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聖地からの使い
27 聖地マーヤ(3)
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商業連合を出た私たちは、それ以外の区画もぶらぶら散策する。
学区以外はほぼ教会関連施設みたいで、立ち入り禁止の場所もある。チラッと覗いたら、宇宙船や管理人さんたちの壁画が・・・もう驚かないよ。
巡礼者の宿泊施設などは、学区や商店などが並ぶ区画よりも外側の区画にあって、料金が高い宿泊施設の方が本教会に近い。
さらりと城郭都市内を見学した後、私は重い足と心を引き摺りながら学園の寮に入寮した。
指定された部屋に到着すると、私の護衛に新しく就任したスピカという22歳の女性が待っていた。
アステカ同様に【聖・癒し】を持っている、要人警護専用教会騎士だ。
「至高なる【マーヤ・リー】様にお仕えできる幸運を神に感謝し、身命を賭してマシロさまをお守りいたします」
スピカは16年前のミレル帝国内乱で孤児になった。教会に保護され【原初能力 聖】持ちと判明したので、ずっと聖地マーヤで暮らしているらしい。
深緑のキャッツアイの瞳にモスグリーンの髪で、ぱっと見は落ち着いた雰囲気だけど、私と一緒にいろんな場所に行くのが楽しみだって、喋り出したら止まらない快活な性格の騎士で安心した。
……アステカは真面目で無口だったけど、スピカとは女子トークもできそうだ。
……うんうん、ホワイティ商会はこれから大陸全土に進出するから、楽しみにしていてね。
原初能力学園に学びに来るのは王族や上位貴族の子女だから、護衛や侍女を必ず連れてくる。
だからスピカは一緒に暮らして、護衛や身の回りの世話もしてくれる。
王族待遇の寮だから、護衛と侍女の控室も完備している。
アステカと交互に護衛につき、スピカは主に学園内の護衛を担当する。
さて、今日はいよいよ入学式だ。
同期生となる者は4人。非常に面倒な予感しかしないんだけど・・・
ギョデク貴族共和国の第3王子に、ミレル帝国の第4王子、大国マセール王国の公爵子息と公爵令嬢がメンバーだ。
……ああ、王族とか嫌だなぁ。公爵家も面倒だけど、マセール王国の貴族には興味がある。もしかしたら、私を知っているかもしれないから。
「お前、平民なんだってな」
「ええ、そうね」
「お前、貧乏だから護衛も雇えないのか?」
「いいえ、お金ならそこそこ持ってるし、教会騎士にお給料を払ってるわ」
予想通りというか期待を裏切らないというか、自分こそが一番身分が高いと思っている様子の、ミレル帝国のトコバ王子がマウントを取りにきた。
うちの護衛は教会騎士の制服を着てるから、お金がなくて教会から借りたと思ったみたい。
高位貴族の常識では、教会騎士はどんなにお金を積んでも雇えないと知っているはずだけど、どうやら坊やは知らないみたい。
アナタの後ろに控えている護衛が、青い顔をして下を向いているわよ。
鮮やかなサファイアの瞳を持つトコバ王子は、【水】の能力持ちで濃紺の髪色だから、結構強い力を持っているってことね。
ミレル帝国は70年前に、腐った国王に反旗を翻した公爵がヨンド共和国として独立したので、国土を半分に減らしている。
その上、圧政に苦しむ民が16年前に内乱をおこしている。護衛のスピカはその時に孤児になった。
……まあ、少しはましになったようだけど、平民を虐げるのが得意な王族だ。
この中で平民なのは私だけだから、何かと標的にされやすいだろう。
他の3人は無関心そうにしてるけど、明らかに私を見下しているのが分かる。
だからって中身58歳のおばさんは、黙ってやられたりしないわよ。
……【マーヤ・リー】が現れたと、本教会は正式に公表してないけど、一応私は教会所属らしいから、指導する側の立場よね?・・・手加減なんて必要?
