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91. 診療
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僕はその光景に「彼女はいい家庭に養子に入ったんだな。」と感じる。
当たり前だが、ゲームではこんな内容をわざわざストーリーで紹介しない。僕がこちらの世界に来たことで初めて知り得た事実だ。
「(ヒロイン…こんないい家庭に入ったんなら、もうちょっと慎みを持とうよ…自分の欲ばかり出しすぎると破滅するよ…。)」
現に様々なルートが消えていっている気がする。少なくともオール様は消えているだろう。
ルート様も少し亀裂が入っている気がするし、ランドモス様は…どうかな?あれからあんまり接点がないからヒロインとどうなってるか分からないや。後は会長と…他にもまだいたような…。
僕の記憶力ではこれが限界だ。正直、攻略対象に限っては姉さんが興奮して僕に話しかけてない限り分からないし覚えていない。姉さんはオール様推し?だったので僕は割りとオール様に関しては詳しいのだが、それ以外は名前と顔、役職が分かるくらいだ。
「トルー様…私と妻は少し休んできますので恐れながら娘を診ていただいてもよろしいですか?」
「あっ、はい!大丈夫です。昨日からあまり休んでないのでしょう?ゆっくりして来て下さい。この後、来てくださるルート様とは知り合いなので殿下が来ても大丈夫ですから。」
「…申し訳ございません…昨日から私も妻も一睡もしておらず…お言葉に甘えて休ませて頂きます…。」
そう言って2人は部屋を出て行った。
僕はヒロインの眠っているベッドの側のイスに腰掛け、その寝顔を見つめる。見たところ、彼女の顔は血色も良いし、本当に"ただ眠っているだけ"にしか見えない。流石に頰に触ったりは出来ない為、そのままルート様が来るのを待った。
暫くすると部屋の扉がノックされ、ルート様とサンバックが入って来た。
「…トルー、やはり来てたんだな。」
サンバックは僕の姿を見つけ、納得したように呟く。
「ルート様、兄様…やっぱりバイオレット様の様子が気になって…。」
「そうか…今日もルート様が様子を診てくれるが、どうなるか分からないぞ?」
「うん、分かってる。僕も魔力を使って様子を診てみたけど原因は分からなかったよ。」
「まぁ仕方ない、ルート様でさえ分からないんじゃ難しいだろう。」
そんな会話を僕とサンバックがしている間にルート様はヒロインに近付き頭に手を当てる。
少しして「ふぅ…。」と息を吐いたルート様はこちらを見ると静かに首を振った。
当たり前だが、ゲームではこんな内容をわざわざストーリーで紹介しない。僕がこちらの世界に来たことで初めて知り得た事実だ。
「(ヒロイン…こんないい家庭に入ったんなら、もうちょっと慎みを持とうよ…自分の欲ばかり出しすぎると破滅するよ…。)」
現に様々なルートが消えていっている気がする。少なくともオール様は消えているだろう。
ルート様も少し亀裂が入っている気がするし、ランドモス様は…どうかな?あれからあんまり接点がないからヒロインとどうなってるか分からないや。後は会長と…他にもまだいたような…。
僕の記憶力ではこれが限界だ。正直、攻略対象に限っては姉さんが興奮して僕に話しかけてない限り分からないし覚えていない。姉さんはオール様推し?だったので僕は割りとオール様に関しては詳しいのだが、それ以外は名前と顔、役職が分かるくらいだ。
「トルー様…私と妻は少し休んできますので恐れながら娘を診ていただいてもよろしいですか?」
「あっ、はい!大丈夫です。昨日からあまり休んでないのでしょう?ゆっくりして来て下さい。この後、来てくださるルート様とは知り合いなので殿下が来ても大丈夫ですから。」
「…申し訳ございません…昨日から私も妻も一睡もしておらず…お言葉に甘えて休ませて頂きます…。」
そう言って2人は部屋を出て行った。
僕はヒロインの眠っているベッドの側のイスに腰掛け、その寝顔を見つめる。見たところ、彼女の顔は血色も良いし、本当に"ただ眠っているだけ"にしか見えない。流石に頰に触ったりは出来ない為、そのままルート様が来るのを待った。
暫くすると部屋の扉がノックされ、ルート様とサンバックが入って来た。
「…トルー、やはり来てたんだな。」
サンバックは僕の姿を見つけ、納得したように呟く。
「ルート様、兄様…やっぱりバイオレット様の様子が気になって…。」
「そうか…今日もルート様が様子を診てくれるが、どうなるか分からないぞ?」
「うん、分かってる。僕も魔力を使って様子を診てみたけど原因は分からなかったよ。」
「まぁ仕方ない、ルート様でさえ分からないんじゃ難しいだろう。」
そんな会話を僕とサンバックがしている間にルート様はヒロインに近付き頭に手を当てる。
少しして「ふぅ…。」と息を吐いたルート様はこちらを見ると静かに首を振った。
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