居候は厨二病。

厨二病、お願いをする。

「あれ？今日も朝練来てないですね？アレク様。」

「ああ、そうだな。」

「団長の思いが通じたのでしょうか？アレク様働きすぎでしたからねぇ。戻ってこられて嬉しいのは分かりますが…。」

「………ああ、そうだな…。」

「団長？どうしました？呆然として。」

「……いや、なんでもない。それより明日だな…ジュディムの処刑は。」





「アレクか…………………。」

「今日は俺に皮肉は言わないのか？ジュディム。」

「ふん、処刑前日にまで言いませんよ。」

「そうか………。」

「………アレク、本当だったんだな。」

「？ 何がだ？」

「全国民が喪に伏せているということだ。さっき俺の所に来た神父までもが黒服だった。」

「俺が嘘ついていると思ったのか。」

「……お前は変なところで優しいからな。最後に俺に気遣いしたのかと思ったんだ。」

「………ふん、そんな気遣いするわけ無いだろう。」

「……………最後に王様の気持ちを教えてくれてありがとうな。俺はお前のおかげで祟り神になりそうもない。」

「げっ祟り神になるつもりだったのか。」

「神になるわけないか。魔王様に忠誠を誓ったんだから。」

ジュディムはそう言って笑った。

「……アレク、異世界に飛ばして悪かったな。」

「……いや、その事は気にするな。」

「相変わらず優しいなお前……。本当に調子が乱れる。あっアレクそろそろ時間だ。……最後に話が出来て良かった。」

「…………ああ、俺もだ。」

俺はそう言ってこの場から離れようとして…足を止めた。

「ジュディム………最後にお前に頼みがある。」







翌朝。どんよりとした雲に覆われた王都に13回の鐘が鳴り響いた。―――ジュディムの処刑が行われた合図だった。

「わっ！雨が降り始めた！悪の残党がこの世から消えた祝福の雨だ！！」

団員達が声高らかに言った。

「………いや、違う。これは王様の涙じゃないか？それとも…悪の残党が最後に悪から開放された祝福の涙か。」

なぁクリス？団長は俺を見てそう言った。

「………そうだな。」

俺はただぼんやりと窓の外を見ていた。




「わぁ…雨が降ってきた。」

ぼんやりと窓の外を見ているとポツポツと降ってきた。

「あれ？まどか傘無いの？ふふん、花梨ちゃんが入れてあげよう。」

「いやいや田中くんが入れてあげよう。」

はぁ？と2人は睨み合いを始めた。

「ちょっと二人とも！！ありがとう……私2人の傘に入る！！」

「「えっどういうこと」」


「………………ちょっと横3人歩きづらいんだけど。」

「花梨ちゃんが1人で帰ればいいんじゃないかな？」

「はぁ！？田中が1人で帰りなよ！」

「まぁまぁ楽しいからいいじゃない！」

「…………まぁまどかが楽しいならいいけど。」

「…………まぁまどかちゃんが楽しいならいいけど。」


「……………二人とも本当にありがとう。」