だから、誰かに似てたんだあ」
その後、Kと大木の友情に、熱烈な愛情がプラスされたのはいうまでもない。
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