居候は厨二病。

Musk.

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厨二病、文化祭をする。

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「…という訳で、これから文化祭でのクラスの催し物を決める。」

先生が黒板に文字を書きながら話し始めた。

「何か案があるか?あったら手を挙げろ。」

はい。と1番に手を挙げたのはクリスだった。えっクリス!?

「おっアレクか、なんだ何がしたい。」

「闘技場で腕試しはどうだ?もちろん優勝者には「却下。」

クリスの案は即座に却下された。あっ悔しそう。

「でもアレクくんってうちのクラスの看板息子みたいなものだから目立たせたいよね!」

クラスの女子がいきなり言い始めた。看板息子!?

「あっ確かに!!ならアレクくん主演の劇やる?」

「うーんちょっとアレクくん演技下手そう…。」

えっ待ってなんの話、とクリスは混乱している。ぷっなんか見てて楽しい。あっクリスに睨まれた。

「なら、執事喫茶しない?」

田中くんがいきなり手を挙げて発言した。

「執事喫茶?」

「アレクくん無駄に見目いいから執事にピッタリでしょ?」

「確かに!!それいい!!」

田中くんの提案にクラスメイト(主に女子)が同意した。

クリスは私に、おい執事喫茶ってなんだ。としかめっ面で聞いてきた。


「いや、執事はわかる。うちの屋敷にも居たからな。でも喫茶ってなんだ。」

「えっアレクくんってお金持ちだったの!?」

田中くんはびっくりしていた。いや、私もびっくりだけど。

「まぁまぁいい家柄だな。だからしっかりいろんな事を学ぶことが出来た。ってそうじゃない、執事喫茶ってなんだ。」

私達は執事喫茶をわかりやすく説明した。説明するにつれてクリスの顔が険しくなった。

「断る。」

「ダメだよ、執事喫茶の主役はアレクくんなんだから。」

「なんで俺が見知らぬ女子とイチャイチャしなきゃいけないんだ!田中がやれ。」

「いや、イチャイチャなんてしないよ接客だよ。俺もやるよ?クラスの大半の男子はやる。でもやっぱり主役はアレクくんだからねぇ。」

「……………やりたくない。」

「そう難しく考えないでよ。来た女の子におかえりなさいお嬢様って言って紅茶とか出すだけでいいから。なんなら俺がヘルプで入るからさ。」

田中くんの説得でクリスは渋々納得した。執事のクリスかっこよさそうだな…。






そしてついに文化祭当日がやってきた。

「わぁ人多いね!!」

「やばいよまどか。アレクくんの効果が凄まじくてなんか行列出来てる。」

えっ凄い!!さすが看板息子!!クリスの顔険しいけど。

「クリス、笑顔だよ笑顔。」

「ああ、接待中は笑顔にする。大丈夫だ、俺は国の偉い人との接待とかにも慣れているからな。」

「いや、接待じゃなくて接客だからね!」

執事服に着替えたクリスはとてもかっこよかった。あっダメだ…もう無理、鼻血出る私。

「まどかどうした?保健室連れてくぞ?」

「いやいやもうすぐ開店だから!脱走は許さないよ。」

田中くんが険しい顔で言った。確かに今脱走したら大変だ。

「じゃぁ開けるからね?行くよ?」

オープンと同時に凄い数の女の子が流れてきた。

「うわ!?待って順番だから!!順番守ってお願い。」

田中くんがあたふたしている。私達も手伝わないと。

「えっと、こちらから並んでください。」

何とか女の子達を列にすることが出来た。疲れた。

「ええー!!あの人が噂のイケメンくん!?やばいちょーイケメン!!マジやばい!!ちょーやばい!!」

先頭の女の子達がクリスに気付いて騒ぎ出した。やばい連呼………頭悪そうだな。

「おい、あんな頭悪そうなやつ接客するのか?」

「ちょ、ダメだよアレクくん聞こえちゃう!」

田中くんは機嫌が悪くなり始めたクリスを端っこに連れてきた。

「途中でヘルプ入るからせめてお茶出しまでは頑張って!第一声は【おかえりなさいませ、お嬢様】だからね?」

「分かっている。大丈夫だ、安心しろ。」

「全然安心出来ないんだよ!?アレクくん!!」

そうこうしてるとついにクリスに指名が来た。指名した子はさっきの頭悪そうな……いや、先頭の子達。

「アレクくん頑張ってね!!」

私達はドキドキしながら見守っていた。いや、大丈夫クリスは騎士だから紳士だし……ほら、素敵な笑顔で向かって行ってる。

「えっやばい近くで見たらもっとイケメン!!やばい!!」

大丈夫、大丈夫。ほら素敵な笑顔で………

「おかえりくださいませ、お嬢様。」

爆弾を投下した。

