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7. 突然
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彼に背を向けたが、ふと気付く。
「(あっ…上着…。)」
先程は僕が外にいるのに軽装すぎると言われたので借りていたが、いそいそと上着を脱ぐと彼に差し出す。
「上着、ありがとうございました。僕、もう家に入るのでこちらはお返しします。」
僕は洗い終えた洗濯物を片付けると「では、僕はこれで。色々教えて下さってありがとうございました。」とお辞儀をし、家へと歩き出す。
その時、リナロエさんが「あっ…!」と言いながら近付いてきたかと思うと僕の持っている洗濯物の入った桶を横から奪い取った。
「えっ…?」
「それはお前には重いだろう、私が持ってあげよう。」
「いえ、すぐそこなので。」と断ったが、彼は手を離そうとはしない。
まぁ、いっかと思い、折角なのでお言葉に甘えておいた。「ありがとうございます。」と声を掛け、一緒に歩く。隣同士になるとリナロエさんの背の高さが余計際立った。
「(多分…190cmくらいはあるだろなぁ…それにしても猛禽類の特徴かなぁ?金の目なんて凄い…それに白髪に毛先が黒いなんて…。やっぱりファンタジー…。)」
そう思いながらリナロエさんをチラチラと見ていた。
そして家の前まで着くと僕はもう一度お礼を言い、桶を受け取ろうとした。しかしリナロエさんはまたもや渡そうとしない。
「あの…?」
「なっ…中まで運んでやる。」
流石にそれはご遠慮願いたい。「いえ…大丈夫です。」と言ったが向こうも引かない。そのやり取りを何度か繰り返すとだんだん面倒臭くなってきた。最終的にコッチが折れ「じゃあお願いします。」と言うと何故かリナロエさんの表情が嬉しそうだった。
中に招き入れた僕は近くの台に桶を置いてもらい、お昼の準備をし始めた。その間、リナロエさんはリビングをキョロキョロしながらこちらに近付いてくる。
「昼食は何を作るんだ?」
「そうですねぇ~…ロータスさんからは置いてあるものなら好きなものを使えとは言われてるんですが、見たことのない食べ物もありますし、それを省いた何かを作ります。」
「見たことないもの…?パッと見る限りそんな珍しいものはないが…ヨースケはそんな田舎からこちらに出て来たのか?」
「…はい、そうなんです。だからこれから変なことを口走るかもしれませんが気にしないで下さいね。」
僕はそう保険を掛けながら昼食を作り始めた。
「(先ずは卵を割ってオムレツでも作ろう。本当はバターとか入れた方が美味しいんだろうけど、ココにはないから砂糖みたいなこの甘いやつを入れて…と。)」
僕は短期間だが一人暮らしをしていたのでこのくらいは出来る。
「(後は…このフランクフルトみたいな肉を切って炒めて…朝食で食べたパンを食べたらいいか。)」
出来上がりは朝食みたいだが、僕には十分な食事だ。
出来上がりを並べていざ席に着こうとするとリナロエさんが出来上がったものを食い入る様に見ている。
「どうかしましたか?」
「いや…そのレイルの卵を食べるのか…?」
「(ん?この卵?朝食でも食べたけど…。)
はい、コレ身体に悪いんですか?」
「いや、そういう風に食べるのを初めて見た。普通は食事に混ぜるかそのまま割って生で食べる。」
「(えぇ…生…絶対無理。お腹壊すし。)
そうなんですか…良かったらコレ食べてみます?まだ卵はあるので作れますし。」
「…っいいのか!?」
彼は嬉しそうに身を乗り出す。
「どうぞ、お掛け下さい。」
リナロエさんにオムレツとフランクフルトの乗った皿、フォークを差し出し、自分は新たにオムレツを作ることにした。
僕がオムレツを作ろうと卵を割っている時「ヨースケ!!!」と叫ばれる。
「美味しくなかったですか?」
「ちっ…違う!美味い!美味いんだ!レイルの卵がこんなに美味しいとは知らなかった!」
「そっ…そうですか、良かったです。」
興奮気味の彼を置いてキッチンに戻ろうとするとリナロエさんが飛んできた。そして急に跪き、手を握ってくる。
