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厨二病、留守番をする。
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「と、言うわけでお母さん達は旅行に行ってきます!」
お母さんはテーブルにパンフレットを広げると嬉しそうに言った。私達の夏休みが始まるの待ってたんだね。
「し…しかしお母さん、年頃の2人を留守番させて大丈夫か?」
「大丈夫よ。ね?クリスちゃん?」
「ああ、お父さん安心してくれ。何人たりともこの家に入れたりしない。」
あっ心配の意味が違う。これは大丈夫か、とお父さんは胸をなで下ろした。……なんかこれはこれで悲しい。
「お土産沢山買ってくるからね。」
「ありがとうお母さん、是非とも貴重な薬草や動物の骨をお願いしたい。動物は出来れば大型の……「却下。」
あっクリスが落ち込んだ。今度恐竜博物館でも連れてくか。
「じゃぁ行ってくるからね!火の元、戸締りには気をつけてね。」
次の日。お母さん達は嬉しそうに出て行った。
「行ったな……1泊2日だよな?その間俺達だけで家を守ろう。」
「いやいやいや、うちはそんな危険な家じゃないから大丈夫だよ。」だからお願い剣を研ぎ始めないで!!
「そうだ…そう言えばまどかにお願いがあるのだが…。」
「ん?なーに?宿題は教えられないよ?」
「いや、違う。料理を教えてくれ。」
「料理?突然どうしたの。」
「俺はカレーしか作れないしな。カレーを作ろうとするとお母さん顔が青くなるし…。」
ああ…この間のカレー大量事件から若干トラウマになってるんだよね…カレーが。
「というわけでカレー以外の料理を頼む。」
うーん、いきなり言われても何を教えればいいんだろう?ハンバーグはな…前みたいに木っ端微塵切りされても困るし…。
「あっ!ならパスタ作ろうか!ペペロンチーノ!!」
「パスタ?ペペロンチーノ?」
「うん、パスタはイタリアの料理で美味しいんだよ。ペペロンチーノなら味付けは塩コショウだから簡単だし。」
「簡単なのは助かる。よし、そのパスタとやらをお願いする。」
私は了解!と言うとベーコンとエリンギを取り出した。
「まずはベーコンを短冊切りにします。エリンギは手で裂けるから。」
クリスはメモをしながら熱心に聞いている。偉い偉い。
「次はお湯に塩を入れて沸騰させます。」
「ふむ、なんかこう2人で料理をしているとあれだな…。」
あれ!?まさか……まるで新婚さんみたいとか!?
「調理実習みたいだな。」
………………………。私はクリスをシカトして塩を入れ始めた。
「おい、なんで怒っているんだ。」
「怒ってません。全っ然怒ってません。」
「しかしやっぱり料理は楽しいな。1人でも楽しいが一緒に作るともっと楽しい。」クリスはニコニコしている。
「一緒………その、レイラさんとも…一緒に作ったの?」
「レイラ?なんでレイラが出てくる。」
「や、だって婚約者だし…やっぱり仲良いのかなって。」
「いや、レイラとは料理なんてしない。よく差し入れでクッキーとかは貰ったがな。婚約者というのは名ばかりで特に何も無いぞ。」
そうなんだ良かった……って私ってば何をホッとしてるの!?最近私おかしいぞ!しっかりしろ!
「そう言えばまどかは婚約者居ないのか?」
「えええ!?何!?」
「わっそんなデカい声出すな。…いや、まどかは婚約者居ないのかと。」
「婚約者なんて居ないよ!良家のお嬢様じゃないんだし。」
「そうなのか。それは安心した。」
えっ安心って何?安心って……何…………?
