悪役令嬢の弟

ミイ

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126. 配慮

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僕達4人の間に緊迫した雰囲気が流れているとマイペースに「まぁまぁ。」と仲裁してくれる人が現れた。

「皆、トルーに会えて嬉しいのはわかるけど、そこは家族との再会を優先させるべきでしょう?ほらほら、部外者は外に出て。」

そう言ってルート様は僕の両親とサンバック、イモーテル、ブルーマリー以外を廊下に出す。

「はぁ~…オールにも困ったもんだね。でもサンバックもイモーテルもオール相手に大人げない態度を取っちゃダメじゃないか。」

ルート様は相変わらず的確な指摘をする。

「…すまない。」
「申し訳ありません。」

2人がシュンと落ち込むとルート様は「分かればよろしい。」と笑った。

それから僕が両親との再会を喜んでいるとふと父様が口を開く。

「イモーテル…トルーのこと、世話をかけたな。」

僕のことを思い出した父様は2年前からイモーテルがこの部屋を頑なに保存することを望んでいた意味が漸くわかったようだった。

「いえ、旦那様。私は自分の仕える主をお待ちしていただけです。」

イモーテルはそう言って父様に頭を下げる。すると父様も彼に向かって頭を下げた。

「…そうか…では、これからもトルーのことを宜しく頼む。」

「はい、お任せ下さい。」

僕はその光景を眺めながら、やっぱりイモーテルがいてくれて良かったと改めて感じる。僕がこの世界に戻り、もしかしたら自分の存在が忘れられてるのでは、と不安な中、一番に頼りになったのはイモーテルだ。イモーテルは元々ゲームのキャラクターじゃない、だからリセットボタンを押しても関係なかったかもしれないが僕のことを覚えている人がこの世界に1人でもいることがこんなにも心強いなんて思いもしなかった。今回の出来事で皆の存在がどんなに自分にとって大切か、そして少しずつだが、自分の気持ちにもようやく気付き始めた。
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