「ちょっとアレクくん!?何してんの!?」

私達は急いでクリスを引っ張って行った。

「すまない、つい本音が出てしまったんだ。」

「ふざけんなー!!」

クリスは裏方に回った。…………皆頑張れ。


看板息子のクリスが裏に回った事で文句が出て客の数が減って行った。でも逆にのんびりとする事が出来た。

「佐々木さん、時間空いたからどっか回ってきていいよ?」

「あっならまどか………。」

「佐々木さんー!!」

クリスに声かけられた直後に入口付近から呼ばれた。

「あっごめんちょっと待っててクリス。」

入口に行くとそこには「佐々木さん、先輩が呼んでるよ。」春川先輩が立っていた。

「春川先輩……どうしましたか?」

「いや、良かったら一緒に校内回らないかなって思って。」

あっなるほどお誘いか。花梨も忙しそうだしいいかな?

「わかりました、回りましょう。ちょっと待っててください。」

私はそう言うとクリスのところに戻った。

「クリス、春川先輩と校内回ってくるね。」

「えっ?」

「えってクリスは今調理係だよ?」

あっそうか…とクリスは調理に行った。忘れてたのかクリス…。

「お待たせしました春川先輩。」

私達はのんびりと校内を回り始めた。


「あれ?まどかちゃん居ないんだけどアレクくん知らない?」

調理をしてると田中が顔を出した。

「まどかなら春川先輩と回ってるぞ。」

それを聞いた田中ははぁ!?と大声を出した。

「また春川先輩!?何、まどかちゃん付き合ってるの!?」

「はっ!?……いや、それはないだろ。」

変な事言うな田中。つい大声が出てしまっただろう。

「いやいやだっておかしくない!?最近の2人の距離。アレクくんもさ、もう少し危機感持ちなよ?」

「危機感?」

「アレクくんもまどかちゃん好きなんでしょ?婚約者とかほざいてるけど俺にはバレてるからね。」

好き……?俺がまどかを…好き?

「えっ何キョトンとしてるの?……えっ嘘でしょ!?アレクくん無自覚!?」

「いや、だって俺は…………。」

「あんな態度でよく言えるよ!まどかちゃんに近付いた俺に散々意地悪してたのに!今だってアレクくん、凄い眉間にシワ寄ってるよ!?」

~~~~~~!!俺はまどかが好きだったのか!!いや、大切な人だとは思っていた。守ってやらなきゃって。でも好きとは違う何かかと……!でもそうか…だからまどかに近付く男を皆殴りたくなってたのか。

「いや、本当気付かないとかアレクくんって意外と鈍感…ぶはっ」

とりあえず田中を殴ることにした。



「へぇ、先輩のクラスはお化け屋敷なんですか。」

「うん、結構盛り上がってるよ。」

来る?と言われたけどお断りした。私怖いの苦手なんだよね。

「あっすみません、次の調理私なんです!」

時計を見て私は慌てた。急がないと!

「あっごめんね、ありがとうまどかちゃん。」

私は先輩と別れて急いで調理場に行った。

「わぁごめんクリス交代だね!……あれ?クリスどうしたの?」

「……いや、何でもない。」

「アレクくんは今お花畑に居るから…痛!痛い!足踏んでる!!」

相変わらずクリスと田中くんは仲良いな。




「終わったぁー!!」

ついに文化祭が終わった!!執事喫茶意外と疲れたな。

「まどかちゃん、後夜祭来る?軽音部出るけど!!」

「あっごめん、疲れたから帰るね。」

「そっか残念……。また今度聞きに来てよ。」

田中くんはそう言うと走って行った。

「よし、クリス帰ろうか。」

私達はのんびりと帰ることにした。

「ふぅ…疲れたね?クリスもお疲れ様。」

「!!ああ、ありがとうまどか!お疲れ様!!」

えっそんな大きい声………何急にクリス。

「クリス………どうしたの?やっぱり何かあったの?」

「………まどか。」

えっ何いきなり真剣な顔でこっち見ないで照れる!!

「俺は…本当に向こうの世界にそんなに未練が無いんだ。だから……こっちで一生暮らしてもいいかな……とか思い始めてる……。」

「えっ!?で、でもクリスは副団長だし……。」

「分かっている。……だが、団業より大切なものが出来たら……俺はそれを大切にしたいというか…。」

「団業より大切なものって…………?」

「…………………………………。」

クリスは黙って歩き出した。って言わないんかい!

えっちょっと何なの!そんな事言われたら………私の気持ちに封印なんて出来ないじゃないか!!
意思の弱い私は既に揺らぎ始めていた。
ってか本当大切なものって何よぅ!クリスのバカー!!



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