2 / 4
クリスマスには雪を
しおりを挟む
そうっと天界へと戻ったライですが、先生に見つかって授業をさぼった事で叱られ、反省するように言われました。
「そんな難しい事知らなくても、天使の仕事、できるっての」
ライはふてくされたましたが、反省したふりをしてお小言からどうにか解放されました。
そして次の日もやっぱり、昨日のもっくんたちと遊ぼうと地上にこっそりと降りて行ったのでした。
そんな風に、はっちゃんたちの放課後に待ち合わせて、毎日ライたちは遊んでいました。ライはどこの子かと訊かれましたが、「気にならなくなるような」術をかけておきました。勉強は嫌いですが、役に立つものだけは覚えているのです。
「明日はクリスマスだな」
そうとんとんが言い出したのは、並んで近くの焚火に当たっている時でした。
「今年はゲーム機をプレゼントに欲しいって言ってあるんだ」
とんとんは目を輝かせて言います。
「ぼくは昆虫図鑑」
もっくんはそう言って、枯れ葉を焚火の中に入れました。
「オレは自転車!」
もっくんはそう言って歯を見せて笑いました。
「ライは?」
訊かれてライは困りました。天界では、クリスマスにプレゼントをもらう習慣なんてないからです。
「ううーん。オレは、勉強しないでいい権利!」
だから、かなえてもらいたい願いを言いました。
「それ、いいな!オレもそれがいい!」
もっくんもそう言ってライと肩を組む。
「それは願いだよ。
でも願いなら、雪が降ればいいなあ。この辺は積もるほど雪は降らないから」
「そうだよな。一度でいいから、雪合戦したりとか、雪だるまを作ったりとか、してみたいなあ」
とんとんも遠くを見るような目をして言いました。
同じ国でも、たくさん雪の降る地域もあれば、降らない地域もあります。ここは降らない地域のようです。
「そうかあ。ここは雪が積もらないのか。雪合戦も楽しいし、雪で大きな像を作るのも楽しいぞ」
ライが言うと、もっくんたちもそれを想像して、やってみたくなりました。
「いいなあ」
「やってみてえ」
「雪国は遠いもんなあ」
それで、雪が降ったらしたい事、食べたいものを色々とあげて、その日は別れました。
(そうか。雪か)
ライはいい事を思いついたと、にっこりと笑いました。
天界へ戻ると、こっそりと抜け道を通って制御室へ向かいます。
見習いの天使は前にここへ見学に来た事があり、機械の使い方をライは覚えていました。
うまく中へ忍び込むと、制御盤の前に立ち、いつも遊びに行っている地域を指定し、天気を決め、強さを入力し、スイッチを押します。
「シシシ!あいつら、明日の朝は驚くぞぉ」
ライは、
「オレからのクリスマスプレゼントだ!」
と笑い、友達の嬉しがる顔を想像しながらこっそりと部屋へ戻って行ったのでした。
「そんな難しい事知らなくても、天使の仕事、できるっての」
ライはふてくされたましたが、反省したふりをしてお小言からどうにか解放されました。
そして次の日もやっぱり、昨日のもっくんたちと遊ぼうと地上にこっそりと降りて行ったのでした。
そんな風に、はっちゃんたちの放課後に待ち合わせて、毎日ライたちは遊んでいました。ライはどこの子かと訊かれましたが、「気にならなくなるような」術をかけておきました。勉強は嫌いですが、役に立つものだけは覚えているのです。
「明日はクリスマスだな」
そうとんとんが言い出したのは、並んで近くの焚火に当たっている時でした。
「今年はゲーム機をプレゼントに欲しいって言ってあるんだ」
とんとんは目を輝かせて言います。
「ぼくは昆虫図鑑」
もっくんはそう言って、枯れ葉を焚火の中に入れました。
「オレは自転車!」
もっくんはそう言って歯を見せて笑いました。
「ライは?」
訊かれてライは困りました。天界では、クリスマスにプレゼントをもらう習慣なんてないからです。
「ううーん。オレは、勉強しないでいい権利!」
だから、かなえてもらいたい願いを言いました。
「それ、いいな!オレもそれがいい!」
もっくんもそう言ってライと肩を組む。
「それは願いだよ。
でも願いなら、雪が降ればいいなあ。この辺は積もるほど雪は降らないから」
「そうだよな。一度でいいから、雪合戦したりとか、雪だるまを作ったりとか、してみたいなあ」
とんとんも遠くを見るような目をして言いました。
同じ国でも、たくさん雪の降る地域もあれば、降らない地域もあります。ここは降らない地域のようです。
「そうかあ。ここは雪が積もらないのか。雪合戦も楽しいし、雪で大きな像を作るのも楽しいぞ」
ライが言うと、もっくんたちもそれを想像して、やってみたくなりました。
「いいなあ」
「やってみてえ」
「雪国は遠いもんなあ」
それで、雪が降ったらしたい事、食べたいものを色々とあげて、その日は別れました。
(そうか。雪か)
ライはいい事を思いついたと、にっこりと笑いました。
天界へ戻ると、こっそりと抜け道を通って制御室へ向かいます。
見習いの天使は前にここへ見学に来た事があり、機械の使い方をライは覚えていました。
うまく中へ忍び込むと、制御盤の前に立ち、いつも遊びに行っている地域を指定し、天気を決め、強さを入力し、スイッチを押します。
「シシシ!あいつら、明日の朝は驚くぞぉ」
ライは、
「オレからのクリスマスプレゼントだ!」
と笑い、友達の嬉しがる顔を想像しながらこっそりと部屋へ戻って行ったのでした。
10
あなたにおすすめの小説
少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い……
「昔話をしてあげるわ――」
フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?
☆…☆…☆
※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
25匹の魚と猫と
ねこ沢ふたよ
児童書・童話
コメディです。
短編です。
暴虐無人の猫に一泡吹かせようと、水槽のメダカとグッピーが考えます。
何も考えずに笑って下さい
※クラムボンは笑いません
25周年おめでとうございます。
Copyright©︎
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
グリモワールなメモワール、それはめくるめくメメントモリ
和本明子
児童書・童話
あの夏、ぼくたちは“本”の中にいた。
夏休みのある日。図書館で宿題をしていた「チハル」と「レン」は、『なんでも願いが叶う本』を探している少女「マリン」と出会う。
空想めいた話しに興味を抱いた二人は本探しを手伝うことに。
三人は図書館の立入禁止の先にある地下室で、光を放つ不思議な一冊の本を見つける。
手に取ろうとした瞬間、なんとその本の中に吸いこまれてしまう。
気がつくとそこは、幼い頃に読んだことがある児童文学作品の世界だった。
現実世界に戻る手がかりもないまま、チハルたちは作中の主人公のように物語を進める――ページをめくるように、様々な『物語の世界』をめぐることになる。
やがて、ある『未完の物語の世界』に辿り着き、そこでマリンが叶えたかった願いとは――
大切なものは物語の中で、ずっと待っていた。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる