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3章 シュレーディンガーの猫編
42-3 13 people With cabaret club (キャバクラとの13人) 後編
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2054年7月14日。
私はその日の夕方、帰宅した妻との再会を果たした。私にとっては、たったの約72時間とほんの少し…日数にしてたったの3日程度の出来事。それがどうだ…巨人世界とこちらでは時間の流れが違う。まるで竜宮城から地上へ戻った浦島太郎では無いか?
いや…彼は玉手箱のせいで老人と化してしまっているが今の私はどうだ?まるで20歳そこそこでは無いか?
妻や娘…彼女たちにとっては実に30年もの間、私は家を出たきりだった。
8歳の誕生日の3日前に私は家を出たきり帰らなかった。
そうして娘は父親の居ない環境で長い時間を過ごした。
1度目の結婚の時に前の妻との間に娘が出来た。
その頃の私は仕事が忙しく思えば家族で過ごす事は勿論、皆でどこかへ出かけるだとか、子育てを手伝うだとかそういった事を一切やらなかった。
たまにある休日も朝から現場に出掛けては夜遅くに帰宅をし、食事も外で済ませていた為、妻や子と向き合って会話や食事をする事は無かった。
そうしたすれ違いの日々が続いたある日の朝、前の妻は別れをつげ、娘とともに私の目の前から去った。
突然別れを告げられても、ただ、あの時は(ああ…そうか…)と呟いただけだった。
娘が2歳。私の事をパパと呼び始めて間もなくの事だった。
それでも仕事に没頭していた私は1人になった孤独というよりもむしろ自由を手に入れたかの様にさえ感じていた。故に同世代の男性が結婚をして家庭を築き父親として子供と共に成長するのに対して私は大人になりきれていない感じさえしていた。こういうと結婚をしていない独身者や子供のいない人たちが、大人として成長をしていない様に感じられ語弊があるかも知れないがあくまで私が感じていた私見である。
しかし、今回は…また私は家庭…子育て…子どもと共に成長するといった機会を失ったのだな…と感じ、涙した。
けれどその感情は自分勝手でむしろ私の帰りをずっとこの家で待ち続けた妻と娘の方が何倍、何十倍も辛かったはずだ。
※
30年という年月は小さかった娘を母へと成長させた。
娘は37歳となり、少女から大人の女性、そして結婚をして子を産んで母となり、あの日の妻と同じ年齢になっていた。
そして37歳だった妻は67歳になり、母から祖母へと変化していた。
それに対して私の今の姿は「魔法的愛玩具」の効果によって20代前半の姿をしている。妻と横に並ぶとまるでおばあちゃんと孫の様に見えるだろう。
※
妻とは私が40歳手前の時に勤めていた家のリフォーム会社で出会った。本社は兵庫県の神戸市にあり全国にも支店があった。私は中途採用での入社後、これまでの営業経験を活かして神戸、大阪を拠点に北海道、横浜の支店へと赴き、神戸の本社へ戻ってから支店長へと抜擢され異例の昇進を果たした。その年の春に新入社員として神戸の本社に地方から研修へ来ていたのが若き日の妻だった。
入社後、1か月が過ぎた頃、私の所属する営業部と彼女の所属する営業サポート部とで合同の歓迎会が開かれた。
※
「さぁこっちに来て支店長にビールを!」そう言って私の部下の1人が入社1ヶ月目の新卒の彼女を手招きする。
軽く挨拶をする。私は昔から酒があまり強くはなく、特にビールが大の苦手だった。というのも学生の頃はコンパや飲み会が盛んで「一気飲み」という悪しき慣習が流行っていたせいでただでさえ苦手なビールを一気に飲みさせられては頭が痛くなり、そして大いに吐いていた。
年齢を重ねると酒やビールの美味さがわかる様になるものなのだと思っていたが、50を手前にしても未だにその様な兆候は無かった。
彼女と初めて会った頃も酒にはめっぽう弱かったし、ビールの苦味は苦手だった。
ビール会社には悪いがこんなもの本当に美味しいって思っているのは日本に2人くらいしか居ない!とさえ本気で思っていた。
