体質が変わったので

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水底からの告発(2)探す

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 着くと挨拶もそこそこに、覆面パトカーで方々へと連れ回される。
 疑惑の主、暴力団の息のかかった土建屋の社長力丸雄也りきまるゆうやに関係するところを中心に、まずは造成中の山。建設中のビルや家屋の現場。海岸沿い。
「運転手西川太蔵にしかわたいぞうは、いませんか」
「いませんね」
 会社、自宅、行きつけの居酒屋。
「だめですか」
「いません」
 打つ手なしかと、ガックリと肩を落とす。
「まさか、県議会議員の盛実篤郎もりざねあつろうのところになんて、いませんよね」
「一応、行ってみましょう」
 行ってみたが、だめだった。
「関係の無い所に遺体を捨てられたかな」
「それじゃあ、いくら何でも広すぎて探せませんよ」
「関係の無い所でも、遺体を始末できそうなところは軒並み行きましょう」
「はい。お願いします」
 こうして、延々と写真を頼りに霊を探して走り回ったのだ。

 いい加減、車を降りても、車の振動が体に残っているように感じられるほど車で走り回って、夜にスナックに出掛ける力丸本人を眺めた時だった。
「あ、いた!」
 偉そうに歩く力丸の背後に、半透明の恨めしそうな顔付きの中年の男を見付けた。
「おお、西川さんだねえ!」
 肩を落としていた捜査員達に、活気が戻る。
「力丸に憑いていたのかぁ」
「くそう。昼間出かけてくれてたら、もっと早く見つかったかもしれないのに!」
 言いながらも、見付かった喜びと興奮を隠せない。
「でも、これで確実に、西川さんは亡くなっているという事になりましたね」
 言うと、彼らは頷いて、
「敵は取ってやりますよ」
と宣言した。
「後は、場所か」
 僕達は、力丸に接近し、話しかけた。
「よう、社長さん。今からお楽しみかね」
 チンピラみたいな社員に囲まれた力丸に、捜査員が声をかける。
 力丸達が立ち止まり、それに連れて西川さんも止まる。
「こんばんは。今、どちらに?」
 西川さんに視線を据えて話しかける。
「はあ?今?今からこの店に入るんじゃ」
 力丸とチンピラが言う。
 しかし西川さんは、腕を上げて、海の方角を指した。
「はし?」
「はあ?何を訳の分からん事を言ってるんじゃ、この兄さんは」
 チンピラ達がせせら笑う中、西川さんは、こっくりと頷く。
「いえ。お気になさらずにぃ」
 直が言って、
「工事現場……大変ですねえ」
と世間話をするように言う。
 西川さんはここでも頷いたが、力丸達は気付かない。
「そりゃあなあ。あっちもこっちも、やらにゃあならんところばかりよ」
「いやあ、大変、大変」
と笑う。
「そうですか」
「ははは」
 僕達も笑った。
「では、ごゆっくり」
「お?おう」
 首を傾げながら力丸たちはスナックに入って行き、僕達はバッと捜査員を振り返った。
「橋の工事現場です!」
「橋の工事現場、よし!」
 俄かに、慌ただしくなった。
 

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