公爵令嬢を溺愛する護衛騎士は、禁忌の箱を開けて最強の魔力を手に入れる

アスライム

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47話 アリサの実地訓練

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 朝日が昇る頃、ライルとアリサは街外れの小高い丘に来ていた。

「ライル君にお願いしたいのは、世界中に散った瘴気のお掃除ね。面倒だと思うけど、1箇所ずつ瘴気を消していってほしいの」
「瘴気は消せるんですか?」

「消せるわ。瘴気は魔物に宿るから、そいつに攻撃魔法をぶつけて倒せばOKだから。まあ、魔法だけじゃなくて、剣で斬って倒してもいいけどね」
「分かりました」

 特に変わった事をする訳ではなく、普通の戦い方で良さそうだ。

「探索魔法って使える?」
「はい。使えます」

「探索魔法で瘴気溜まりの場所を特定するんだけど。とりあえず1kmくらい先を探ってみて」
「1kmですか? 分かりました」

 そう言って、ライルは探索魔法を使ってみせる。

「探索範囲や対象物がボンヤリしてる感じね。もっと指向性を高めてみて。『瘴気を見つけてやる』って意識を強く持つ感じよ」

 言われた通りに念じつつ探索範囲を絞っていくと、ハッキリとした映像が頭の中に流れ込んで来る。

(あれが瘴気だな)

 街の外で、黒い小さな靄が魔物に宿っていた。

「見えたでしょ?」
「はい」

「あれを攻撃して消滅させるの。とりあえず《火矢ファイヤーアロー》とかやってもらえる?」
「やってみます」

 ライルは魔導構成式を組み立てて印を切る。

「《魔法混合創成クロスマジック》《自動追尾オートトラッキング》」

 身体の中で高まった魔力を対象へと向けて、

「《火矢ファイヤーアロー》」

 虚空に出現した火矢が、四足歩行の魔物へと向かって飛んで行く。深々と火矢が突き刺さると、魔物は炎上して瘴気は霧散していった。

「すっっっごい威力だし、悪くない腕よ」
「ありがとうございます」

「でも欲を言えば、魔力はもっと洗練されてしかるべきね」
「洗練ですか?」

「精錬って言い換えてもいいわ。ライル君って魔力を加工しないで、そのままブン投げちゃってる感じなんだよね」

 言いながら、屈んで丸い石を拾った。

「例えば――」

 アリサの持つ石は、瞬時に加工されて鋭く尖った形になった。

「こんな風に、削って尖らせた方が与えるダメージが大きくなるでしょ?」

 ライルが神妙に頷くと、石がパァンと弾けて粉々になる。

「例えば――」

 今度は粉々になった石が瞬時に固まって球状になった。

「砂を掴んで投げるより、固めて塊にした方が遠くまで飛ぶでしょ? それと同じよ。魔力は加工して使う方が絶対にオススメ」

 《印詠省略ロジックカット》さえ使わず無詠唱で魔法を使い、石の形を様々な状態に変化させる。アリサの実力を見せられて、ライルは息を呑んだ。

「色々と意識して魔法を使えるようになれば、もっと遠くにいる敵も倒せるようになるから。やっぱり世界中回って瘴気を消すなんて非効率だもんね。だから理想は、超長距離からの一方的な瘴気の消滅ね!」

 アリサは力強く宣言した。

 △

「探索魔法って使える?」
「はい。使えます」

「探索魔法で瘴気溜まりの場所を特定するんだけど。とりあえず1kmくらい先を探ってみて」
「1kmですか? 分かりました」

(マジで出来るのっ!? ふ、ふーん。やるじゃない。でもまぁ、このくらいはやってもらわないとね。1km先の探索なら私だって出来るし。超余裕だし。何だったら鼻歌歌いながらやるし!)

「探索範囲や対象物がボンヤリしてる感じね。もっと指向性を高めてみて。『瘴気を見つけてやる』って意識を強く持つ感じよ」

(ほんとに探索出来てる!? マジ? 私より筋が良いんじゃ……くっ! 凄さは認めるけど、悔しがってるわけじゃないから!)

「見えたでしょ?」
「はい」

(もうピント調整終わったの!? 簡単に課題克服しないでよ!?)

「あれを攻撃して消滅させるの。とりあえず《火矢ファイヤーアロー》とかやってもらえる?」
「やってみます」

(うんうん。素直でよろしい。魔法は基本が大事だからね。初級の攻撃魔法がどんな感じになるか、見せてもらおうじゃ――)

「《魔法混合創成クロスマジック》《自動追尾オートトラッキング》」

(アレンジ止めてぇええええええええ! そんなの誰からも教わってないでしょ! 何で独学で出来るのよ!?)

「《火矢ファイヤーアロー》」

(規格外サイズ!?)

「すっっっごい威力だし、悪くない腕よ」
「ありがとうございます」

(クールだ!? 大した事ありませんよオーラ出てんじゃん!)

「でも欲を言えば、魔力はもっと洗練されてしかるべきね」

(なんて偉そうに言ってみるけど、ライル君の才能は素直に羨ましい。それでも、簡単に負ける訳にはいかないわ。私にも立場ってのがあるんだから!)

 アリサは魔女の世界でも名が広く知られている。「次元渡りの魔女」と「時渡りの魔女」という複数の二つ名を持つ事を許されているのは、最上位の魔女の証でもあるからだ。

 そんなアリサを狼狽えさせるほどの才能を、ライルは持っていた。
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