しかし酒は苦手だけれど飲み会の雰囲気が好きだった。
なので余程のことがない限り飲み会には常に参加してた。その日も私は隣に座った彼女に酌をしてもらいコップ1杯のビールで顔を真っ赤にしながら上機嫌だった。
彼女はというと着慣れない紺色のスーツとスカートに身を包み慣れない手つきで私のグラスに2杯目のビールを注ごうとしている。
「あまり酒に強くないのでこれくらいで!」私が彼女にコップの半分くらいの量を指さすと
「そうなんですか?とてもお強そうですけど」そんな感じの会話をしていた。
※
それからどういう会話をしてどういう経緯でそうなったのか?彼女とは仕事が終わってから寮の近くの公園で頻繁に2人で会う様になった。
毎日遅くまで現場に出て帰る頃には0時を越える日が続いたがそれでも彼女は私の為に時間を割いてくれ公園へと足を運んでくれた。
夏が近づき風が心地よい夜の公園の街路樹の元で彼女はその明かりを見上げて立っている。風呂上がりらしく少し濡れた彼女の髪の毛は後ろで一纏めにされていて、化粧っけの無くなった彼女は少女の様な幼ささえ感じられた。
ベンチへと移動をして2人は並んで腰を掛ける。
しばらく会話をしては沈黙。また会話を再開しては沈黙。
そう言えばこの時の私も37歳だった。
※
そしてゆっくりと彼女の肩を抱いた。
常日頃、私は部下達に「肩を揉んだら、チチ揉める」という持論を伝えていた。営業における「フット・イン・ザ・ドア」テクニックの一種だ。小さな要求をこまめにしてYes取りを重ねていき徐々に要求を大きくしていく。
まず手に触れる軽い要求。家のリフォームの営業に置き換えれば
「家大事ですもんね!」
「そうやね!」
「まだまだこのお家に住むんですよね?」といった質問を投げかけて
「そうやね!」という答えをもらう事である。というのもここで「NO」という返答が来た時点で次に進む必要性がないからである。何故なら「家が大事じゃ無い!この家に住み続けない!」という答え=リフォームのニーズが無い!という判断だ。
逆に家が大事でこれからも住み続けようとする人は、どこかのタイミングでリフォームをするのだから。
※
彼女の手に触れる。
これすら拒否される様であればここで終了だ。これ以上は進まない方が賢明だ。
「諦めたらそこで試合終了ですよ…」という言葉もあるが、ここで引っかかる様なら諦めた方が良い!強引に事を進めると痴漢やセクハラで訴えられて人生が終了しかないからだ。
次に肩を抱く。中々、自然に肩を抱く!という行為事態、難易度が高い。相手の隣に腰をかけ、少しでも相手が自分と距離を取ろうものなら、すかさず自身も相手から一定の距離を取らなければいけない。
ヒットアンドアウェイだ。営業に於いてこの動きも重要だと思われる。
「売れる客」か「売れない客」かの見極めが大事だという事。いくら頑張ってプレゼンをしても「売れない客」にはいくら頑張っても「売れない」のだ。営業マンの中にはどんなお客さん相手でも全力でプレゼンをしてその結果、売れずに無駄な時間と労力を費やしてしまう事がある。それにより断られた時のダメージは随分と蓄積されていき、結果余計に断られたらどうしようというマイナスイメージばかりに囚われ「売れなかったらどうしよう?」という負の感情に呑み込まれてしまい、結果負のスパイラルが永遠と続く。
特にリフォーム会社というのは日々成績を上げないと叱咤され時には鉄拳制裁も日常の業界。その結果、離職率が異様に高い。私が入社した時は同期が30人研修へやってきた。1ヶ月後、残ったのはわずか私ともう1人だけだった。そんな環境の中で勝ち残っていく為にはメンタルが非常に重要なファクターだと言える。
何も10割打者を目指す必要はないのだから。どんなに凄い打者も決して10割など打てるはずは無く、1試合で3打席中1本ヒットが打てれば打率3割なのだから。
営業に関して言えば、毎日件数を回る中で、たったの1件、「売れる客」を見つける事さえ出来れば良いのだからむしろ気楽だ。その為、この「見極め」をする為に最初に客宅へ訪問した際にお客さんのタイプの分類をする様にしていた。