「ここは身分を自慢する学園じゃなく、己の能力を磨く場所よ。身分は関係ないわ」
「フン、これだから平民は。私たちは神に選ばれて貴族になっている。お前ごとき平民とでは、能力を比べるまでもない!」
あぁ、今度はギョデク共和国のハレール王子だ。まじ面倒臭い。
彼は父様と同じ【土】の能力持ちで、アンバーの瞳にこげ茶の髪だ。
ギョデク貴族共和国は、3大公爵家が交代で国王に就任する変わった国で、3つの公爵家が牽制し合っている分、ミレル帝国より民の暮らしはましだ。
「フッ、そうね。能力を比べるまでもないわ。だって、どんなに頑張っても、貴方たちじゃ勉強も【原初能力】も私に勝てないんだから」
王族の扱いはバカボンでしっかり学んだから、最初からガツン、ゴンゴンと釘を打ち付けて、世界の広さを教えてあげよう。
反論された王子2人は、反論されるとは思っていなかったようで、目を見開き私を睨み付けるけど全然怖くない。
……だって此処は、【マーヤ・リー】のホームだから。
完全上から目線。余裕の微笑み。そして、鼻で笑うことも忘れないわ。
これがラノベ的悪役令嬢だったら、オーホッホと高笑いする場面だけど、私は【聖人】らしいから、このくらいで勘弁しといたろう。
……ん? 聖人? 聖女じゃダメなの? 聖女ならラノベ的に清らか~とか神々しいとか、優しくて慈悲深いってイメージでいけるのに・・・まあ、今の私のキャラじゃないかぁ・・・
マセール王国の2人は私をまじまじと見て、何か考えているようで何度も首を捻っている。
「アナタ、本当にシュメル王国の出身? その濃紫の髪って・・・」
質問したのは、マセール王国のレルス公爵令嬢サーシャさん。
彼女は【水】の能力持ちで、サファイアの瞳に青い髪の勝気そうな美人だ。
マセール王国には、【炎】のエパレ・【水】のレルス・【動力】のバラス・【空間】のアーレンという4大公爵家がある。
「まさか、王孫の・・・いや、違う」と、狼狽しながら首を振っているのは、マセール王国バラス公爵家のガインだ。
シルバーの瞳に銀髪は【動力】の能力持ちで、彼の叔母はマセール王国の王太子妃だったと思う。
学区以外はほぼ教会関連施設みたいで、立ち入り禁止の場所もある。チラッと覗いたら、宇宙船や管理人さんたちの壁画が・・・もう驚かないよ。
巡礼者の宿泊施設などは、学区や商店などが並ぶ区画よりも外側の区画にあって、料金が高い宿泊施設の方が本教会に近い。
さらりと城郭都市内を見学した後、私は重い足と心を引き摺りながら学園の寮に入寮した。
指定された部屋に到着すると、私の護衛に新しく就任したスピカという22歳の女性が待っていた。
アステカ同様に【聖・癒し】を持っている、要人警護専用教会騎士だ。
「至高なる【マーヤ・リー】様にお仕えできる幸運を神に感謝し、身命を賭してマシロさまをお守りいたします」
スピカは16年前のミレル帝国内乱で孤児になった。教会に保護され【原初能力 聖】持ちと判明したので、ずっと聖地マーヤで暮らしているらしい。
深緑のキャッツアイの瞳にモスグリーンの髪で、ぱっと見は落ち着いた雰囲気だけど、私と一緒にいろんな場所に行くのが楽しみだって、喋り出したら止まらない快活な性格の騎士で安心した。
……アステカは真面目で無口だったけど、スピカとは女子トークもできそうだ。
……うんうん、ホワイティ商会はこれから大陸全土に進出するから、楽しみにしていてね。
原初能力学園に学びに来るのは王族や上位貴族の子女だから、護衛や侍女を必ず連れてくる。
だからスピカは一緒に暮らして、護衛や身の回りの世話もしてくれる。
王族待遇の寮だから、護衛と侍女の控室も完備している。
アステカと交互に護衛につき、スピカは主に学園内の護衛を担当する。
さて、今日はいよいよ入学式だ。
同期生となる者は4人。非常に面倒な予感しかしないんだけど・・・
ギョデク貴族共和国の第3王子に、ミレル帝国の第4王子、大国マセール王国の公爵子息と公爵令嬢がメンバーだ。
