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本編
45、魔女の花嫁(最終話)
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「私のせいでオルグレン様が不良に……」
「不良……?」
今度はリリヤが驚く番だった。まさかこんな品行方正の真面目な公子様から、そのような回答を頂けるとは。
「平気です。真面目なオルグレン様を不良の道に誘ったのが自分だったことにショックを受けているだけですから…」
「貴女はいったいなんの話を……?」
「すみません、冗談ですから。今のは聞かなかったことにして下さい」
やっぱり育ちが良いと反応もいささかお上品というか、なかなか路線を外さない。
「どうして貴女はそんな目で俺を見るんだ」
オルグレンの腕の中で嘆くリリヤに突っかかるオルグレンの、そんなところでムキになってしまうところは、やっぱり十六歳の少年らしく見えて微笑ましい。クスッと笑ってリリヤはオルグレンのお姉さんにでもなったような心境で答えた。
「いいえ、何でもないです。オルグレン様はやっぱりオルグレン様だなぁと思って」
リリヤに自分が年下の子供に見られていることが分かったのだろう。オルグレンは露骨に嫌な顔をした。
「俺は貴女の……リリヤの主人ではなく対等な関係でありたい」
そのあまりに素直な様子に、リリヤは肩透かしを食らった気分になった。
「リリヤを俺の妻にしたい」
幼い頃からリリヤを見つけるために、城下町をうろついていたなどと言われてしまった手前、ダメとも言えず。リリヤはたじろいだ。どうやら本当の意味でリリヤはオルグレンを拒絶するタイミングを逃してしまったようだ。
「オルグレン様……それ、反則です」
行動が可愛すぎて困る。そんなことをされては、これ以上突っぱねることなどできないではないか。
「はぁっ…………私、いつかオルグレン様に会えることが奇跡的にあったとしても、その時は全力で嫌われるようにしようって決めていたんですよ? なのにどうしてこんな……」
「嫌う? 俺が貴女を?」
キョトンとした顔でリリヤの腰を掴んでいるオルグレンがあり得ないと首を横に振る。
「ちゃんと冷たくして嫌われるように仕向けていたのに……オルグレン様は人がよすぎるのではありませんか?」
世話好きな性格にしても心配だとリリヤがブツブツ言っていると。
「嫌われるように頑張って仕向けた?」
オルグレンが不思議そうにその黒曜石のような瞳をパチパチさせている。
「えっと……あ、れ? 全然気付いていないのですか?」
柔らかいベッドの上でオルグレンに抱かれながら、リリヤはもじもじと所在なげに足の先を動かした。
「可愛らしいことばかりしているとは思っていたが……」
「は……?」
ビックリしている。というよりもオルグレンは未知の生物を見たような顔をして、しげしげとリリヤを観察するような仕草を見せた。
「……オルグレン様、一つお聞きしたいのですが。オルグレン様は今までずっと私のことをいったいどう思って過ごしていらっしゃったのですか?」
「そんなことを知りたいのか?」
「はい。私にとってはとても大切なことです」
「そうか分かった……」
オルグレンは少し考え込むように瞳を伏せた。
「……そうだな。簡単に言うと貴女は俺のモノだと思っていた。幼い頃に貴女という存在を母上から聞いて意識してからずっと」
「…………あ、あのっちょっと待って下さい」
漠然とリリヤは思った。オルグレンは根本的な何かを間違えている気がする。
「フローラ!」
「なんです?」
オルグレンとリリヤのやり取りを楽しげに傍観していた黒の魔女は、自分の息子と親友がくっついているのが嬉しいようだ。ニコニコと穏やかな声色に、声を掛けたこちらの方が妙に意識してしまって恥ずかしくなる。
「オルグレン様の今のお話は冗談ですよね?」
「いいえ、オルグレンは本気ですよ」
「…………」
規格外の思考を受け入れ慣れし過ぎている。揃って強いメンタルを持つ親子についていけず。リリヤがどうしたものかと視線を漂わせていたら、
「貴女を花嫁に迎え入れるなりして傍に置こうと始めから決めていた。手段は色々と講じるつもりだったが……嫌だったか?」
オルグレンの腕の中で困っているリリヤを見て何を思ったのか。オルグレンが更に余計なことを言った。
