転生したら性別までも変わっていて、可愛い妹までいて幸せだけど。まさかの妹が悪役令嬢！？

第２幕

もう一度

食堂に着くと、ランチの時間が過ぎたとはいえ人は多かった。

食堂の入口からは、ディアンナの姿は見えないにも関わらずカインは真っ直ぐ目的の人物の居場所が解るのだろう歩き進んでいた。
グレンは、見えない為にカインの後を追うように進んでいた。

「ディア」

カインが名を呼ぶと、友人達と食後のお茶をしていたディアンナの前に膝をつき、見えていないはずなのに真っ直ぐと目を見ている様に見上げていた。

「こんな事を言うのは身勝手だと承知している。婚約解消を撤回したい、貴女の側にいさせて欲しい。私に望む事は最善を尽くしてでも全て叶える」

ディアンナは驚き何も言わず、周囲が突然の事に色めき立ち注目を浴びていた。

「カイン！場所考えて！！」

追いついたグレンに声かけられ指摘された。

「ディア？声もかけたくないなら、振り向いてくれるように努力する」

「だから、周り見て！」

グレンがカインの肩に手を置き、落ち着く様に告げ。

「周り見ろと言われても、困るんだが？」

カインはディアンナがいるのは魔力で解るが、他の人もいるのも解るが記憶にある魔力ではない為解らずに首を傾げた。


「見えなくなって、余計に周り気にしなくなってんの！場所返るよ、ディアンナも一緒に行くから。立って、こっち来て」

グレンはカインの手を取り立たせ、人の少ない視覚になる場所へと向かった。

「ディアは怒ってるのか？」

立ち止まり連れて来られた場所に着き、一言も話してくれていないディアンナに不安気にカインは尋ねた。

「カイン、落ち着け！ここどこかわかってんの？」

解りきった事を問われ「食堂」と答えた。

「そう、ランチ時間の食堂！それで、ディアンナがいたのは食堂のほぼ中央！！」

解りきった事を更に言われカインは返答に困っていた。

「背中押した俺も悪いけど、場所考えろよ？ディアンナは婚約解消を受け入れないって伝えたよな？今、ディアンナがどんな顔してるのかわかってんの？」

「見えない…」

カインは寂しげに首を横に振った。

「これ、俺が伝えていいか？ディアンナ」

「ディアに何かあるのか？ディア？？」

カインは見えていないながらも、覗き込むように顔近づけていた。

「カイン！わかってて、やってないよな？」

グレンはカインの腕を引っ張りディアンナから離した。

「ディアンナは婚約解消を要求されて、受け入れないとは言ったけど落ち込んでんたんだ。それが、いきなり人の多い食堂であんな事言われて困惑してるって言えばわかるか？」

「ディアを困らせてるのか？」

切なげにカインが尋ねた。
グレンがディアンナの肩に手を置き、伝える様に促した。

「……カイン様…」

嬉しさ込み上げ声を震わせ、精一杯の名だけ呼んだ。


「ディアの顔が見えないのは辛いな。触れてもいいか？」

カインは切なげに両手を広げた。

「カイン？俺もいるってわかってて言ってる？？」

「もちろんだ」

グレンは呆れ大きな溜息吐き捨て。

「ディアンナから、抱きつきに行くわけないよな？婚約解消撤回は両家通そう？ディアンナも言葉にならない状態だから」

グレンの説得という説明にカインは頷いた。