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【62】お許しください!
しおりを挟む――さすがに猛毒酒は誤解だった。
アムルちゃんのお父様が見つけた書物には、毒の沼から採取できる発酵物からお酒を造る製法が書いてあったらしい。
もちろんそのままでは人体に有毒。
なので、聖なる力でいったん毒の沼を無毒化してから、材料を採取しなければならない。
そのために、私やアムルちゃんの力が必要なのだという。
あれだ。アムルちゃんが初めてクエストをこなしたとき、毒の沼を踊りで浄化したのと同じだ。
いちおう、理解はできるけれど。
「ほんとに、ここで合ってる?」
私は恐る恐る、尋ねた。
「そうですよ。とてもそれっぽいですよね」と軽ーく答えたのはディル君。
――今、私たちはチート城からほど近い場所にある洞窟前に来ていた。
近い……と言っても、入り組んだ岩場の底にひっそりと口を開ける洞窟だ。
ゲームで言えば、間違いなく隠しダンジョンの類である。
陽があまり差さず、薄暗い。アムルちゃんのお父様が魔法で灯りを点けて、ようやく視界が確保できるくらい。
ディル君が言う。
「この洞窟は、かつて魔物の巣窟となっていました。大聖女の城が出来て、多くは駆逐されましたが、いまだ、中には数多くの魔物がいると思われます」
神獣イケメン君は、ひとりひとりの顔を見渡した。私、アムルちゃん、お父様、お母様――。
ディル君は真剣な表情だった。
「なので、遠慮なく倒して倒して倒しまくりましょう。彼らの絶望の声が最奥部の毒沼をさらに禍々しく輝かせます」
「おい」
「任せてくださいませ! お姉様の威光を世に知らしめるため、屍の数は多ければ多いほど効果があるというものですわ!」
「おい聖職者の一族よ」
これまんま魔王一行のセリフじゃないかしら?
むしろ魔物さん逃げて。
「むむ。さっそくあちらに魔物の影が」
「でかした我が夫! さあぶっ潰すぞてめえらーッ!」
「突撃ーッ、ですわ!」
岩場の陰にちらりと見えた魔物。
それを目聡く見つけ、嬉々として突撃していくアムル一家。
私はディル君の腕をガッとつかんだ。
「……止めるよ」
「えー」
「えー、じゃない。危ないでしょお互いに!」
私はアムルちゃんたちを追いかける。
魔物は、枯れ木を組み合わせた人形のような姿をしていた。
突撃してくる人間たちに、枯れ木人形の魔物は言葉を発した。
予想外に可愛らしい声で。
『お許しください! 私たちはあなたがたに敵対する意思はないんです!』
「覚悟ーッ!!」
ちょっっっと待ったあああぁぁっっ!!?
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