「こんにちわ」「おはようございます」と挨拶をした際に玄関先に飾ってあるモノを褒めるのだ。
玄関先に飾ってあるものは、来訪者から真っ先に目に留まる。即ち、ここに飾られたモノはこの家の主の人から褒めてもらいたいものなわけでわざわざ玄関先の人目につく場所に飾られてると考えられる。
たとえば「玄関先の魚拓、見事ですねー」魚拓が玄関先に飾られてる時点でここのご主人は釣り好きなはずである。でなければ中々、魚拓などを玄関先に飾る事は無い。勿論、人から貰っただとかそういうパターンも考えられなくは無いがとにかく褒める。そして、その褒め言葉に対して相手が答える答え方こそが重要なのだ。
「そうなんよ!」「いやいや、そんな事ないよ!」
前者は「YES」タイプ、逆に「NO」タイプである。
前者の様な「YES」タイプの場合、「〇〇した方がいいですよね?」という言葉に対して「そうやね!」と肯定的に答えが返ってくるが、後者の「NO」タイプに同じ質問をすると否定的な答えが返ってくる事が多々ある。
では?「NO」タイプの人にはどうすれば?という事だが逆に「〇〇しない方がいいですよね?」と質問すると「いや、〇〇しといて!」と言われ、結果こちらの求めていた答えが返ってくる。
この様に相手がどういうタイプの人なのか?という「見極め」は一撃離脱型の営業に関しては最も重要なことの一つだと考えられる。
※
話を戻そう。女性が肩に手を回されても拒絶しない。ここまで受け入れらるならば最終的な本来の要求である乳を揉むことが出来るのだ。乳を揉めれば自ずと相手にそれ以上の事も受け入れやすくさせる効果としては十分である…ハズ。
彼女の右側に座り左手を彼女の肩へと回す。見事この方法で私の右手は彼女のチチに到達した。
!!!
その時、彼女のチチに到達した私の右手は信じられない感触に囚われる。
しっとりと彼女の温かい体温を右手が感じとった。
ナマだった!
なるほど!風呂上がりというシチュエーションだという事はリラックスした状態の為、ルームウェアに着替えている。当然といえば当然か?とはいえ、夜の公園へとやって来た22歳のうら若き女性が「ノーブラ?」とはこれまで体験した事が無かった。予想もしていなかった最高のシチュエーションに大いに興奮を感じた。
葵
岬
蘭
2
月斗は分厚い紙のレポートをめくる手を止めた。
やや興奮気味に
「三原さん!この後の展開って高校生の僕が読んでも大丈夫な内容ですか?」
「⁉︎⁉︎⁉︎……ああ、ゴメン月斗君たち高校生には少し刺激が強いかな?ここは大人の堂島先生にでも読んでもらおうか?」そう言うと三原は月斗の側にいる顧問の堂島に目を向ける。
「いえ…今、高校生=どうていって言いませんでした?それに堂島先生も童貞なので刺激が強い様に思います!」
「なっ!先生が童貞?しかも堂島と書いてどうてい!」三原は驚きの表情で堂島を見た。堂島は月斗のディスりをものともせず体をモジモジしながら乙女の様に顔を赤らめた。
「先生!ドンマイ!」三原がそう言い放った。
※
三原のレポートには奥さんとの馴れ初めや、毎夜毎夜、会社の女子寮に忍び込んでの相引きなどの描写が事細かく記されていた。女子寮といっても会社が社宅として借り上げている3LDKのマンションの一部屋を奥さんが使用していて他の同居している同僚の女子達が寝静まった後にその部屋へと忍びこんでは朝を迎えた。といった内容だ。夜の行為の描写も赤裸々に書かれていた。
それ以外にも三原のレポートには、奥さんと出会う前の事が自叙伝の様に書き記されていた。
中でも男子寮にSNSで知り合った女性を連れ込んでは、夜を共にした様子や、「親子丼」、20代の頃に付き合っていた彼女の母親と関係を持った事などが事細かに記されていた。
月斗はレポートを読み進めながら穴という穴から色んなものが飛び出しては更に親子丼のところで嘔吐した。
いわゆる第一チ〇ポ汁でトランクスがビチョビチョになった。
(一体何を読まされてるの?)そんな事を思いつつも月斗はレポートのページをめくり続ける。その中で月斗は文章の終わり辺りに記されている謎の文字が気になった。
雫、響、華、愛、萌、寧々、月、麗、灯、梓、葵、岬そして蘭?