「えっクリス、安心って何…「おい、お湯が沸騰してるぞ。」
わぁ気付いたらお湯が吹き零れていた。
「出来たー!!」
あれからなんだかんだで無事にペペロンチーノは出来上がった。
「おお、ニンニクの良い香りだな。美味そうだ。」
「上手く出来たね!お腹ぺこぺこ!早く食べよう!」
私は急いでパスタをお皿によそるとテーブルに置いた。
「いっただきまーす♪」
「おっ!美味い!まどか、これはとても美味しい。」
クリスはそう言うとガツガツ食べ始めた。良かった気に入ってもらえて。
「この世界には美味しいものが沢山あるな。前に学校帰りに寄って食べたハンバーガーとやらもとても美味しかったし。」
「そうだねクリス気に入ってたもんね。まだまだ沢山美味しいものあるよ。」
「ここは平和だし本当に幸せだ。なんだか帰りたくなくなってきたな。」クリスはボソッと言った。
「えっ………?」
「いや、なんでもない。副団長として言ってはいけない事を言った気がする。……気にしないでくれ。」
クリスはそう言ってパスタを食べ始めた。
――だったらここにずっと居ればいいのに。って言いそうになった。そうか…クリスの国は魔物で大変なんだよね…。クリスは帰らなきゃいけない人なんだよね……。
なんだかわからないけど、胸が締め付けられるように苦しかった。なんだろうこれ…。
「~♪」
重い空気をかき消すかのように明るい音楽が鳴り響いた。
「!?なんだ、昼礼か!?」
「や、違う。スマホの音。」
私がそう言ってスマホを取り出すとクリスは目を輝かせて見ていた。
「花梨からだ。えっと何々?あっ!海に行こうだって!」
海、というとクリスの目が変わった。
「海……田中か。田中が花梨に話をしたんだな。」
「そうそう、来週行かないか?だって!来週ならまだ日にちあるし水着買いに行けるでしょ!楽しみー!」
「水着?それを着て泳ぐのか?」
「当たり前だよ!えっクリスまさか真っ裸で泳ごうとした!?まぁクリスが真っ裸で泳いだら皆にとってご褒美みたいになるけど。」
「ご褒美ってなんだ。裸で泳ぐわけないだろう。上は裸だが下は団服を履いているぞ。」
うーん楽しみだなぁ♪痩せたし今年はビキニにしちゃおうかな!可愛いフリルの付いた水着気になってたんだよねぇ♪
クリスが何やら一生懸命話してたけど、私は水着のことで頭がいっぱいで何も聞いていなかった。ごめんねクリス。
お母さんはテーブルにパンフレットを広げると嬉しそうに言った。私達の夏休みが始まるの待ってたんだね。
「し…しかしお母さん、年頃の2人を留守番させて大丈夫か?」
「大丈夫よ。ね?クリスちゃん?」
「ああ、お父さん安心してくれ。何人たりともこの家に入れたりしない。」
あっ心配の意味が違う。これは大丈夫か、とお父さんは胸をなで下ろした。……なんかこれはこれで悲しい。
「お土産沢山買ってくるからね。」
「ありがとうお母さん、是非とも貴重な薬草や動物の骨をお願いしたい。動物は出来れば大型の……「却下。」
あっクリスが落ち込んだ。今度恐竜博物館でも連れてくか。
「じゃぁ行ってくるからね!火の元、戸締りには気をつけてね。」
次の日。お母さん達は嬉しそうに出て行った。
「行ったな……1泊2日だよな?その間俺達だけで家を守ろう。」
「いやいやいや、うちはそんな危険な家じゃないから大丈夫だよ。」だからお願い剣を研ぎ始めないで!!
「そうだ…そう言えばまどかにお願いがあるのだが…。」
「ん?なーに?宿題は教えられないよ?」
「いや、違う。料理を教えてくれ。」
「料理?突然どうしたの。」
「俺はカレーしか作れないしな。カレーを作ろうとするとお母さん顔が青くなるし…。」
ああ…この間のカレー大量事件から若干トラウマになってるんだよね…カレーが。
「というわけでカレー以外の料理を頼む。」
うーん、いきなり言われても何を教えればいいんだろう?ハンバーグはな…前みたいに木っ端微塵切りされても困るし…。
「あっ!ならパスタ作ろうか!ペペロンチーノ!!」
「パスタ?ペペロンチーノ?」
「うん、パスタはイタリアの料理で美味しいんだよ。ペペロンチーノなら味付けは塩コショウだから簡単だし。」
「簡単なのは助かる。よし、そのパスタとやらをお願いする。」
私は了解!と言うとベーコンとエリンギを取り出した。
「まずはベーコンを短冊切りにします。エリンギは手で裂けるから。」
クリスはメモをしながら熱心に聞いている。偉い偉い。
「次はお湯に塩を入れて沸騰させます。」
「ふむ、なんかこう2人で料理をしているとあれだな…。」
あれ!?まさか……まるで新婚さんみたいとか!?