「えっ?えっ?どうしたんですか?」
「私と結婚してくれ。」
「…えっ?(何故!?)」
「(あっ…上着…。)」
先程は僕が外にいるのに軽装すぎると言われたので借りていたが、いそいそと上着を脱ぐと彼に差し出す。
「上着、ありがとうございました。僕、もう家に入るのでこちらはお返しします。」
僕は洗い終えた洗濯物を片付けると「では、僕はこれで。色々教えて下さってありがとうございました。」とお辞儀をし、家へと歩き出す。
その時、リナロエさんが「あっ…!」と言いながら近付いてきたかと思うと僕の持っている洗濯物の入った桶を横から奪い取った。
「えっ…?」
「それはお前には重いだろう、私が持ってあげよう。」
「いえ、すぐそこなので。」と断ったが、彼は手を離そうとはしない。
まぁ、いっかと思い、折角なのでお言葉に甘えておいた。「ありがとうございます。」と声を掛け、一緒に歩く。隣同士になるとリナロエさんの背の高さが余計際立った。
「(多分…190cmくらいはあるだろなぁ…それにしても猛禽類の特徴かなぁ?金の目なんて凄い…それに白髪に毛先が黒いなんて…。やっぱりファンタジー…。)」
そう思いながらリナロエさんをチラチラと見ていた。
そして家の前まで着くと僕はもう一度お礼を言い、桶を受け取ろうとした。しかしリナロエさんはまたもや渡そうとしない。
「あの…?」
「なっ…中まで運んでやる。」
流石にそれはご遠慮願いたい。「いえ…大丈夫です。」と言ったが向こうも引かない。そのやり取りを何度か繰り返すとだんだん面倒臭くなってきた。最終的にコッチが折れ「じゃあお願いします。」と言うと何故かリナロエさんの表情が嬉しそうだった。
中に招き入れた僕は近くの台に桶を置いてもらい、お昼の準備をし始めた。その間、リナロエさんはリビングをキョロキョロしながらこちらに近付いてくる。
「昼食は何を作るんだ?」
「そうですねぇ~…ロータスさんからは置いてあるものなら好きなものを使えとは言われてるんですが、見たことのない食べ物もありますし、それを省いた何かを作ります。」
「見たことないもの…?パッと見る限りそんな珍しいものはないが…ヨースケはそんな田舎からこちらに出て来たのか?」
「…はい、そうなんです。だからこれから変なことを口走るかもしれませんが気にしないで下さいね。」
僕はそう保険を掛けながら昼食を作り始めた。
「(先ずは卵を割ってオムレツでも作ろう。本当はバターとか入れた方が美味しいんだろうけど、ココにはないから砂糖みたいなこの甘いやつを入れて…と。)」
僕は短期間だが一人暮らしをしていたのでこのくらいは出来る。
「(後は…このフランクフルトみたいな肉を切って炒めて…朝食で食べたパンを食べたらいいか。)」
出来上がりは朝食みたいだが、僕には十分な食事だ。
出来上がりを並べていざ席に着こうとするとリナロエさんが出来上がったものを食い入る様に見ている。
「どうかしましたか?」
「いや…そのレイルの卵を食べるのか…?」
「(ん?この卵?朝食でも食べたけど…。)
はい、コレ身体に悪いんですか?」
「いや、そういう風に食べるのを初めて見た。普通は食事に混ぜるかそのまま割って生で食べる。」
「(えぇ…生…絶対無理。お腹壊すし。)
そうなんですか…良かったらコレ食べてみます?まだ卵はあるので作れますし。」
「…っいいのか!?」
彼は嬉しそうに身を乗り出す。
「どうぞ、お掛け下さい。」
リナロエさんにオムレツとフランクフルトの乗った皿、フォークを差し出し、自分は新たにオムレツを作ることにした。
僕がオムレツを作ろうと卵を割っている時「ヨースケ!!!」と叫ばれる。
「美味しくなかったですか?」
「ちっ…違う!美味い!美味いんだ!レイルの卵がこんなに美味しいとは知らなかった!」
「そっ…そうですか、良かったです。」
興奮気味の彼を置いてキッチンに戻ろうとするとリナロエさんが飛んできた。そして急に跪き、手を握ってくる。
「えっ?えっ?どうしたんですか?」
「私と結婚してくれ。」
「…えっ?(何故!?)」
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