災禍ノ扉 〜俺の転生先は侵略されてる異世界でした〜

動く山菜

文字の大きさ
10 / 12
第一章

俺と同じ

しおりを挟む
 「語った‥」

 ベランダに出て夜風に当たる。あの後、「暗い話は終わり!!」とミューエが仕切り直し聖騎士団であった面白い話に切り替わった。あとついでに『さん』はつけなくていいと言ってくれたので外した。

 「たのしかっったぁぁ」

 軽くガッポーズをする。いや、本当に楽しかった。問題は解決してないしヤバイ異世界に送られたけど!!。でも、親友が出来たのが嬉しい。とにかく嬉しい

 「何してる?」

 「あ、カイ~」

 毛布を羽織りながらカイがベランダまで俺を探しに来てくれた。ミューエは喋り疲れたのかそのまま爆睡している。

 「護衛してるんだから勝手に動くな」

 「あ、そうだ。俺、護衛されてるんだった。」

 「はぁ‥あのなぁ」

 「へへ、めんご。」

 呆れた。みたいな顔をされる。へへ、やっちまった。けど何にも起きてないしいいじゃんか。なんて言ったら怒られそうだから黙っておこ。

 「‥‥‥お前に聞きたいことがある」

 「ん~?何~」

 「お前──"転生者"だろ」

 「え?うえ?へ?」

 俺が転生者てバレてる?!。ていうか転生者を知ってるのか?。お、落ち着け俺。別にバレたからなんだ、殺される訳じゃないだろ。

 「えー‥と。そうだ。ていったら?」

 「‥‥別に。気になっただけだ」

 ホッ。良かったならバラしてもいいな。はぁ焦った。

 「うん。魔法とかない世界から来たから転生者だと思います」

 「思います。じゃなくて転生者確定だな。‥そうか。災難だな」

 まあ、チートとか貰えなかったし?。半無理矢理出したけど、家とか金とかくれたからいいかなぁ~なんて。それに力あったらあんなのと戦わないと駄目なんだろ。無理無理。

 「あ、じゃあカイも?」

 「まあな。」

 柵に両肘を乗せ、日の出に照らされている街を眺める。涼しげな風が頬を撫でて気持ちがいい。

 「カイ‥はさ。やっぱ死んだの?」

 「‥‥‥お前は?」

 「拉致かな?んでカイは」

 「何だそれ。‥‥‥殺されたよ俺は」

 「ごめん‥」

 「いいさ別に。気にしてない」

 横目でチラリとカイを見る。カイの横顔は笑ってはいないけど優しげな顔をして街を見つめている。カイは俺と同じ転生者。てことはやっぱりアレの事を聞きたい。

 「どんなチート貰ったの?」

 「貰ってない。貰ったのは"可能性"」

 「可能性?」

 太陽の光がカイを照らし影が晴れていく。

 「そう強くなられる可能性。あの人はそういうズルを嫌う人だった。そりゃ最初は恨んださ。現世酷かったんだから優遇しろよて。」

 「うん」

 「大変だったけど、強くなった時嬉しかった。ああ‥この力は俺自身の力で手に入れたんだ‥て。それがたまらなく嬉しくて、だから‥許せなかった。」

 カイは首にぶら下げている銀色の十字架を握りしめる。その瞳は今にも泣き出しそうだ。

 「あの日、女神が変わった日。俺は殺された」

 「え‥?!」

 こ、殺された?。どういうことだ?。だってカイはここにいるのに。

 「俺は"初代勇者"の一人なんだよ」

  「ま、マジで?」

 「ああ」

 し、初代勇者の一人て‥。す、すげぇ。有名人と話してる気分になってくる!!。でも、殺されたていうのは?

 「‥殺された理由しりたいか?」

 「い、嫌じゃなければ」

 「告白を降ったから」

 「へ?」

 「好きじゃないから断った。それだけ」

 「で、殺されたの?」

 「そう」

 まるで興味がないさそうに淡々とカイは答える。たしか、どっかの神話で告白を断ったから殺したとか、動物に姿を変えたみたいな話を聞いたことがあるけど。実際聞くと怖いな‥それ。

 「‥‥カイは好きな人いたの?」

 「初代リンデルは好きだよ。今でも」

 眼前の男は初めて笑みを見せた。歳そうの笑顔なのに何処か達観してて胸が苦しくなる。その顔はまるで愛した人をなくした悲しさをそう沸騰させる笑顔だ。

 「殺された俺はこの世界に魂を縛られて、ずーーと転生を繰り返してる。姿や性別は同じ。記憶は転生する度に増えていく。違うのは名前だけ」

 それはあまりにも残酷な告白だった。死んでもずっとこの世界に縛られる。しかも、姿や性別はずっと同じのままだ。けれどそれよりも記憶を覚えた状態で生まれ変わる所がより惨さを引き立てる。

 「自殺だって何回もした。けど死ぬ度に別の母体から生まれ落ち、また育ち死ぬ。それの繰り返しだ。」

 「カイ‥」

 「何度生まれ落ちたか。何度死んだのか、何度殺されたのか。全部、全部覚えてる。忘れる事なんて許さない‥て言われているかのように忘れる事さえ出来ない。いらない記憶がばかり増えていく。トラウマだって沢山出来た。自殺する感覚も覚えた。それでも」

 「それでも?」

 カイが温かなオレンジ色に染まる。陽の光が強すぎてどんな顔をしているか分からなかったけど

 「それでも、俺はこの世界が好きだよ」

 多分、笑っているいた。

 

 



 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...