何もかもをこの親子はリリヤのあずかり知らぬ所で決めていたのだ。そう思うと……リリヤは不満に口元をムーッとさせて眉間に皺を寄せた。
「別に……私は何とも思っておりませんから、お気になさらないで下さい」
気にするなと言いながらも不機嫌を露にリリヤは唇を尖らせた。
「もしも延命の措置が間に合わず俺が命を落とした場合は貴女への容疑を晴らし、自由を必ず約束するということになっていたのだが……」
怒っているリリヤをオルグレンが宥めようとすればするほど逆効果だった。
「そうですか。でも残念ながらオルグレン様が死ぬことはありません。オルグレン様の命を延命できる手段が見つからなかったそのときは、最終的な手段として私の命を差し出すつもりで私はいましたから」
プイッと横を向いてリリヤは拗ねた。が、またもオルグレンの心を揺さぶるようなことを言ってしまったことに、当の本人はまるで気付いていない。
「コホンッ、母上、そろそろ二人きりにさせてくれませんか?」
「あらあらごめんなさい気が利かなくて。でも最後にこれだけは言わせてくださいね。花の冠の装飾を競う大会──花の祭典を始めたのはリリヤ、貴女に戻って来てほしかったからなの。花冠が好きで昔よく作ってあげていたから貴女ならきっと来てくれると思っていました」
「……ええ、私へのメッセージだったのは何となく分かっていたわ。フローラ…………ごめんなさい私……」
どうやら沢山心配をかけてしまったようだ。リリヤがしおらしく頭を垂れると、
「いいのですよ。貴女がこうしてまたわたくしの元に戻ってきてくれたのなら。それにオルグレンの件があってわたくし確信しておりましたの。オルグレンが貴女の相手だと。男不信の貴女が良いと思える相手を見つけられるように……わたくしは貴方の為に子を生んだのですから」
「ふ、フローラ……? 貴女いま凄いこと言っ……」
「──貴女が相手を見つけられないならわたくしがその相手を生んでしまえばよいのではないかとずっとずっとそう思っていたのです……だから本当に、オルグレンが貴女の相手に選ばれて良かった……」
黒の魔女は一人で話して一人で納得してしまった。リリヤを置いてきぼりに、ベッドから腰を上げると。真っ直ぐ扉の前まで歩いて行く。
「リリヤ、オルグレンなら貴女をきっと幸せにしてくれます。安心なさいな」
「え、えっ? フローラ? ちょっと待って! フローラ!?」
満面の笑みを残して退出したフローラの後を追おうとして、立ち上がりかけたのをオルグレンに止められた。掴まれた手の温もりにドキッと心臓が跳ねる。
二人きりにされた室内の何とも言えない張り詰めた空気に、リリヤがどうにかしてオルグレンから逃げようとしたところで──ガチャリと金属音がした。
(え…………まさかフローラ……今、部屋の鍵閉めた?)
オルグレンに掴まれたままの手が緊張に震えている。背中を伝う汗とオルグレンの綺麗な紫暗の瞳から注がれている熱っぽい視線に耐えきれず。リリヤはバッと勢いよく目を逸らした。
「何故だか分からないが。幼き頃からずっと顔も知らない貴女を探していた。そしてやっと本当の貴女を見つけた……」
目を合わせるように顎を取られて、リリヤはギュッと目を瞑った。
「俺は貴女を愛している。だから貴女が欲しい……」
「お、オルグレン、様……?」
不適な笑みを浮かべてリリヤの手を取り、オルグレンはリリヤの左薬指に嵌められた銀製の指輪に口づける。魔力封じの指輪から唇を離したオルグレンが、ゆっくりとリリヤの服に手を掛けた。
「っ!」
リリヤはオルグレンがこれから何をしようとしているのかを確信して、硬直したように動けなくなった。
「……いつものように抵抗はしないのか?」
されるがままに服を脱がされているリリヤをオルグレンはドサッとベッドに組み敷いた。顔を真っ赤にさせて艶っぽい表情を隠そうともせず。リリヤは白いシーツをギュッと握ってそっぽを向いたまま答えた。
「私、オルグレン様を愛してないなんて一度でも言いましたか?」
「……っ!」
オルグレンを受け入れることを素直に言えなくて。強がりを言うリリヤの、そのあまりの愛らしさに。今まで抑えていたオルグレンの中の理性の箍が切れた。
オルグレンの影が今までになくリリヤに近づいて深く重なり合うのを感じて。もう二度と離れ離れになることがないように、リリヤはオルグレンの背中に手を回した。それに応えて強くオルグレンがリリヤの体を引き寄せる。
