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守る(4)裏依頼
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「懸賞金?」
訊き返す涼真に、悠花は怒ったような顔で頷いて見せた。
車で有紗を会社に送り届け、会社の入り口が見える所で涼真達は待機していた。
「益田には一部で黒い噂があったそうですよ。仕事上の邪魔な人物を、半グレ集団に襲わせたんじゃないかって。
それでそういうサイトを見張ってたら、出たんです。これ」
そう言って、その画面を見せる。
「この女を連れて来た人に300万円渡します。ただし無傷で?」
涼真は目を見開いた。そこには、有紗の写真と個人情報が並べられ、警護する者がいるとの情報も書いてある。
「何て奴でしょうね!」
悠花は目を吊り上げたが、雅美と湊は真剣な顔になる。
「何人くらいがその気になるかな」
「一応期限は書いてあるわね。1週間って」
「この1週間が勝負か」
「でも、こんなの、警察へ言えば」
悠花が言うが、涼真は静かに首を振った。
「確かに逮捕とかされるかもしれないけど、1週間は、これを真に受けた奴らが襲って来る可能性があるよ。そうだよね」
それに湊と雅美が頷く。
「ああ。まあ、そうなれば警察がきちんと保護してくれるだろうけど、それまでは俺達で守らなければならない」
ゴクリと悠花は唾をのんだ。
「マンションに帰るのは危ないですよね?」
「そうね。ホテルに泊まるか、いっそ会社に連れて来るのが安全かしら」
「車も、頑丈な奴を配車してもらおう。それと、防刃ベストも」
涼真は、血色を失った顔で、頷いた。
車を正面玄関に着け、周囲を確認する。
「早速、見張ってる奴らがいるな」
湊が鬱陶しそうに言う。
運転席で涼真が体を固くするが、
「ま、想定内ってところだろ」
と肩を竦めて見せる。
そうしているうちに、ビルの中に入ってロビーで有紗を待っていた雅美が、有紗と合流したと知らせて来る。
「こっちはOKです」
『裏口、駐車場、異常ありません』
悠花もそう報告してくる。
「じゃあ、車にのってください。悠花さんも」
待つほどもなく、雅美、緊張した顔の有紗、悠花が小走りで車に乗り込んで来るので、それを待って湊が最後に乗り込み、車は動き出した。
バイクが2台と乗用車が2台、同じように発進し、付いて来る。
「まずはあれだな」
涼真もチラリとそれをバックミラーで確認した。
と、バイクが両横に付き、車の片方が、追い越して前へ出ようとする。
涼真はスピードを上げて前に入られないようにし、脇道へそれようとしたが、並走するバイクが邪魔で曲がれない。
と、前方で路肩駐車しているトラックが見えた。
涼真は進路を変えずに近付いて行き、左側のバイクは後ろへ下がらずにはいられなくなった。それを利用して、一気に左折する。
しかしこちらは、幹線道路から外れており、通行量もないが、目撃者もないだろう。
「来るぞ。悠花さん、撮影頼むぞ」
「はい!」
湊が言った後すぐに、バイクがまた並走し始め、後部座席に乗った人物が、鉄パイプを振り回して車を叩き始めた。
「きゃああ!!」
後部座席の真ん中で、有紗は頭を抱えて悲鳴を上げた。
360度撮影する車載カメラで録画しているほか、悠花が詳細な犯人の写真を撮っている。
それに気付いたバイクがやや離れたが、前方に車が回って、四方を囲まれ、停車を余儀なくされる。
「俺が1方向を空けるから、そのまま行け」
言いながら、湊が素早く車を降り、即座に涼真がロックをかける。
湊は左側のバイクの2人に向かって行って、後部座席の人物を殴って地面に引きずり下ろした。そしてその手で運転しているライダーを殴ろうとすると、ライダーはバイクを発進させて避けて行ったので、湊は倒れた後部座席の人物を蹴り転がして乱暴に横へとよける。
それでできた隙間から、涼真は車を発進させた。
「ええ!? そんな!?」
