悪役令嬢の弟

ミイ

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144. 後悔

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僕はサンバックの胸に額を押し当て「もしかしたら僕が彼女を死に追いやったかもしれない…。」と呟く。すると空かさず「何故、そうなるんだ…?」と尋ねられた。

彼女はこの世界に希望を見出そうとしていた。しかし僕がいくら勘違いとはいえ没落ルート回避の為に彼女の望む物語を捻じ曲げてしまった。勿論、この世界はゲームじゃない、それはもう十分理解している。しかし、あの乙女ゲームを知っているヒロインや僕からすれば、これだけ条件の揃っている世界をゲームだと勘違いしてしまうのも頷けるのだ。よって思い通りにならないと嘆く彼女があの異常な行動をとってしまったのも理解できる。そしてそれを後押しするように僕が動いてしまった。

「だって…!だって僕は自分の保身の為に動いてしまった…だから彼女があんなことに…!」

僕がそう叫ぶとサンバックは一層強く僕を抱き締める。

「お前のせいじゃない。いいか、トルー…現実と物語を混同するな。いくらお前の前世で似たような話があったとしてもこれは現実世界なんだ。バイオレットが今までしてきたことは許されることじゃない。窃盗や殺人未遂、彼女は危険人物だ。それを罰されても仕方ない。だから自分が悪いなんて思うな、これもすべて彼女の自業自得なんだ。」

彼の言葉は正論だ。しかし一度、解決した出来事でも彼女の本音を聞いてしまうとどうしても罪悪感が蘇ってくる。

「(僕が大人しくしてたらこんなことにはならなかったのかな…。)」

またしても悲観的な考えが過ぎった。

するとその雰囲気を壊すようにルート様が口を開く。

「トルー、サンバックの言う通りだよ。君のせいじゃない。彼女は自分で仕出かした報いを受けたんだ。それに君は殺されそうになったんだよ?恨むことはあっても自分を責める必要はない。いい?これからは彼女のことを想って辛い気持ちになるよりサンバックとの幸せな家庭を築いて楽しい気持ちにならないと。」

「そうだぞ、トルー。これからはバイオレットのことなど思い出さないくらい俺が幸せにしてやる。それに早く子供を作って父様や母様を安心させてやろう?」

2人の賢明な励ましに涙が込み上げてきた。そして少しずつ心が温かくなっていく。僕はなんとか気持ちを飲み込むと2人に微笑みかけ「はい、兄様もルート様もありがとうございます。」と伝える。

「そうですね…いつまでもクヨクヨしてたらダメで…あれ?」

先程からランプを足元に置いていた僕はたまたま向けた目線の先にまだ文章が書かれていることに気付いた。

「兄様、ここにまだ文章が…。」
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