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厨二病、自国に帰る。
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「ああ!!クリス……クリス!!」
俺は泣きじゃくる母親に強く抱きしめられていた。
「……意外だな。あなたがそこまで俺に固執していたなんて。」
「何を言うの!!クリス……あなたも私達の大事な子供よ…!」
「………よく帰ってきたな…。おかえりクリス。」
父親も俺を強く抱きしめた。親はなんだかんだ言って子供が心配なんだ……王様の声が頭に響いた。
何故だ。……何故今更俺は戻されたんだ。
まどかに思いを伝えようとした。好きだ、ずっと一緒にいよう。そう言おうとした時だった。
「くそっ!」
俺は自分の部屋の壁を殴った。
まどかは今何をしているんだろうか。いきなり1人にされて泣いているのではないか。まどかは………「クリス?」
突然部屋のドアがノックされた。母さんだ。
「どうした母さん。」
「団長さんが迎えに来ているわよ?」
団長?俺が下に降りて行くと団長は嬉しそうに言った。
「クリス!!飲みに行くぞ!!」
「「「きゃー!クリス様ー!!」」」
俺はもみくちゃにされていた。
「ちょ、やめてくれ服が破ける。」
「服?クリス様不思議な服を着ているわね?」
「ああん、どのクリス様も素敵よぉ!!」
だから破けると言ってるだろう!俺はしがみついてくるお姉さん達を1人ずつ剥がした。
「ははは、相変わらずだなクリス。お前が居なくなって大変だったんだぞ。」
団長はビールを飲みながら笑っていた。俺はウイスキーを飲んでいる。
「特にレイラちゃんは……心配で食事もろくに取れなかったみたいだ。」
そう言えばレイラ…痩せていたな。…………悪かったなレイラ…。
「まぁ結果良ければ全てよし、だな。ところでお前が飛ばされたニホンと言うのはどういう所なんだ?話せ。」
団長の言葉に私も聞きたい!と剥がしたお姉さん達がまた集まってきた。だから引っ付くなと言ってるだろう。
「日本はフリスコードとは全く違う世界だった。乗り物や食文化はもちろん、魔法が無いのに驚いた。」
俺がそう言うと皆驚いた顔をした。
「魔法が無い!?魔物が襲ってきたらどうするんだ!?」
「いや、生活だってどうするの?お湯も沸かせられないじゃない。」
「日本には魔物は居ない。魔法の代わりに電気やガスがあるからな。生活にも困らないよ。」
「デンキ?ガス……?それを使って生活するのか?ってか魔物が居ないって随分平和だなぁ。」
「ああ、とっても平和だ。剣が無くても何も困らないほど平和だ。」
皆は信じられない!!と青ざめていた。
「………しかしそんな世界ではお前は浮いた存在だっただろ?」
「………ああ。」
俺は厨二病と呼ばれていた事を思い出した。
「おい、青筋立ってるが大丈夫か?……まぁ良かったよ戻ってこれて。お互いのためにやっぱり自分の世界が1番だよな。」
「お互いのため……?」
「ニホンでお前がどんな生活してたのが知らんが…やっぱり世話になったやつが居たんだろ?まだ子供とは言え男1人の世話をするのは大変だ。向こうも荷が降りてホッとしてるんじゃないのか?」
………そうなのか?俺は一緒に出掛けた時のまどかを思い出していた。いろんな物に興味を示す俺にまどかは困ったように笑っていた。…………迷惑だったのか?
俺は学校に行かせてくれた向こうの両親の顔を思い出していた。お母さんは頑張るから大丈夫、と言ってくれて居たが…やっぱり金銭的に大変だったのか?…………俺はお荷物だったのか?
団長が何か言っていたが俺の頭には入ってこなかった。
「…………ただいま…。」
「あら、早かったわね…ってまどか!?どうしたの真っ青…。」
「お母さん……クリスが…………。」
「クリスちゃん?あら?クリスちゃんどうしたの?」
喧嘩でもしたの?と私の頭を撫でるお母さんに私は震えた声で言った。
「………お母さん…クリスが…………クリスが帰っちゃった……。」
私達はいつもの様にテーブルで集まっていた。……いや、クリスがいないから3人だけで―――。
「そうか…クリスくんは帰ったのか…。」
お父さんが悲しそうに呟いた。
「………いや、これで良かったのかも知れない。クリスくんはずっと帰りたいと言っていたし…あまりに長く居すぎてこちらの世界に未練が出来てしまっては可哀想だしな。」
そうだ……そうだよね。クリスは自分の世界に戻ることが出来て良かったじゃない。……未練?クリスは未練が無かったの?あの時団業より私が大切って言ってくれたけど…………あれは嘘だったのかな?クリスはもう、私達の事は気に留めてないのかな?
