居候は厨二病。

Musk.

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厨二病、気付かされる。

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それから3ヶ月が経ち、俺は日常を取り戻した。

「クリス様ぁ……キスしてキス?」

「しょうがないな…ほら。」

「やだぁほっぺじゃなくて口にして!!」

………俺は日常を取り戻したんだ!!誰がなんと言おうと!!

「…………団長、明日早いから帰る。」

「はぁ!?クリスまだ9時だぞ!?」

「10時には寝るんだ。…おやすみなさい。」

「ちょっとクリス様どうしたの?めちゃめちゃ規則正しくなってるじゃない……。」

うるさいほっといてくれ、俺は酒場を後にした。


シュッシュッ!

「うわぁアレク様もう朝練来てる!!早いなぁ!!」

「えっとお前は……。」

「あっ新人のニクスです!」

「ニクスか、悪いな人の名前覚えるのが苦手で……。」

「いえいえ!俺入ったばっかりですし…こうやってアレク様とお話出来ただけで光栄です!!」

そうなのか?話し相手ならいつでもなるぞ?そう言うとニクスはとても喜んだ。

「おっお前ら早いな……。」

「団長!!おはようございます!!」

「団長……昨日は悪かった。」

「いや、お前の早寝は知っているから大丈夫だ。それよりニクス、今日はお前に魔物退治を依頼したい。」

「えっ?俺ですか?アレク様じゃなくて?」

「クリスは働きすぎだからな、今日は休暇を命ずる。」

その言葉に俺は食ってかかった。

「団長!?俺は休暇なんて要らない!!」

「ダメだ、お前毎日のように魔物退治してるだろう?」

「確かにそうだが……俺は全く疲れていない!!」

「…………クリス、これは命令だ。俺が出てこいと言うまでお前は休んでいろ。」

団長はそう言うとニクスを連れて訓練場を出ていった。



「ふざけんな!!」

何故俺に休暇を?魔物退治と言っても大した魔物は相手にしていない。一体団長はどういうつもりなんだ!!

「くそっ!「きゃっ……!!」

壁を叩いたと同時に後ろから悲鳴が聞こえた。

「!? あっレイラか……。」

「ごめんなさいクリス様………クリス様の姿をお見かけしたので…。」

「いや、謝らなくていい。怖がらせてすまなかった。」

俺がそう言うとレイラは不安そうに俺を見た。

「……俺が怖いか?レイラ。」

「!! いえ、そんなことは……。ただなんだかクリス様を遠くに感じてしまって……。」

「遠く?俺が遠くってどういう……。」

「クリス様…………。」

レイラは俺に抱きついてきた。

「クリス様お願いします……もう二度と居なくならないでください………。」

「………ああ、俺はもう二度とこの世界を離れないよ。」

俺はそう言ってレイラを強く抱きしめた。




「おい!!団長ふざけるな!!」

「ふざけていない。お前はまだ休暇中だ。」

あれから1週間。俺はまだ仕事に出られていなかった。

「いつになったら出られるんだ!?俺はどこも怪我していない!!」

「今はな。しかし今のままでは間違いなくお前は大怪我する。」

「何を言って……「なぁクリス、なんでお前はそんながむしゃらに働いているんだ?」

今まで書類を見て全然俺を見なかった団長がこちらを向いた。

「なんでって……俺は副団長だから………。」

「副団長だから?ふざけんな。お前はまだ平和になる前のフリスコードでもこんなに一心不乱に働いてなかっただろう。」

そんなこと急に言われても。俺はただ昔みたいに戻ろうと……。

「クリス、お前は………ニホンを忘れたいんじゃないのか?」

「はぁ!?団長何言って……!!」

「そうやってがむしゃらに働いていれば忘れられるからな。………そうやって忘れようとしているんだろ?」

「違う団長!!俺はもう日本には未練は無い!!日本にも…まどかにも!!俺は何の未練は無い!!」

「未練が無いか…。お前、そんな情けない顔で何言ってんだよ…。」

え?情けない顔……?俺が…………?

「元気だと思ったら急にお前泣きそうな顔するし……やめてくれない?酒も不味くなるわ。」

「……いや、団長俺は………。」

なんだ……随分弱々しい声が………情けない声しか出ない。

「クリス、正直になれ。お前はまだ若い、周りに気を使う歳じゃないだろ。」

「…………しかし団長……。」

「…………そういやジュディムの処刑が決まった。一週間後だ。なんだかんだお前らは一緒に魔法を学んだ仲だからな…最後の挨拶に言ってやれ。」

団長はそう言うと静かに席を立った。




「………これはこれは…アレク様じゃないですか。」

俺に気付いたジュディムがニヤリと笑った。

「処刑が決まった俺を笑いに来たんですか?なんという素敵な趣味で。」

「ふざけんな。……死にゆく人にそんな無礼な事はしない。」

ジュディムは下を向いた。

「………ジュディム、お前は王様が嫌いか?」

「当たり前だろ?俺は殺そうとしてたんだぜ?」

「…………俺の団服、いつもと違って黒だろ?」

「は?だからなんだ?」

「王様が、喪に伏せろと言ったんだ。」

「え?喪に?」

「お前の処刑が行われるまでの1週間、喪に伏せろと全国民に通達された。処刑人に対して普通そんな配慮なんてしない。……なぁ、お前は王様にとって本当に自慢の魔法使いだったんだよ。」

ジュディムは黙ってしまった。

「…………邪魔したな。」

俺が出てこうとした時

「ああ……俺はどこで間違えたんだろうな…。」

ジュディムの悲痛な声が牢屋に響き渡った。


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