転生したら性別までも変わっていて、可愛い妹までいて幸せだけど。まさかの妹が悪役令嬢！？

第１幕

回帰者と転生者とゲーム

長期休暇には帰宅し会っていたとはいえ、待望の妹の学園入学に喜んでいた。

可愛い妹の入学なのにも関わらず、婚約者としての立ち位置なのに嬉しそうにもしない学園入学前から知り合い補助すべき妹の婚約者にもっと喜ぶべきだろうと視線を向け。


「カイン、何か言いたげだな？」

「キャシーが入学するのに何も言うことはないのか。妹を大事にしないなら婚約者を名乗って欲しくないんだが」

婚約者とシスコンの二人を関わりたくないと思いつつも、いつも気がつくと二人に巻き込まれ振り回されている騎士団長の三男のグレン・ラビッドは窓の外に視線やり

「おい。カインの妹が揉め事に巻き込まれてるぜ」

カインは窓から確認すると２階の窓から飛び降り下降速度を軽減する為に風魔法を使い着地し、すぐに妹キャンディスを庇う様に間に割って入った。

「違いますわ。私は悪役令嬢になんてなりませんから」

キャンディスは庇われながらも、見えなくなった相手に告げると、カインが来たことで囲んでいた３人の令嬢はそそくさと逃げるように立ち去った。


「大丈夫か？」

頭撫でられ優しい口調で問われキャンディスは頷いた。

「良かった。ところで悪役令嬢とは何だ？そんな事を言われたのかい？」

カインは聞き慣れない悪役令嬢と言う言葉に疑問に思い尋ねた。

「…言われてません」

「それならいいのだが。一人で悩まないでいくらでも頼ってくれていいからな？何があろうと私はキャシーを守るから」

キャンディスはカインに守られる様に抱きしめられ安心した。

カインが飛び降りてからも窓から見ていたグレンが声をかけ手を振り、キャンディスはアベルとグレンに見られていた事に気づいた。
「殿下は私に興味はありませんのね」
寂しそうな呟きに友人であり妹の婚約者をカインは不満げに見上げキャンディスを連れてその場を後にした。


静かな中庭のベンチに座り
婚約は家同士の結びつきとはいえ、悲しい思いをさせたくはなく。出来る限りの事はしたくても恋愛関係は全く解らない為、答えの出ない思考を巡らせていた。


「…出会わない様に避けるのも大変なのね」
何かから逃げるようにしてきた女性にタイの色からキャンディスと同学年だと気づき、誰かに追われでもしていたのかと辺りを見回すも問題ない事を確認していると

「あっ！カイン・ファーロング様」
見覚えのない相手から名を呼ばれ

「君は？」

「アンリ・カールです。あの、聞きたい事があるんですけど宜しいでしょうか？」

丁寧に名乗られ聞きたい事があると言われ、ベンチに座るようにと促し話を聞くことにした。

何を聞かれるのかと思っていると、キャンディスとアベルの関係がどのくらい親密なのかと聞かれ、キャンディスは少なからず好意を抱いているもアベルが家同士が決めた婚約者と言う程度だとは思っていたが、それを素直に答えてもいいものかと沈黙していると

「決して、お二人の邪魔したいとかじゃないです。説明は難し…くは、ないんですけど信じて貰えないと思うので。あの、キャンディス様と王子殿下には婚約者から無事に婚姻して欲しいと切実に思っています」

キャンディスに害の無さそうなアンリに警戒心を解き

「そうか。キャシー…キャンディスの幸せを願ってくれているんだな。説明は難しくはないとは未来でも知っていて信じて貰えないとかでは…なんて、馬鹿な話はないな」

目を見開き驚かれ
「まさか、貴方も戻られて来たんですか？」

「戻る？」

予想外の返しに違うのかと思いながらも、話しても信じてくれると思いアンリは話す事にした。


「……つまりは、アベルがキャシーを捨てて君と婚姻したがキャシーがいなくなってからキャシーが好きだったと気づいて、君に冷たくして君のせいにし、君は寂しい生涯終え気づいたら、時間が戻っていたという事か？」

信じてくれたのか確認のように問い返されアンリは頷き

「キャシーを処刑だと！許せないな、婚姻解消を……」

カインの怒気の含んだ呟きにアンリは慌てて

「駄目です。キャンディス様は王子殿下と婚姻して欲しいんです」

「そうか、婚約解消だと君に被害が出るかもしれないな」

アンリは頷き、カインが信じてくれている事に不思議に思っていると顔に出ていたのかカインは口元に笑み浮かべ

「そうだな。君も秘密を教えてくれたから私も教えるとしよう。前世の記憶があるから人生やり直しがあるのも不思議ではないと、思ったからと言えば理解してくれるかな？」

「前世の記憶ですか？」

「詳しくはその内な？前世を話すと長くなりそうだから。今はキャシーの事を話そう」

カインはアンリをキャンディスに友として紹介する事にし、キャンディスに被害及ばない様にとアンリもアベルと出会ってしまっても問題ない様に行動すると決めた。



カインからアンリを紹介されたキャンディスは声に出し驚きを隠せなかった。

「ヒロインがなんで？お兄様は攻略したの…こんなに早く？？でも、お兄様攻略ならそんなに酷くないから、いいのかしら？あれ？でも、この時期からお兄様攻略ならハーレムルートになるのかしら？ハーレムルートなら…興味なくてクリアしなかったのが悔やまれるわ」


「キャシー、大丈夫か？」

カインとアンリはキャンディスの言葉を聞きとり、アンリには解らない言葉でもカインは理解しつつも驚き狼狽えるキャンディスを心配になり声をかけた。

「…はい、大丈夫ですわ」

「そうか、それならいいが。キャシーのそれは前世の記憶か？攻略対象というならゲーム的な話だろうか？」

「お兄様！？」

その言葉で肯定と取り、カインも転生したがこの世界の事は一切知らない事と、アンリはこの世界を不幸な生涯を終え回帰した事を説明した。

「アンリ様は回帰者なのですか？あの、誰を攻略して不幸になられたか聞いてもかまいませんか？」

「……王子殿下です。キャンディス様お願いいたします、王子殿下と婚姻して幸せになってください」

キャンディスはその言葉に以前に受け取った匿名の手紙を思い出し、アンリが手紙の差出人だと理解した。


カインは二人と比べると未来が解らない為。協力出来る限りは手助けすると告げた。