良い子の私と悪い子の私が頭をぐるぐる回っていて考えがまとまらない。クリスおめでとうと満面の笑みを浮かべる良い子の私と、クリス行かないでと泣いている悪い子の私。
「………まどか?大丈夫……?」
「えっ!?あっうん!大丈夫だよ!」
お母さんに突然声かけられて私はつい大きな声を出してしまった。
「お父さんの言う通り!!無事に帰れたんだしハッピーエンドだね!!」
「………まどか………。」
「あっでもお母さん学校どうしよう!あれかな?国に帰ることになりましたって言えばいいのかな?」
クリスはモテるから女の子達悲鳴あげそう……私がそう言うとお母さんは真面目な顔で言った。
「学校は辞めさせません。学校側には国のお母さんの具合が悪くなったから少しだけ国に帰ってると説明します!」
「「えっ……ええー!!」」
お母さんの決断に私達は驚いた。だってそんな!
「お母さん!?学校だってタダじゃないんだよ!?」
「分かっています!でもクリスちゃんが戻ってきて学校に居場所が無くなってたら可哀想でしょ?」
「お母さん…?クリスが戻ってくるって………。」
「まどか、クリスちゃんは優しい、いい子よ?………私達に挨拶も無しに帰る子じゃないわ。」
「……………しかしお母さん、クリスくんは……。」
「お父さん、半年待って貰えませんか?半年待って帰ってこなかったら…クリスちゃんを辞めさせます。」
お父さんは少し考えた後、分かった…と静かに呟いた。
本当?クリスは帰ってくるの?さようならって…挨拶をしに来てくれるの?……さようならって言われれば、悪い子の私も納得するのかな?
私は黙って自分の部屋へと入って行った―――。
俺は泣きじゃくる母親に強く抱きしめられていた。
「……意外だな。あなたがそこまで俺に固執していたなんて。」
「何を言うの!!クリス……あなたも私達の大事な子供よ…!」
「………よく帰ってきたな…。おかえりクリス。」
父親も俺を強く抱きしめた。親はなんだかんだ言って子供が心配なんだ……王様の声が頭に響いた。
何故だ。……何故今更俺は戻されたんだ。
まどかに思いを伝えようとした。好きだ、ずっと一緒にいよう。そう言おうとした時だった。
「くそっ!」
俺は自分の部屋の壁を殴った。
まどかは今何をしているんだろうか。いきなり1人にされて泣いているのではないか。まどかは………「クリス?」
突然部屋のドアがノックされた。母さんだ。
「どうした母さん。」
「団長さんが迎えに来ているわよ?」
団長?俺が下に降りて行くと団長は嬉しそうに言った。
「クリス!!飲みに行くぞ!!」
「「「きゃー!クリス様ー!!」」」
俺はもみくちゃにされていた。
「ちょ、やめてくれ服が破ける。」
「服?クリス様不思議な服を着ているわね?」
「ああん、どのクリス様も素敵よぉ!!」
だから破けると言ってるだろう!俺はしがみついてくるお姉さん達を1人ずつ剥がした。
「ははは、相変わらずだなクリス。お前が居なくなって大変だったんだぞ。」
団長はビールを飲みながら笑っていた。俺はウイスキーを飲んでいる。
「特にレイラちゃんは……心配で食事もろくに取れなかったみたいだ。」
そう言えばレイラ…痩せていたな。…………悪かったなレイラ…。
「まぁ結果良ければ全てよし、だな。ところでお前が飛ばされたニホンと言うのはどういう所なんだ?話せ。」
団長の言葉に私も聞きたい!と剥がしたお姉さん達がまた集まってきた。だから引っ付くなと言ってるだろう。
「日本はフリスコードとは全く違う世界だった。乗り物や食文化はもちろん、魔法が無いのに驚いた。」
俺がそう言うと皆驚いた顔をした。
「魔法が無い!?魔物が襲ってきたらどうするんだ!?」
「いや、生活だってどうするの?お湯も沸かせられないじゃない。」
「日本には魔物は居ない。魔法の代わりに電気やガスがあるからな。生活にも困らないよ。」
「デンキ?ガス……?それを使って生活するのか?ってか魔物が居ないって随分平和だなぁ。」
「ああ、とっても平和だ。剣が無くても何も困らないほど平和だ。」
皆は信じられない!!と青ざめていた。
「………しかしそんな世界ではお前は浮いた存在だっただろ?」
「………ああ。」
俺は厨二病と呼ばれていた事を思い出した。
「おい、青筋立ってるが大丈夫か?……まぁ良かったよ戻ってこれて。お互いのためにやっぱり自分の世界が1番だよな。」
「お互いのため……?」
「ニホンでお前がどんな生活してたのが知らんが…やっぱり世話になったやつが居たんだろ?まだ子供とは言え男1人の世話をするのは大変だ。向こうも荷が降りてホッとしてるんじゃないのか?」
………そうなのか?俺は一緒に出掛けた時のまどかを思い出していた。いろんな物に興味を示す俺にまどかは困ったように笑っていた。…………迷惑だったのか?