「ずっと一緒にいてもいいですか?」
言うと、オルグレンはクスリと笑って指と指とを絡め合わせてきた。
「……嫌だと言われても二度と貴女を離す気はない」
祈るように繋がれた指先──オルグレンの全身から伝わるリリヤを欲しがっている感情の渦。それは今までリリヤが不快だと避けてきたもの。
けれどオルグレンからそれらの感情を読み取っても、リリヤは少しも嫌だとは思わなかった。
その時が来たことをリリヤはあがらうこと無く受け入れた。
三百年の月日を経て、白の魔女は守り続けて来た最愛の人の妻となり。
永劫を別つ伴侶を得て、ようやく孤独と決別した生涯を手にすることができたのだった。
--------------END
ここまでご愛読下さりありがとうございます。
今回はR15作品ということでエロ展開は書けないのを念頭に執筆していたのですが。
困ったことに途中、物凄くエロシーンが書きたくなる衝動に駆られておりました。
エロは書けない書いちゃいけない……と念仏のように唱えておりました(汗)
そうして投稿中は何とか我慢しまして、結果、色々綺麗に吹っ切れましたw
次作はR18を執筆したいと考え中です。
男女間か百合かBLかいずれかのR18を予定しております。
リリヤとオルグレンの後日談を書くかどうかは今のところ不明ですが。まだまだ二人を書いていたい気持ちもあり。
しかし二人をくっつけられたので満足している部分とで、最終話はどうにも名残惜しい気持ちになりますが。どうにか終着点までこれて一安心です。
では最後に、
読者の皆様に沢山の感謝を!
そして松田トキ様、素敵なイラストに仕上げて下さり、本当にありがとうございます!
格好いいオルグレンと可愛くて綺麗なリリヤ、見ていてとても癒やされました!
それでは、また別の小説でもお会いできれば幸いです。
では~
薄影メガネ
「不良……?」
今度はリリヤが驚く番だった。まさかこんな品行方正の真面目な公子様から、そのような回答を頂けるとは。
「平気です。真面目なオルグレン様を不良の道に誘ったのが自分だったことにショックを受けているだけですから…」
「貴女はいったいなんの話を……?」
「すみません、冗談ですから。今のは聞かなかったことにして下さい」
やっぱり育ちが良いと反応もいささかお上品というか、なかなか路線を外さない。
「どうして貴女はそんな目で俺を見るんだ」
オルグレンの腕の中で嘆くリリヤに突っかかるオルグレンの、そんなところでムキになってしまうところは、やっぱり十六歳の少年らしく見えて微笑ましい。クスッと笑ってリリヤはオルグレンのお姉さんにでもなったような心境で答えた。
「いいえ、何でもないです。オルグレン様はやっぱりオルグレン様だなぁと思って」
リリヤに自分が年下の子供に見られていることが分かったのだろう。オルグレンは露骨に嫌な顔をした。
「俺は貴女の……リリヤの主人ではなく対等な関係でありたい」
そのあまりに素直な様子に、リリヤは肩透かしを食らった気分になった。
「リリヤを俺の妻にしたい」
幼い頃からリリヤを見つけるために、城下町をうろついていたなどと言われてしまった手前、ダメとも言えず。リリヤはたじろいだ。どうやら本当の意味でリリヤはオルグレンを拒絶するタイミングを逃してしまったようだ。
「オルグレン様……それ、反則です」
行動が可愛すぎて困る。そんなことをされては、これ以上突っぱねることなどできないではないか。
「はぁっ…………私、いつかオルグレン様に会えることが奇跡的にあったとしても、その時は全力で嫌われるようにしようって決めていたんですよ? なのにどうしてこんな……」
「嫌う? 俺が貴女を?」
キョトンとした顔でリリヤの腰を掴んでいるオルグレンがあり得ないと首を横に振る。
「ちゃんと冷たくして嫌われるように仕向けていたのに……オルグレン様は人がよすぎるのではありませんか?」
世話好きな性格にしても心配だとリリヤがブツブツ言っていると。
「嫌われるように頑張って仕向けた?」
オルグレンが不思議そうにその黒曜石のような瞳をパチパチさせている。
「えっと……あ、れ? 全然気付いていないのですか?」
柔らかいベッドの上でオルグレンに抱かれながら、リリヤはもじもじと所在なげに足の先を動かした。
「可愛らしいことばかりしているとは思っていたが……」