数えると13。コレって?何?不思議に思い月斗は三原に意味を尋ねた。
「ああ、実はあの頃、魔法的愛玩具で見た目が若くなったのを良い事に店に通ってたんだよ…」
「お店?ですか?」
「うん!キャバクラね!そのキャバクラでの13人の名前だよ!」
「⁉︎⁉︎⁉︎」
月斗は分厚いレポートをめくる手を止めた。
to be continued in falsehood in APRIL
2054年7月14日。
私はその日の夕方、帰宅した妻との再会を果たした。私にとっては、たったの約72時間とほんの少し…日数にしてたったの3日程度の出来事。それがどうだ…巨人世界とこちらでは時間の流れが違う。まるで竜宮城から地上へ戻った浦島太郎では無いか?
いや…彼は玉手箱のせいで老人と化してしまっているが今の私はどうだ?まるで20歳そこそこでは無いか?
妻や娘…彼女たちにとっては実に30年もの間、私は家を出たきりだった。
8歳の誕生日の3日前に私は家を出たきり帰らなかった。
そうして娘は父親の居ない環境で長い時間を過ごした。
1度目の結婚の時に前の妻との間に娘が出来た。
その頃の私は仕事が忙しく思えば家族で過ごす事は勿論、皆でどこかへ出かけるだとか、子育てを手伝うだとかそういった事を一切やらなかった。
たまにある休日も朝から現場に出掛けては夜遅くに帰宅をし、食事も外で済ませていた為、妻や子と向き合って会話や食事をする事は無かった。
そうしたすれ違いの日々が続いたある日の朝、前の妻は別れをつげ、娘とともに私の目の前から去った。
突然別れを告げられても、ただ、あの時は(ああ…そうか…)と呟いただけだった。
娘が2歳。私の事をパパと呼び始めて間もなくの事だった。
それでも仕事に没頭していた私は1人になった孤独というよりもむしろ自由を手に入れたかの様にさえ感じていた。故に同世代の男性が結婚をして家庭を築き父親として子供と共に成長するのに対して私は大人になりきれていない感じさえしていた。こういうと結婚をしていない独身者や子供のいない人たちが、大人として成長をしていない様に感じられ語弊があるかも知れないがあくまで私が感じていた私見である。
しかし、今回は…また私は家庭…子育て…子どもと共に成長するといった機会を失ったのだな…と感じ、涙した。
けれどその感情は自分勝手でむしろ私の帰りをずっとこの家で待ち続けた妻と娘の方が何倍、何十倍も辛かったはずだ。
※
30年という年月は小さかった娘を母へと成長させた。
娘は37歳となり、少女から大人の女性、そして結婚をして子を産んで母となり、あの日の妻と同じ年齢になっていた。
そして37歳だった妻は67歳になり、母から祖母へと変化していた。
それに対して私の今の姿は「魔法的愛玩具」の効果によって20代前半の姿をしている。妻と横に並ぶとまるでおばあちゃんと孫の様に見えるだろう。
※
妻とは私が40歳手前の時に勤めていた家のリフォーム会社で出会った。本社は兵庫県の神戸市にあり全国にも支店があった。私は中途採用での入社後、これまでの営業経験を活かして神戸、大阪を拠点に北海道、横浜の支店へと赴き、神戸の本社へ戻ってから支店長へと抜擢され異例の昇進を果たした。その年の春に新入社員として神戸の本社に地方から研修へ来ていたのが若き日の妻だった。
入社後、1か月が過ぎた頃、私の所属する営業部と彼女の所属する営業サポート部とで合同の歓迎会が開かれた。
※
「さぁこっちに来て支店長にビールを!」そう言って私の部下の1人が入社1ヶ月目の新卒の彼女を手招きする。
軽く挨拶をする。私は昔から酒があまり強くはなく、特にビールが大の苦手だった。というのも学生の頃はコンパや飲み会が盛んで「一気飲み」という悪しき慣習が流行っていたせいでただでさえ苦手なビールを一気に飲みさせられては頭が痛くなり、そして大いに吐いていた。
年齢を重ねると酒やビールの美味さがわかる様になるものなのだと思っていたが、50を手前にしても未だにその様な兆候は無かった。
彼女と初めて会った頃も酒にはめっぽう弱かったし、ビールの苦味は苦手だった。
ビール会社には悪いがこんなもの本当に美味しいって思っているのは日本に2人くらいしか居ない!とさえ本気で思っていた。
しかし酒は苦手だけれど飲み会の雰囲気が好きだった。
なので余程のことがない限り飲み会には常に参加してた。その日も私は隣に座った彼女に酌をしてもらいコップ1杯のビールで顔を真っ赤にしながら上機嫌だった。