「調理実習みたいだな。」
………………………。私はクリスをシカトして塩を入れ始めた。
「おい、なんで怒っているんだ。」
「怒ってません。全っ然怒ってません。」
「しかしやっぱり料理は楽しいな。1人でも楽しいが一緒に作るともっと楽しい。」クリスはニコニコしている。
「一緒………その、レイラさんとも…一緒に作ったの?」
「レイラ?なんでレイラが出てくる。」
「や、だって婚約者だし…やっぱり仲良いのかなって。」
「いや、レイラとは料理なんてしない。よく差し入れでクッキーとかは貰ったがな。婚約者というのは名ばかりで特に何も無いぞ。」
そうなんだ良かった……って私ってば何をホッとしてるの!?最近私おかしいぞ!しっかりしろ!
「そう言えばまどかは婚約者居ないのか?」
「えええ!?何!?」
「わっそんなデカい声出すな。…いや、まどかは婚約者居ないのかと。」
「婚約者なんて居ないよ!良家のお嬢様じゃないんだし。」
「そうなのか。それは安心した。」
えっ安心って何?安心って……何…………?
「えっクリス、安心って何…「おい、お湯が沸騰してるぞ。」
わぁ気付いたらお湯が吹き零れていた。
「出来たー!!」
あれからなんだかんだで無事にペペロンチーノは出来上がった。
「おお、ニンニクの良い香りだな。美味そうだ。」
「上手く出来たね!お腹ぺこぺこ!早く食べよう!」
私は急いでパスタをお皿によそるとテーブルに置いた。
「いっただきまーす♪」
「おっ!美味い!まどか、これはとても美味しい。」
クリスはそう言うとガツガツ食べ始めた。良かった気に入ってもらえて。
「この世界には美味しいものが沢山あるな。前に学校帰りに寄って食べたハンバーガーとやらもとても美味しかったし。」
「そうだねクリス気に入ってたもんね。まだまだ沢山美味しいものあるよ。」
「ここは平和だし本当に幸せだ。なんだか帰りたくなくなってきたな。」クリスはボソッと言った。
「えっ………?」
「いや、なんでもない。副団長として言ってはいけない事を言った気がする。……気にしないでくれ。」
クリスはそう言ってパスタを食べ始めた。
――だったらここにずっと居ればいいのに。って言いそうになった。そうか…クリスの国は魔物で大変なんだよね…。クリスは帰らなきゃいけない人なんだよね……。
なんだかわからないけど、胸が締め付けられるように苦しかった。なんだろうこれ…。
「~♪」
重い空気をかき消すかのように明るい音楽が鳴り響いた。
「!?なんだ、昼礼か!?」
「や、違う。スマホの音。」
私がそう言ってスマホを取り出すとクリスは目を輝かせて見ていた。
「花梨からだ。えっと何々?あっ!海に行こうだって!」
海、というとクリスの目が変わった。
「海……田中か。田中が花梨に話をしたんだな。」
「そうそう、来週行かないか?だって!来週ならまだ日にちあるし水着買いに行けるでしょ!楽しみー!」
「水着?それを着て泳ぐのか?」
「当たり前だよ!えっクリスまさか真っ裸で泳ごうとした!?まぁクリスが真っ裸で泳いだら皆にとってご褒美みたいになるけど。」
「ご褒美ってなんだ。裸で泳ぐわけないだろう。上は裸だが下は団服を履いているぞ。」
うーん楽しみだなぁ♪痩せたし今年はビキニにしちゃおうかな!可愛いフリルの付いた水着気になってたんだよねぇ♪
クリスが何やら一生懸命話してたけど、私は水着のことで頭がいっぱいで何も聞いていなかった。ごめんねクリス。
応援ありがとうございます!
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