「は……?」
ビックリしている。というよりもオルグレンは未知の生物を見たような顔をして、しげしげとリリヤを観察するような仕草を見せた。
「……オルグレン様、一つお聞きしたいのですが。オルグレン様は今までずっと私のことをいったいどう思って過ごしていらっしゃったのですか?」
「そんなことを知りたいのか?」
「はい。私にとってはとても大切なことです」
「そうか分かった……」
オルグレンは少し考え込むように瞳を伏せた。
「……そうだな。簡単に言うと貴女は俺のモノだと思っていた。幼い頃に貴女という存在を母上から聞いて意識してからずっと」
「…………あ、あのっちょっと待って下さい」
漠然とリリヤは思った。オルグレンは根本的な何かを間違えている気がする。
「フローラ!」
「なんです?」
オルグレンとリリヤのやり取りを楽しげに傍観していた黒の魔女は、自分の息子と親友がくっついているのが嬉しいようだ。ニコニコと穏やかな声色に、声を掛けたこちらの方が妙に意識してしまって恥ずかしくなる。
「オルグレン様の今のお話は冗談ですよね?」
「いいえ、オルグレンは本気ですよ」
「…………」
規格外の思考を受け入れ慣れし過ぎている。揃って強いメンタルを持つ親子についていけず。リリヤがどうしたものかと視線を漂わせていたら、
「貴女を花嫁に迎え入れるなりして傍に置こうと始めから決めていた。手段は色々と講じるつもりだったが……嫌だったか?」
オルグレンの腕の中で困っているリリヤを見て何を思ったのか。オルグレンが更に余計なことを言った。
何もかもをこの親子はリリヤのあずかり知らぬ所で決めていたのだ。そう思うと……リリヤは不満に口元をムーッとさせて眉間に皺を寄せた。
「別に……私は何とも思っておりませんから、お気になさらないで下さい」
気にするなと言いながらも不機嫌を露にリリヤは唇を尖らせた。
「もしも延命の措置が間に合わず俺が命を落とした場合は貴女への容疑を晴らし、自由を必ず約束するということになっていたのだが……」
怒っているリリヤをオルグレンが宥めようとすればするほど逆効果だった。
「そうですか。でも残念ながらオルグレン様が死ぬことはありません。オルグレン様の命を延命できる手段が見つからなかったそのときは、最終的な手段として私の命を差し出すつもりで私はいましたから」
プイッと横を向いてリリヤは拗ねた。が、またもオルグレンの心を揺さぶるようなことを言ってしまったことに、当の本人はまるで気付いていない。
「コホンッ、母上、そろそろ二人きりにさせてくれませんか?」
「あらあらごめんなさい気が利かなくて。でも最後にこれだけは言わせてくださいね。花の冠の装飾を競う大会──花の祭典を始めたのはリリヤ、貴女に戻って来てほしかったからなの。花冠が好きで昔よく作ってあげていたから貴女ならきっと来てくれると思っていました」
「……ええ、私へのメッセージだったのは何となく分かっていたわ。フローラ…………ごめんなさい私……」
どうやら沢山心配をかけてしまったようだ。リリヤがしおらしく頭を垂れると、
「いいのですよ。貴女がこうしてまたわたくしの元に戻ってきてくれたのなら。それにオルグレンの件があってわたくし確信しておりましたの。オルグレンが貴女の相手だと。男不信の貴女が良いと思える相手を見つけられるように……わたくしは貴方の為に子を生んだのですから」
「ふ、フローラ……? 貴女いま凄いこと言っ……」
「──貴女が相手を見つけられないならわたくしがその相手を生んでしまえばよいのではないかとずっとずっとそう思っていたのです……だから本当に、オルグレンが貴女の相手に選ばれて良かった……」
黒の魔女は一人で話して一人で納得してしまった。リリヤを置いてきぼりに、ベッドから腰を上げると。真っ直ぐ扉の前まで歩いて行く。
「リリヤ、オルグレンなら貴女をきっと幸せにしてくれます。安心なさいな」
「え、えっ? フローラ? ちょっと待って! フローラ!?」
満面の笑みを残して退出したフローラの後を追おうとして、立ち上がりかけたのをオルグレンに止められた。掴まれた手の温もりにドキッと心臓が跳ねる。
二人きりにされた室内の何とも言えない張り詰めた空気に、リリヤがどうにかしてオルグレンから逃げようとしたところで──ガチャリと金属音がした。
(え…………まさかフローラ……今、部屋の鍵閉めた?)
