次期魔王の教育係に任命された

第4章

106. 衝撃

神様の言葉を最後に僕は眠る様に目を閉じた。そして次に目が覚めた時には魔王城での自室のベッドの上で横たわっていた。僕は慌てて飛び起きると自身の腕や胸を触り異常がないことを確かめる。

戻ってきた…？てか目が見えてる！神様ありがとう！元どおりにして戻してくれたんだ！じゃ…じゃあ姿は人間に？それとも魔族に？

僕は急いで洗面台の前まで駆け寄ると自分の姿をマジマジと見つめた。

良かった…魔族の時のままだ。このままの姿なら人間より寿命は長いはず。

僕はネフライトの前から姿を消した状態から何一つ変わっていないことに安堵し、早速モリオンやネフライト、魔王様を捜しに行くことにした。

自分の体感としては彼らの前から離れて1時間程しか経っていない。しかし、流石にそれは通用しないのは分かっている。よって、せっかくなので自分がどれくらいの間、神様と過ごしたのかこれを機会に確認してみよう。

とにかく彼らが僕のことを忘れてないことを祈るのみだ。

僕は気合いを入れるとモリオンの部屋に向かって歩き出した。しかし、自室を出てからものの1分程で見知らぬ魔族に見つかってしまう。

「貴様、何者だ⁉︎どうやってこの城に侵入した⁉︎」

その魔族は僕のことを知らないのか剣を構え攻撃体制をとる。その姿は兵隊の様な装いをしているもののプロレスラーのような体型で目が３つもある。

僕はその姿を見ただけで戦う気が失せる。

うわぁ…普通にやったら絶対負ける…。

僕は慌てて両手を挙げ降参ポーズを取るとこう告げた。

「あの！決して怪しい者ではないんです！モリオン…次期魔王様の教育係をしていたショウという者なんですが…。」

「ショウ様だと⁉︎ショウ様はもう100年ほど前にこの魔界から消えた魔王様にとってとても大切な方なんだぞ⁉︎そんな方が急に現れるなど信じられん！」

「100年⁉︎今、100年って言いましたか⁉︎」

僕は先程の怖さも忘れ三つ目の魔族に詰め寄る。すると彼は逆になんだなんだと慄いた反応を見せた。

「あっああ…。ショウ様はこの魔界に素晴らしい変化をもたらせた大いなる人物として語り継がれている。俺がそれを学んだのは数年前の話だが情報は確かなものだ。」

彼の言葉に呆然とする。神様と会話した1時間程度がこちらの世界の100年に相当するとは。

じゃあ魔王様は⁉︎この人の言い方じゃもう代替わりしているってことだよね⁉︎

「先代魔王様は亡くなったのですか…？」