銀の花と銀の月

JUN

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ウヨタリ到着

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 街道の分かれ道でウヨタリへ向かうリアンと合流した。
 リアンは、優しそうでおっとりとした感じの青年だ。武術は苦手で、絵画が一番好きだった。ウヨタリへ留学にでも行き、できればそのままウヨタリで暮らしたいと思う程、好きだ。
 念願のウヨタリ行きではあるが、「アトラ原理主義者から祠を守り邪神復活を阻止するために協力する」のが理由なので、嬉しさは半減だ。
 しかも、弟であるとわかったユーリと話をしようにも、側近達に止められ、挨拶以外言葉をかわせず、別々の馬車での移動だ。
(つまらないな)
 リアンは窓の外を眺めて溜め息をついた。

 馬ではなく魔石で走る馬車魔動車に乗って、ユーリ達は順番に運転していた。
「これ、面白いな!」
「カイ、そろそろ交代だろ?次は私だ」
「キリー、休憩に合わせてじゃないと交代できないだろ?」
「最高速度と連続走行できる耐久時間も調べたいのにな」
「今はやめろ、ユーリ。今度街道をグルグル回ってテストすればいい」
「そもそも、大量輸送、定期的輸送を考えるなら、もっと効率的な方法もあるのにな。
 まあ、そのコストに見合うだけの利用代金の設定とかが難しいか。あと、メンテナンスも距離が長いとどうするか」
「ねえねえ、ウヨタリに着いたら、名物のチーズフォンデュを食べに行かない?」
 とても騒がしかった。遠足にでも行くような雰囲気だ。

 そしてリアンや銀月、リアンの警護チーム、いくらかの兵は、途中の町で一泊した後にウヨタリの首都へと到着した。
 大公と公妃の間には子供が1人で、センリアという公女だ。公子も1人いたのだが、7年前に病死してしまっている。
「遠い所を、よくいらしてくれたなあ。
 センリア。特使としていらしてくれたのは、第二皇子のリアン殿下だ。芸術に明るく、ご自身も絵を御描きになるそうだぞ」
 近付いて来る馬車の列を見ながらそう大公は言った。
 が、センリアが大公と公妃に文句を言う。
「お父様。あれが友好国に対する助けですの?少ないですわ」
「センリア。別に邪神を相手にするんじゃない。アトラ原理主義者、人間だ。それも実働部隊には我が国の兵を使う。国と国が団結しているという形が大事なんだよ」
 大公が身も蓋もない事を言うが、それは事実だ。
 アトラ原理主義者から祠を守るのに、大量の兵も、過剰な兵力もいらない。
「まずは休んでいただいて、それから会議だな」
「え!?すぐに話し合いをするのではないの!?」
「センリア、馬車に丸2日間も揺られて来てくださったのよ?当然でしょう」
「……わかりました」
 公妃に言われ、渋々納得したような顔でセンリアは引き下がった。

 城に着き、リアンと側近と警護官の一部がウヨタリの王達に挨拶している間、馬車を言われたところに持って行き、馬の世話をする――が、銀月は馬もいないので、バッグに魔動車をしまって終了だ。
 まずは宿舎に案内すると、小さい離宮に案内された。
 そこで、リアンと側近、警護官が主寝室などを使い、ほかの兵と銀月が使用人用の部屋に分散する事になる。
 一部が顔色を窺うようにユーリを見るが、知らせに来た側近は、
「部屋割りは任せるぞ、大佐」
と言い、
「会議は午後5時から行うので、大佐と銀月は宮殿正面入り口に来るように。
 夕食は会議の後、こちらに運んでもらえるそうだ。
 以上だ」
とさっさと背を向けて歩いて行く。
「さて。じゃあ、こっちはこっちで行くか」
 ユーリ、カイ、ジン、キリーは、連れだって町に出る事にした。
「いいのか?リアン殿下は――というか、殿下の側近は、お前を外しにかかってるぞ」
 キリーが眉をひそめた。
 皇帝から「アトラ対策責任者」にされてしまったが、今回はリアンの手腕を見るためにと、まだ銀月は「雇われて手伝いに来た」と皇帝は説明してあった。困ったときは勅書を見せろと言われているが、ユーリはできるだけそれは出したくなかった。
「いいよいいよ。願ってもない。こっちの方が、動きやすいし楽だし」
「チーズフォンデュ出るかな」
「ああ……難しくねえ?だって、兵だろ。炊き出しみたいなアレじゃねえの」
 パン、大鍋で作ったスープ、一度にたくさん作る主菜と副菜。そんな、学校時代の訓練で交代で作って食べたものを思い出し、ユーリは、
「定食みたいなもんだな」
と言った。
「チーズフォンデュは無理だな」
 キリーも断言した。
「じゃあ、チーズ買って帰ろうよ」
「そうだな。土産にもなるかな!」
 ジンが言うのにカイが賛成する。
 そして、町に出た。

 
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