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38話 天井に張り付く魔物の再来
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とある晴れた日。
「来週はウチのギルドの生誕祭だからね。準備忘れんじゃないよ」
ヴェイナーの言葉に、ギルドメンバー達は思い思いに反応する。
「ギルドの生誕祭?」
「ギルドの設立記念日よ。地域の人達を招いてお祝いをするの」
「そうなんですか。ティリア様は博識ですね」
「毎日色々な書類に目を通してるもの」
少しだけ得意気に言った。その姿が愛らしく、ライルは自然と目を細める。
「でもライルの方が博識じゃない?」
「俺がですか?」
「だって、私が知らない魔法を使っているもの」
「ティリア様から頂いた力を使っているのですから、ティリア様が魔法を使っているようなものですよ」
見つめ合っていると、ティリアはフイに外を見た。
「ギルドにも誕生日があるのね」
「誕生日と聞いて、悲しくなりましたか?」
「ううん。そんな事ないわ」
ティリアがフローレンス公爵家にいた頃は、家族に誕生日を祝ってもらった事などない。婚約者からも祝いの言葉一つ掛けられず、おそらくは侍従が選んだと思われる贈り物が届けられるだけだった。
「私の誕生日は、いつもライルが祝ってくれたもの」
「俺の誕生日も、いつもティリア様に祝って頂きました」
2人だけの世界に入っていたが、ギルドメンバー達にバッチリ聞かれているのを失念していた為、後日色々と揶揄われて焦る事となる。
△
『きゃあああ!』
ギルド生誕祭を翌日に控えた日、ギルド内で複数の悲鳴が上がった。
「何だ!」
「どうしたんだ!」
冒険者達が武器を片手に殺到した。
「あ、あれ見て」
調理担当の女性が震えながら天井を指差す。そこには紫色のおどろおどろしい何かが、天井に張り付いていた。
「新種の魔物かっ!?」
「一旦離れろっ! 誰か魔法使い呼んでこい! 魔法で殺すんだ!」
「待ってください」
人を掻き分けてライルが声を掛ける。
「おお。お前がやってくれるのか。燃やすか凍らせるかしてくれ。飛び掛かってくるかもしれんから、あまり近付き過ぎるなよ」
冒険者はそう言って大きく下がる。
「いえ。違うんですよ皆さん。あれは魔物ではありません」
「はぁ? どう見ても魔物だろう? あの毒々しい焦げ茶と紫のコントラストは、今にも人を呪い殺しそうじゃないか」
周囲の人間はウンウンと頷いて同意している。
「違います。あれはタルトなんです」
「魔物がタルト? 馬鹿を言うな」
「そうだぜライル。まさか『呪われたタルトだ』とでも言うつもりか?」
ギルド生誕祭の調理担当者達も「そうよそうよ」と言って、ライルの意見を否定する。
「タルトなんですよ皆さん」
「タルトだっていうなら、そもそも誰が作ったの? あんな変な物を作る人なんてウチにいないはずよ」
「それは……」
ライルがしどろもどろになっていると、ティリアがおずおずと進み出た。
「申し訳ありません。私が作りました」
『えぇえええええええ!?』
誰もが驚いた顔でティリアを見ている。可憐な容姿をしており仕事も完璧なティリアが、タルトの化物を作ったという事実が信じられないからだ。
「材料に何を混ぜたの? どうやって作ったの? ティリアちゃん大丈夫? 疲れてるの?」
「いえ、あの……疲れてはいません。焼いた生地に生クリームと赤と青の果物を載せていたら、躓いてしまってああなってしまったんです」
(躓いたらタルトが魔物になるのか!?)