彼女はというと着慣れない紺色のスーツとスカートに身を包み慣れない手つきで私のグラスに2杯目のビールを注ごうとしている。
「あまり酒に強くないのでこれくらいで!」私が彼女にコップの半分くらいの量を指さすと
「そうなんですか?とてもお強そうですけど」そんな感じの会話をしていた。
※
それからどういう会話をしてどういう経緯でそうなったのか?彼女とは仕事が終わってから寮の近くの公園で頻繁に2人で会う様になった。
毎日遅くまで現場に出て帰る頃には0時を越える日が続いたがそれでも彼女は私の為に時間を割いてくれ公園へと足を運んでくれた。
夏が近づき風が心地よい夜の公園の街路樹の元で彼女はその明かりを見上げて立っている。風呂上がりらしく少し濡れた彼女の髪の毛は後ろで一纏めにされていて、化粧っけの無くなった彼女は少女の様な幼ささえ感じられた。
ベンチへと移動をして2人は並んで腰を掛ける。
しばらく会話をしては沈黙。また会話を再開しては沈黙。
そう言えばこの時の私も37歳だった。
※
そしてゆっくりと彼女の肩を抱いた。
常日頃、私は部下達に「肩を揉んだら、チチ揉める」という持論を伝えていた。営業における「フット・イン・ザ・ドア」テクニックの一種だ。小さな要求をこまめにしてYes取りを重ねていき徐々に要求を大きくしていく。
まず手に触れる軽い要求。家のリフォームの営業に置き換えれば
「家大事ですもんね!」
「そうやね!」
「まだまだこのお家に住むんですよね?」といった質問を投げかけて
「そうやね!」という答えをもらう事である。というのもここで「NO」という返答が来た時点で次に進む必要性がないからである。何故なら「家が大事じゃ無い!この家に住み続けない!」という答え=リフォームのニーズが無い!という判断だ。
逆に家が大事でこれからも住み続けようとする人は、どこかのタイミングでリフォームをするのだから。
※
彼女の手に触れる。
これすら拒否される様であればここで終了だ。これ以上は進まない方が賢明だ。
「諦めたらそこで試合終了ですよ…」という言葉もあるが、ここで引っかかる様なら諦めた方が良い!強引に事を進めると痴漢やセクハラで訴えられて人生が終了しかないからだ。
次に肩を抱く。中々、自然に肩を抱く!という行為事態、難易度が高い。相手の隣に腰をかけ、少しでも相手が自分と距離を取ろうものなら、すかさず自身も相手から一定の距離を取らなければいけない。
ヒットアンドアウェイだ。営業に於いてこの動きも重要だと思われる。
「売れる客」か「売れない客」かの見極めが大事だという事。いくら頑張ってプレゼンをしても「売れない客」にはいくら頑張っても「売れない」のだ。営業マンの中にはどんなお客さん相手でも全力でプレゼンをしてその結果、売れずに無駄な時間と労力を費やしてしまう事がある。それにより断られた時のダメージは随分と蓄積されていき、結果余計に断られたらどうしようというマイナスイメージばかりに囚われ「売れなかったらどうしよう?」という負の感情に呑み込まれてしまい、結果負のスパイラルが永遠と続く。
特にリフォーム会社というのは日々成績を上げないと叱咤され時には鉄拳制裁も日常の業界。その結果、離職率が異様に高い。私が入社した時は同期が30人研修へやってきた。1ヶ月後、残ったのはわずか私ともう1人だけだった。そんな環境の中で勝ち残っていく為にはメンタルが非常に重要なファクターだと言える。
何も10割打者を目指す必要はないのだから。どんなに凄い打者も決して10割など打てるはずは無く、1試合で3打席中1本ヒットが打てれば打率3割なのだから。
営業に関して言えば、毎日件数を回る中で、たったの1件、「売れる客」を見つける事さえ出来れば良いのだからむしろ気楽だ。その為、この「見極め」をする為に最初に客宅へ訪問した際にお客さんのタイプの分類をする様にしていた。
「こんにちわ」「おはようございます」と挨拶をした際に玄関先に飾ってあるモノを褒めるのだ。
玄関先に飾ってあるものは、来訪者から真っ先に目に留まる。即ち、ここに飾られたモノはこの家の主の人から褒めてもらいたいものなわけでわざわざ玄関先の人目につく場所に飾られてると考えられる。
たとえば「玄関先の魚拓、見事ですねー」魚拓が玄関先に飾られてる時点でここのご主人は釣り好きなはずである。でなければ中々、魚拓などを玄関先に飾る事は無い。勿論、人から貰っただとかそういうパターンも考えられなくは無いがとにかく褒める。そして、その褒め言葉に対して相手が答える答え方こそが重要なのだ。