「大丈夫」
涼真は、バックミラーをチラリと見て、そう言った。
訊き返す涼真に、悠花は怒ったような顔で頷いて見せた。
車で有紗を会社に送り届け、会社の入り口が見える所で涼真達は待機していた。
「益田には一部で黒い噂があったそうですよ。仕事上の邪魔な人物を、半グレ集団に襲わせたんじゃないかって。
それでそういうサイトを見張ってたら、出たんです。これ」
そう言って、その画面を見せる。
「この女を連れて来た人に300万円渡します。ただし無傷で?」
涼真は目を見開いた。そこには、有紗の写真と個人情報が並べられ、警護する者がいるとの情報も書いてある。
「何て奴でしょうね!」
悠花は目を吊り上げたが、雅美と湊は真剣な顔になる。
「何人くらいがその気になるかな」
「一応期限は書いてあるわね。1週間って」
「この1週間が勝負か」
「でも、こんなの、警察へ言えば」
悠花が言うが、涼真は静かに首を振った。
「確かに逮捕とかされるかもしれないけど、1週間は、これを真に受けた奴らが襲って来る可能性があるよ。そうだよね」
それに湊と雅美が頷く。
「ああ。まあ、そうなれば警察がきちんと保護してくれるだろうけど、それまでは俺達で守らなければならない」
ゴクリと悠花は唾をのんだ。
「マンションに帰るのは危ないですよね?」
「そうね。ホテルに泊まるか、いっそ会社に連れて来るのが安全かしら」
「車も、頑丈な奴を配車してもらおう。それと、防刃ベストも」
涼真は、血色を失った顔で、頷いた。
車を正面玄関に着け、周囲を確認する。
「早速、見張ってる奴らがいるな」
湊が鬱陶しそうに言う。
運転席で涼真が体を固くするが、
「ま、想定内ってところだろ」
と肩を竦めて見せる。
そうしているうちに、ビルの中に入ってロビーで有紗を待っていた雅美が、有紗と合流したと知らせて来る。
「こっちはOKです」
『裏口、駐車場、異常ありません』
悠花もそう報告してくる。
「じゃあ、車にのってください。悠花さんも」
待つほどもなく、雅美、緊張した顔の有紗、悠花が小走りで車に乗り込んで来るので、それを待って湊が最後に乗り込み、車は動き出した。
バイクが2台と乗用車が2台、同じように発進し、付いて来る。
「まずはあれだな」
涼真もチラリとそれをバックミラーで確認した。
と、バイクが両横に付き、車の片方が、追い越して前へ出ようとする。
涼真はスピードを上げて前に入られないようにし、脇道へそれようとしたが、並走するバイクが邪魔で曲がれない。
と、前方で路肩駐車しているトラックが見えた。
涼真は進路を変えずに近付いて行き、左側のバイクは後ろへ下がらずにはいられなくなった。それを利用して、一気に左折する。
しかしこちらは、幹線道路から外れており、通行量もないが、目撃者もないだろう。
「来るぞ。悠花さん、撮影頼むぞ」
「はい!」
湊が言った後すぐに、バイクがまた並走し始め、後部座席に乗った人物が、鉄パイプを振り回して車を叩き始めた。
「きゃああ!!」
後部座席の真ん中で、有紗は頭を抱えて悲鳴を上げた。
360度撮影する車載カメラで録画しているほか、悠花が詳細な犯人の写真を撮っている。
それに気付いたバイクがやや離れたが、前方に車が回って、四方を囲まれ、停車を余儀なくされる。
「俺が1方向を空けるから、そのまま行け」
言いながら、湊が素早く車を降り、即座に涼真がロックをかける。
湊は左側のバイクの2人に向かって行って、後部座席の人物を殴って地面に引きずり下ろした。そしてその手で運転しているライダーを殴ろうとすると、ライダーはバイクを発進させて避けて行ったので、湊は倒れた後部座席の人物を蹴り転がして乱暴に横へとよける。
それでできた隙間から、涼真は車を発進させた。
「ええ!? そんな!?」
「大丈夫」
涼真は、バックミラーをチラリと見て、そう言った。
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