全員の心の叫びが一致した瞬間だ。
色々と説明が端折られている為に製作過程が不明だった。しかし誰もが思っている疑問であろうとも、それを口にする者はいない。
ティリアが申し訳なさそうにしており、それ以上突っ込んで訊ける雰囲気ではなかったからだ。
「ライルを呼びに行って戻ってきたら、大騒ぎになっていて。すみません」
躓いたティリアは、テコの原理やら物理反射の法則を、神懸かり的な偶然で何度か発動させている。そうしてなんやかんやで、最終的に天井に張り付かせてしまったのが真相だ。
「気にしたら駄目よティリアちゃん」
「ヴェイナーさん。でも私、以前もパンケーキで同じ事をしてしまったんです」
「大丈夫。誰にだって苦手な事はあるわ」
ヴェイナーはティリアの頭を撫でて慰めると、ギルドメンバー達にアイコンタクトを送る。送られた者達も「分かっています」と言った感じで小さく頷いた。
『ティリアの料理はポンコツだ』
という情報がギルド内で共有される事となる。明日以降は、ティリアが料理担当を務める機会はなくなるだろう。
しかし彼等彼女等は後に、ティリアは料理だけではなく刺繍もポンコツであると知る事になる。
「あのバケモ……タルトどうすんだ?」
「俺が食べます」
「馬鹿野郎! 死ぬ気かライル!」
「オメェはウチのエースだろうが! 無駄な事で軽々しく特攻すんじゃねぇ!」
ベテランの冒険者達に諫められたが聞き入れるつもりはない。ライルにも譲れないものがあるからだ。
「退くわけにはいきません。必ず俺がいただきます」
そしてライルは、魔導構成式を素早く組み立てて印を切る
「《氷柱》《重力増加》」
テーブル状の氷柱が現れ、タルトは増加した重力に耐えられずにビターンと落下した。氷柱の上にタルトが載っている状態だ。
「さて、いただきましょうか」
「ライル。食べるのは止めた方が良いんじゃないかな?」
「何故ですかティリア様?」
「天井に付着した物だし」
「天井との接触部を避けて食せば問題ありません」
ライルの必食の意志は固い。説得を諦めたティリアが引き下がると、ライルは魔法を行使する。
「《風刃》」
「ライル。アンタさっきから色々と魔法使ってるけどさぁ。魔導超越者の無駄遣いよそれ」
ヴェイナーは呆れている。しかし上機嫌のライルは一切気にする事も無く、タルトを切り分けてパクリと食した。満足気な笑みだ。
「美味しいですよ。ティリア様」
「え? マジで? そんじゃ俺も貰いっと」
「なっ!?」
ライルは渡すものかと奮闘したが、いかんせん急過ぎてどうにも出来なかった。
「はいゲット」
リンドルはアクロバティック強奪で難無くタルトを手に入れる。そしてこれみよがしに口に入れ、
「ぶはぁっ! 不味い! がはぁっ!」
バタリと床に倒れた。
「不味い? どこがですか。こんなに美味しいのに」
リンドルは、モグモグと食べ始めたライルを見上げる。ライルの味覚には強烈なティリア補正が掛かっている事を理解したリンドルだった。
「来週はウチのギルドの生誕祭だからね。準備忘れんじゃないよ」
ヴェイナーの言葉に、ギルドメンバー達は思い思いに反応する。
「ギルドの生誕祭?」
「ギルドの設立記念日よ。地域の人達を招いてお祝いをするの」
「そうなんですか。ティリア様は博識ですね」
「毎日色々な書類に目を通してるもの」
少しだけ得意気に言った。その姿が愛らしく、ライルは自然と目を細める。
「でもライルの方が博識じゃない?」
「俺がですか?」
「だって、私が知らない魔法を使っているもの」
「ティリア様から頂いた力を使っているのですから、ティリア様が魔法を使っているようなものですよ」
見つめ合っていると、ティリアはフイに外を見た。
「ギルドにも誕生日があるのね」
「誕生日と聞いて、悲しくなりましたか?」
「ううん。そんな事ないわ」
ティリアがフローレンス公爵家にいた頃は、家族に誕生日を祝ってもらった事などない。婚約者からも祝いの言葉一つ掛けられず、おそらくは侍従が選んだと思われる贈り物が届けられるだけだった。
「私の誕生日は、いつもライルが祝ってくれたもの」
「俺の誕生日も、いつもティリア様に祝って頂きました」
2人だけの世界に入っていたが、ギルドメンバー達にバッチリ聞かれているのを失念していた為、後日色々と揶揄われて焦る事となる。
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『きゃあああ!』
ギルド生誕祭を翌日に控えた日、ギルド内で複数の悲鳴が上がった。
「何だ!」
「どうしたんだ!」
冒険者達が武器を片手に殺到した。
「あ、あれ見て」