……ああ、王族とか嫌だなぁ。公爵家も面倒だけど、マセール王国の貴族には興味がある。もしかしたら、私を知っているかもしれないから。
「お前、平民なんだってな」
「ええ、そうね」
「お前、貧乏だから護衛も雇えないのか?」
「いいえ、お金ならそこそこ持ってるし、教会騎士にお給料を払ってるわ」
予想通りというか期待を裏切らないというか、自分こそが一番身分が高いと思っている様子の、ミレル帝国のトコバ王子がマウントを取りにきた。
うちの護衛は教会騎士の制服を着てるから、お金がなくて教会から借りたと思ったみたい。
高位貴族の常識では、教会騎士はどんなにお金を積んでも雇えないと知っているはずだけど、どうやら坊やは知らないみたい。
アナタの後ろに控えている護衛が、青い顔をして下を向いているわよ。
鮮やかなサファイアの瞳を持つトコバ王子は、【水】の能力持ちで濃紺の髪色だから、結構強い力を持っているってことね。
ミレル帝国は70年前に、腐った国王に反旗を翻した公爵がヨンド共和国として独立したので、国土を半分に減らしている。
その上、圧政に苦しむ民が16年前に内乱をおこしている。護衛のスピカはその時に孤児になった。
……まあ、少しはましになったようだけど、平民を虐げるのが得意な王族だ。
この中で平民なのは私だけだから、何かと標的にされやすいだろう。
他の3人は無関心そうにしてるけど、明らかに私を見下しているのが分かる。
だからって中身58歳のおばさんは、黙ってやられたりしないわよ。
……【マーヤ・リー】が現れたと、本教会は正式に公表してないけど、一応私は教会所属らしいから、指導する側の立場よね?・・・手加減なんて必要?
「ここは身分を自慢する学園じゃなく、己の能力を磨く場所よ。身分は関係ないわ」
「フン、これだから平民は。私たちは神に選ばれて貴族になっている。お前ごとき平民とでは、能力を比べるまでもない!」
あぁ、今度はギョデク共和国のハレール王子だ。まじ面倒臭い。
彼は父様と同じ【土】の能力持ちで、アンバーの瞳にこげ茶の髪だ。
ギョデク貴族共和国は、3大公爵家が交代で国王に就任する変わった国で、3つの公爵家が牽制し合っている分、ミレル帝国より民の暮らしはましだ。
「フッ、そうね。能力を比べるまでもないわ。だって、どんなに頑張っても、貴方たちじゃ勉強も【原初能力】も私に勝てないんだから」
王族の扱いはバカボンでしっかり学んだから、最初からガツン、ゴンゴンと釘を打ち付けて、世界の広さを教えてあげよう。
反論された王子2人は、反論されるとは思っていなかったようで、目を見開き私を睨み付けるけど全然怖くない。
……だって此処は、【マーヤ・リー】のホームだから。
完全上から目線。余裕の微笑み。そして、鼻で笑うことも忘れないわ。
これがラノベ的悪役令嬢だったら、オーホッホと高笑いする場面だけど、私は【聖人】らしいから、このくらいで勘弁しといたろう。
……ん? 聖人? 聖女じゃダメなの? 聖女ならラノベ的に清らか~とか神々しいとか、優しくて慈悲深いってイメージでいけるのに・・・まあ、今の私のキャラじゃないかぁ・・・
マセール王国の2人は私をまじまじと見て、何か考えているようで何度も首を捻っている。
「アナタ、本当にシュメル王国の出身? その濃紫の髪って・・・」
質問したのは、マセール王国のレルス公爵令嬢サーシャさん。
彼女は【水】の能力持ちで、サファイアの瞳に青い髪の勝気そうな美人だ。
マセール王国には、【炎】のエパレ・【水】のレルス・【動力】のバラス・【空間】のアーレンという4大公爵家がある。
「まさか、王孫の・・・いや、違う」と、狼狽しながら首を振っているのは、マセール王国バラス公爵家のガインだ。
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