オルグレンに掴まれたままの手が緊張に震えている。背中を伝う汗とオルグレンの綺麗な紫暗の瞳から注がれている熱っぽい視線に耐えきれず。リリヤはバッと勢いよく目を逸らした。
「何故だか分からないが。幼き頃からずっと顔も知らない貴女を探していた。そしてやっと本当の貴女を見つけた……」
目を合わせるように顎を取られて、リリヤはギュッと目を瞑った。
「俺は貴女を愛している。だから貴女が欲しい……」
「お、オルグレン、様……?」
不適な笑みを浮かべてリリヤの手を取り、オルグレンはリリヤの左薬指に嵌められた銀製の指輪に口づける。魔力封じの指輪から唇を離したオルグレンが、ゆっくりとリリヤの服に手を掛けた。
「っ!」
リリヤはオルグレンがこれから何をしようとしているのかを確信して、硬直したように動けなくなった。
「……いつものように抵抗はしないのか?」
されるがままに服を脱がされているリリヤをオルグレンはドサッとベッドに組み敷いた。顔を真っ赤にさせて艶っぽい表情を隠そうともせず。リリヤは白いシーツをギュッと握ってそっぽを向いたまま答えた。
「私、オルグレン様を愛してないなんて一度でも言いましたか?」
「……っ!」
オルグレンを受け入れることを素直に言えなくて。強がりを言うリリヤの、そのあまりの愛らしさに。今まで抑えていたオルグレンの中の理性の箍が切れた。
オルグレンの影が今までになくリリヤに近づいて深く重なり合うのを感じて。もう二度と離れ離れになることがないように、リリヤはオルグレンの背中に手を回した。それに応えて強くオルグレンがリリヤの体を引き寄せる。
「ずっと一緒にいてもいいですか?」
言うと、オルグレンはクスリと笑って指と指とを絡め合わせてきた。
「……嫌だと言われても二度と貴女を離す気はない」
祈るように繋がれた指先──オルグレンの全身から伝わるリリヤを欲しがっている感情の渦。それは今までリリヤが不快だと避けてきたもの。
けれどオルグレンからそれらの感情を読み取っても、リリヤは少しも嫌だとは思わなかった。
その時が来たことをリリヤはあがらうこと無く受け入れた。
三百年の月日を経て、白の魔女は守り続けて来た最愛の人の妻となり。
永劫を別つ伴侶を得て、ようやく孤独と決別した生涯を手にすることができたのだった。
--------------END
ここまでご愛読下さりありがとうございます。
今回はR15作品ということでエロ展開は書けないのを念頭に執筆していたのですが。
困ったことに途中、物凄くエロシーンが書きたくなる衝動に駆られておりました。
エロは書けない書いちゃいけない……と念仏のように唱えておりました(汗)
そうして投稿中は何とか我慢しまして、結果、色々綺麗に吹っ切れましたw
次作はR18を執筆したいと考え中です。
男女間か百合かBLかいずれかのR18を予定しております。
リリヤとオルグレンの後日談を書くかどうかは今のところ不明ですが。まだまだ二人を書いていたい気持ちもあり。
しかし二人をくっつけられたので満足している部分とで、最終話はどうにも名残惜しい気持ちになりますが。どうにか終着点までこれて一安心です。
では最後に、
読者の皆様に沢山の感謝を!
そして松田トキ様、素敵なイラストに仕上げて下さり、本当にありがとうございます!
格好いいオルグレンと可愛くて綺麗なリリヤ、見ていてとても癒やされました!
それでは、また別の小説でもお会いできれば幸いです。
では~
薄影メガネ
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リリヤの瞳の色赤って書いてありますけど、
絵を見てみると赤というより黄金みたいな金色ですね〜〜〜
ほうっ(ΦωΦ)よく見て下さりありがとうございますー♪
綺麗な色合いですよねー(*´꒳`*)♡
初めて感想を書きます。
ユイリーとラースのお話を読んで、面白くて、先生の書いた別の話しが読みたくてこのお話を読みました。
とても、面白くて裏があって、お気に入りの更にお気に入りになって、何度も読み直したい作品でした。続編を是非読みたいです。お忙しいと思いますが‥よろしくお願いします(╹◡╹)❤︎
初めての感想ありがとうございますー♪(///ω///)
また、引きこもりの方もご愛読下さり、ありがとうございます。すごく嬉しいです!
本作品をお気に入りの更にお気に入りにしていただけた……!それも続編を切望していただけるなんて……幸せの極みですー!(T_T)ルー
嬉しくて思わずひろもも様の感想を何度も読み直してしまいましたwありがとうございます♪
すごく面白かったです!!
ぜひ、男女間がいいです!
わーい(*´ω`*)嬉しい感想ありがとうございますー!
男女間リクエストですね!今後の制作にご意見いかしていきたいと思います♪