調理担当の女性が震えながら天井を指差す。そこには紫色のおどろおどろしい何かが、天井に張り付いていた。
「新種の魔物かっ!?」
「一旦離れろっ! 誰か魔法使い呼んでこい! 魔法で殺すんだ!」
「待ってください」
人を掻き分けてライルが声を掛ける。
「おお。お前がやってくれるのか。燃やすか凍らせるかしてくれ。飛び掛かってくるかもしれんから、あまり近付き過ぎるなよ」
冒険者はそう言って大きく下がる。
「いえ。違うんですよ皆さん。あれは魔物ではありません」
「はぁ? どう見ても魔物だろう? あの毒々しい焦げ茶と紫のコントラストは、今にも人を呪い殺しそうじゃないか」
周囲の人間はウンウンと頷いて同意している。
「違います。あれはタルトなんです」
「魔物がタルト? 馬鹿を言うな」
「そうだぜライル。まさか『呪われたタルトだ』とでも言うつもりか?」
ギルド生誕祭の調理担当者達も「そうよそうよ」と言って、ライルの意見を否定する。
「タルトなんですよ皆さん」
「タルトだっていうなら、そもそも誰が作ったの? あんな変な物を作る人なんてウチにいないはずよ」
「それは……」
ライルがしどろもどろになっていると、ティリアがおずおずと進み出た。
「申し訳ありません。私が作りました」
『えぇえええええええ!?』
誰もが驚いた顔でティリアを見ている。可憐な容姿をしており仕事も完璧なティリアが、タルトの化物を作ったという事実が信じられないからだ。
「材料に何を混ぜたの? どうやって作ったの? ティリアちゃん大丈夫? 疲れてるの?」
「いえ、あの……疲れてはいません。焼いた生地に生クリームと赤と青の果物を載せていたら、躓いてしまってああなってしまったんです」
(躓いたらタルトが魔物になるのか!?)
全員の心の叫びが一致した瞬間だ。
色々と説明が端折られている為に製作過程が不明だった。しかし誰もが思っている疑問であろうとも、それを口にする者はいない。
ティリアが申し訳なさそうにしており、それ以上突っ込んで訊ける雰囲気ではなかったからだ。
「ライルを呼びに行って戻ってきたら、大騒ぎになっていて。すみません」
躓いたティリアは、テコの原理やら物理反射の法則を、神懸かり的な偶然で何度か発動させている。そうしてなんやかんやで、最終的に天井に張り付かせてしまったのが真相だ。
「気にしたら駄目よティリアちゃん」
「ヴェイナーさん。でも私、以前もパンケーキで同じ事をしてしまったんです」
「大丈夫。誰にだって苦手な事はあるわ」
ヴェイナーはティリアの頭を撫でて慰めると、ギルドメンバー達にアイコンタクトを送る。送られた者達も「分かっています」と言った感じで小さく頷いた。
『ティリアの料理はポンコツだ』
という情報がギルド内で共有される事となる。明日以降は、ティリアが料理担当を務める機会はなくなるだろう。
しかし彼等彼女等は後に、ティリアは料理だけではなく刺繍もポンコツであると知る事になる。
「あのバケモ……タルトどうすんだ?」
「俺が食べます」
「馬鹿野郎! 死ぬ気かライル!」
「オメェはウチのエースだろうが! 無駄な事で軽々しく特攻すんじゃねぇ!」
ベテランの冒険者達に諫められたが聞き入れるつもりはない。ライルにも譲れないものがあるからだ。
「退くわけにはいきません。必ず俺がいただきます」
そしてライルは、魔導構成式を素早く組み立てて印を切る
「《氷柱》《重力増加》」
テーブル状の氷柱が現れ、タルトは増加した重力に耐えられずにビターンと落下した。氷柱の上にタルトが載っている状態だ。
「さて、いただきましょうか」
「ライル。食べるのは止めた方が良いんじゃないかな?」
「何故ですかティリア様?」
「天井に付着した物だし」
「天井との接触部を避けて食せば問題ありません」
ライルの必食の意志は固い。説得を諦めたティリアが引き下がると、ライルは魔法を行使する。
「《風刃》」
「ライル。アンタさっきから色々と魔法使ってるけどさぁ。魔導超越者の無駄遣いよそれ」
ヴェイナーは呆れている。しかし上機嫌のライルは一切気にする事も無く、タルトを切り分けてパクリと食した。満足気な笑みだ。
「美味しいですよ。ティリア様」
「え? マジで? そんじゃ俺も貰いっと」
「なっ!?」
ライルは渡すものかと奮闘したが、いかんせん急過ぎてどうにも出来なかった。
「はいゲット」
リンドルはアクロバティック強奪で難無くタルトを手に入れる。そしてこれみよがしに口に入れ、
「ぶはぁっ! 不味い! がはぁっ!」
バタリと床に倒れた。
「不味い? どこがですか。こんなに美味しいのに」
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