居候は厨二病。

Musk.

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別れは突然やってくる。

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「……………クリス?」

今まで目の前にいた…真剣な顔で私を見つめていたクリスが……居なくなった。

「クリス………?どこ?………どこにいるの?」

返事は返ってこなかった。当たり前だ。ここには呆然としている私しか居ないのだから―――。


「お疲れ様でした!……あれ?」

係員がフラフラと降りてきた私を見て不思議そうな顔をした。

「あれ?彼氏はどうしたの?2人で乗ってたよね?」

「……………え?」

「あっいや、俺の勘違いだったかな?」

係員はすみません、と軽く頭を下げた。はい…2人で乗ってました。……ねぇクリス………どこに行ったの?私は力無く遊園地をさ迷っていた―――。






「―――ん?ぐはっ!」

いきなり眩しい光に包まれて…目を開けたら激しいタックルに襲われた。

「なっなんだ!?ん?この髪色は―――。」

この目がチカチカする髪色……これは…………。

「レイラ―――。」

俺は何故か泣きじゃくる婚約者に抱きつかれていた。

「良かった!良かった……クリス様!!」

「レイラ…………。…なんでだ?俺はまどかと話していて……「目が覚めたか。」

懐かしい声に振り返ると、そこには団長が立っていた。

「団長?何故団長がここにいる……?」

「おい、クリス……お前異世界に飛ばされて頭やられたか?戻ってきたんだよ自分の世界に。」

俺は団長の言葉に頭が真っ白になった。

「戻ってきた!?何故だ!?」

「何故も何も……そいつがお前を呼び戻したからな。」

団長が指さした方を見ると俺を日本へ飛ばした召喚士が蹲っていた。

「あっ貴様……!!貴様のせいで!!」

「ひぃーアレク様許してくださいぃ!!」

「待てクリス!!話を聞け!!」

殴りかかろうとした俺を団長は止めた。やはり凄いな団長……俺の力を止められるのは団長ぐらいだぞ。

「お前が異世界に飛ばされたのはこいつのせいじゃない。」

「なんだって?こいつが失敗したからじゃないのか?」

俺が召喚士を睨むと召喚士は真っ青な顔で首を横に振った。

「いや、魔法陣が二重になっていたんだ。勇者召喚の魔法陣の上にお前を異世界に飛ばす魔法陣が重なっていた。」

「はぁ!?そんな高度なこと俺以外に…………あっ。」

俺は辺りを見回して、勇者召喚の際には立ち会ったのに今は居なくなっている顔に気付いた。

「気付いたか…流石だなクリス。お前を異世界に飛ばしたのは……魔法使いジュディムだ。」




「やぁやぁアレク様、お久しぶりですねぇ。」

牢屋に入っているジュディムはニヤニヤと俺を見た。

「貴様……。よくも俺を日本にやりやがったな。」

「ニホン?それがアレクの飛んだ先か。………ふん、お前は強すぎたんだよ。認めたくないがアレクの魔法の腕は国1番だ。…………だから魔王様は危惧されていたんだ。」

「はっ、まさかお前が魔王の手下だったとはな…王様自慢の魔法使いも落ちぶれたものだな。」

「何が王様自慢だ!!いつもいつも俺は1番になれなかった……お前が居たからな!!闇魔法なら……お前の習得していない闇魔法なら1番になれると王様に言ったのに聞き入れられなかった!!」

「そりゃそうだ。人を生贄にして習得する闇魔法など王様が許すわけ無いだろう……。」

「だから俺は魔王様についた!!俺を本当に認め、理解してくれた魔王様に!!」

「…………狂信者にでもなったのか、お前は…。しかし無事勇者は召喚され魔王は討伐されお前は捕まったんだな?」

「……………………お前には分からないよ…。どこに行ってももてはやされるお前にはね…。」

それからジュディムは黙ってしまった。仕方ないので俺は団長達がいる所に戻ることにした。



「おっ、クリスこっちだこっち!!」

団長が嬉しそうに手を振った。

「おい、王様の前だぞ。静かにしろ。」

神父はそう顔を顰めた。

「おお、クリス。元気そうで良かった。ほら、顔を近くで見せておくれ。」

「……王様…ご心配お掛けしました。クリス=シュナイダー=アレクサンドリアただいま戻りました。」

「そう畏まらなくても良いぞ。お前のことは災難だったな。……まさかジュディムが裏切り者だったとは………。」

期待していたのだがな…と王様は悲しそうに言った。やはり王様にとって自慢の魔法使いだったんだろう。

「クリス、お前はレイラに心から感謝せよ。レイラが一生懸命お前が戻る方法を調べていたんだぞ。」

王様の声を聞きレイラの方を見ると恥ずかしそうに笑った。

「もう一度クリス様に会いたいと一生懸命この召喚士様とお調べ致しました。」

召喚士は真っ青な顔で頷いていた。そんなに俺が怖いか。

「……………そうか…ありがとうな、レイラ……。」俺はそう呟いた。


「……しかし王様。俺が居ない間に勇者が召喚されフリスコードは平和になったと聞いたが…。」

「ああ、そうだ。お前を失った私達はかなり取り乱したがな。なんとか立て直し無事に勇者を召喚することが出来たのだ。」

「それは良かったです。…本当に良かった。」

「ほらクリス、その方が勇者だ。」

振り向くと凛々しい顔をした美青年が立っていた。

「お初にお目にかかります、ターナー=イルア=リトルと申します。」

「…騎士団、副団長のクリス=シュナイダー=アレクサンドリアと申します。」

勇者は明るい赤毛にエメラルドのような綺麗な瞳だった。……日本人ではないのだろう。

「勇者は突然呼ばれたこの世界と真剣に向き合い戦ってくれた。勇ましい、慈悲深い青年だ。クリスとも親しくなれるだろう。」

勇者は照れたように笑った。そうだな、頼りがいがありそうな男だ。

「さて、戻ってきたばかりのクリスは行きたい所がたくさんあるだろう。皆も心配しておる。顔を出して皆を安心させてやれ。」

「王様……配慮していただきありがとうございます。」

俺は一礼すると立ち去ろうとした。

「あっそうだクリス…ご両親にも顔を出してやれ。心配しておったぞ。」

「心配?跡取りの兄のことならまだしも俺を心配?」

「まぁそう言うな。クリス、親はなんだかんだ言って子供が心配なんだよ。……顔を見せてあげなさい。」

王様のご命令ならば。俺はそう言うと立ち去った。


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