俺は学校に行かせてくれた向こうの両親の顔を思い出していた。お母さんは頑張るから大丈夫、と言ってくれて居たが…やっぱり金銭的に大変だったのか?…………俺はお荷物だったのか?
団長が何か言っていたが俺の頭には入ってこなかった。
「…………ただいま…。」
「あら、早かったわね…ってまどか!?どうしたの真っ青…。」
「お母さん……クリスが…………。」
「クリスちゃん?あら?クリスちゃんどうしたの?」
喧嘩でもしたの?と私の頭を撫でるお母さんに私は震えた声で言った。
「………お母さん…クリスが…………クリスが帰っちゃった……。」
私達はいつもの様にテーブルで集まっていた。……いや、クリスがいないから3人だけで―――。
「そうか…クリスくんは帰ったのか…。」
お父さんが悲しそうに呟いた。
「………いや、これで良かったのかも知れない。クリスくんはずっと帰りたいと言っていたし…あまりに長く居すぎてこちらの世界に未練が出来てしまっては可哀想だしな。」
そうだ……そうだよね。クリスは自分の世界に戻ることが出来て良かったじゃない。……未練?クリスは未練が無かったの?あの時団業より私が大切って言ってくれたけど…………あれは嘘だったのかな?クリスはもう、私達の事は気に留めてないのかな?
良い子の私と悪い子の私が頭をぐるぐる回っていて考えがまとまらない。クリスおめでとうと満面の笑みを浮かべる良い子の私と、クリス行かないでと泣いている悪い子の私。
「………まどか?大丈夫……?」
「えっ!?あっうん!大丈夫だよ!」
お母さんに突然声かけられて私はつい大きな声を出してしまった。
「お父さんの言う通り!!無事に帰れたんだしハッピーエンドだね!!」
「………まどか………。」
「あっでもお母さん学校どうしよう!あれかな?国に帰ることになりましたって言えばいいのかな?」
クリスはモテるから女の子達悲鳴あげそう……私がそう言うとお母さんは真面目な顔で言った。
「学校は辞めさせません。学校側には国のお母さんの具合が悪くなったから少しだけ国に帰ってると説明します!」
「「えっ……ええー!!」」
お母さんの決断に私達は驚いた。だってそんな!
「お母さん!?学校だってタダじゃないんだよ!?」
「分かっています!でもクリスちゃんが戻ってきて学校に居場所が無くなってたら可哀想でしょ?」
「お母さん…?クリスが戻ってくるって………。」
「まどか、クリスちゃんは優しい、いい子よ?………私達に挨拶も無しに帰る子じゃないわ。」
「……………しかしお母さん、クリスくんは……。」
「お父さん、半年待って貰えませんか?半年待って帰ってこなかったら…クリスちゃんを辞めさせます。」
お父さんは少し考えた後、分かった…と静かに呟いた。
本当?クリスは帰ってくるの?さようならって…挨拶をしに来てくれるの?……さようならって言われれば、悪い子の私も納得するのかな?
私は黙って自分の部屋へと入って行った―――。
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