「そうなんよ!」「いやいや、そんな事ないよ!」
前者は「YES」タイプ、逆に「NO」タイプである。
前者の様な「YES」タイプの場合、「〇〇した方がいいですよね?」という言葉に対して「そうやね!」と肯定的に答えが返ってくるが、後者の「NO」タイプに同じ質問をすると否定的な答えが返ってくる事が多々ある。
では?「NO」タイプの人にはどうすれば?という事だが逆に「〇〇しない方がいいですよね?」と質問すると「いや、〇〇しといて!」と言われ、結果こちらの求めていた答えが返ってくる。
この様に相手がどういうタイプの人なのか?という「見極め」は一撃離脱型の営業に関しては最も重要なことの一つだと考えられる。
※
話を戻そう。女性が肩に手を回されても拒絶しない。ここまで受け入れらるならば最終的な本来の要求である乳を揉むことが出来るのだ。乳を揉めれば自ずと相手にそれ以上の事も受け入れやすくさせる効果としては十分である…ハズ。
彼女の右側に座り左手を彼女の肩へと回す。見事この方法で私の右手は彼女のチチに到達した。
!!!
その時、彼女のチチに到達した私の右手は信じられない感触に囚われる。
しっとりと彼女の温かい体温を右手が感じとった。
ナマだった!
なるほど!風呂上がりというシチュエーションだという事はリラックスした状態の為、ルームウェアに着替えている。当然といえば当然か?とはいえ、夜の公園へとやって来た22歳のうら若き女性が「ノーブラ?」とはこれまで体験した事が無かった。予想もしていなかった最高のシチュエーションに大いに興奮を感じた。
葵
岬
蘭
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月斗は分厚い紙のレポートをめくる手を止めた。
やや興奮気味に
「三原さん!この後の展開って高校生の僕が読んでも大丈夫な内容ですか?」
「⁉︎⁉︎⁉︎……ああ、ゴメン月斗君たち高校生には少し刺激が強いかな?ここは大人の堂島先生にでも読んでもらおうか?」そう言うと三原は月斗の側にいる顧問の堂島に目を向ける。
「いえ…今、高校生=どうていって言いませんでした?それに堂島先生も童貞なので刺激が強い様に思います!」
「なっ!先生が童貞?しかも堂島と書いてどうてい!」三原は驚きの表情で堂島を見た。堂島は月斗のディスりをものともせず体をモジモジしながら乙女の様に顔を赤らめた。
「先生!ドンマイ!」三原がそう言い放った。
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三原のレポートには奥さんとの馴れ初めや、毎夜毎夜、会社の女子寮に忍び込んでの相引きなどの描写が事細かく記されていた。女子寮といっても会社が社宅として借り上げている3LDKのマンションの一部屋を奥さんが使用していて他の同居している同僚の女子達が寝静まった後にその部屋へと忍びこんでは朝を迎えた。といった内容だ。夜の行為の描写も赤裸々に書かれていた。
それ以外にも三原のレポートには、奥さんと出会う前の事が自叙伝の様に書き記されていた。
中でも男子寮にSNSで知り合った女性を連れ込んでは、夜を共にした様子や、「親子丼」、20代の頃に付き合っていた彼女の母親と関係を持った事などが事細かに記されていた。
月斗はレポートを読み進めながら穴という穴から色んなものが飛び出しては更に親子丼のところで嘔吐した。
いわゆる第一チ〇ポ汁でトランクスがビチョビチョになった。
(一体何を読まされてるの?)そんな事を思いつつも月斗はレポートのページをめくり続ける。その中で月斗は文章の終わり辺りに記されている謎の文字が気になった。
雫、響、華、愛、萌、寧々、月、麗、灯、梓、葵、岬そして蘭?
数えると13。コレって?何?不思議に思い月斗は三原に意味を尋ねた。
「ああ、実はあの頃、魔法的愛玩具で見た目が若くなったのを良い事に店に通ってたんだよ…」
「お店?ですか?」
「うん!キャバクラね!そのキャバクラでの13人の名前だよ!」
「⁉︎⁉︎⁉︎」
月斗は分厚いレポートをめくる手を止めた。
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【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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